586 そういう年

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経営コラム SOLID AS FAITH 第586号
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 ご愛読ありがとうございます。第586話をお届けします。

 雨がちながら暑い日が訪れるようになって、もうすぐ今年も半分が終わり
ます。一年の後半に入ると、当コラムでは周年記念特別号の用意に取り掛か
ります。今年は創刊から4半世紀を経た創刊25周年記念特別号です。現時点
では中小零細企業が悪玉扱いの「生産性」の問題をテーマにしてみようかと
考えていますが、25周年記念特別号が発行されてから余り間を置かず、600
話発行記念特別号も用意しなくてはならないので、両方の記事に何を盛るか
を合わせて検討中です。

 今年の前半が過ぎても、世界政治もグローバル経済の揺り戻しがまだまだ
続きつつあるようです。各地の戦争や紛争も実質的な第三次世界大戦である
との論調さえあるほど、混迷を極めています。国内政治の方も与党の基盤が
揺らいできているようで、こちらも混迷そのものです。

 こうした政局も間違いなく中小零細企業の経営環境の一つで、どう転ぶか
分からない中で、どの程度リスクを取っても良いかを判断するのは、非常に
困難です。その困難さが耐え難いレベルに達したように感じられると、中小
零細企業のオーナー経営者は「あきらめ型倒産・廃業」に至るのかもしれま
せん。通常は前年末から3月ぐらいがピークの倒産・廃業はいつまでも大き
く減じることがないようです。こうした倒産・廃業が前号の『床上浸水』が
描いたような構造的なモノなら、そう簡単に収まることはないでしょう。
 
 中小零細企業の「あきらめ型倒産・廃業」の一つのパターンは後継者のい
ない高齢オーナー経営者のケースです。今号では、そうした高齢のオーナー
経営者の動態について、中小企業白書のデータなどを基に少々考えてみた内
容です。ご意見・ご感想をお待ちしております。頂戴したご感想などへのお
返事の目標納期は5営業日!!

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その586:そういう年

 就寝時、横たわって寝入ろうとすると動悸が起きることが連続して数日あ
った。通称武漢ウイルスのワクチンを初めて打った時には、その晩に激しい
動悸と心臓を誰かが常に強く圧迫しているような胸苦しさがあって眠れない
ぐらいになり、おまけに手足合計20本の指の第一関節に針を刺すような痛み
が続きタイピングもできず仕事にもならない。その後、2度目のワクチン接
種のために病院に行き、前回の症状を告げるとこれ以上のワクチン接種はし
ないよう言われた。その後、微妙に動悸があるように感じる時がある。
 
 念のためと考えて循環器内科に行った。ホルター心電図の装置を装着して
1日過ごしてみたら、不整脈がやや多いものの治療の対象となる程ではない
とのことだった。就寝時に安静にしている際に不整脈が発生すると、それが
動悸のように強く感じられるのではないかと考えて医師は言った。「60歳に
なったばかりですか。そろそろ何が起きてもおかしくないご年齢ですので、
こうした症状にも日頃注意して過ごさなくてはならないでしょう」。
 
 年一度の中小企業診断士登録更新研修は『中小企業白書』の概要説明から
始まる。診断士の資格を取得して20余年。年齢別中小企業経営者数分布のグ
ラフが毎年気になる。そのグラフには一つの大きな山がある。最初に見た
2000年頃には50代前半。毎年新たな山が発生することもなく徐々にこの大山
は高齢へと移動して行った。
 
 この大山を形成する人々が一般的な独立起業や事業承継タイミングの30代
後半ぐらいに中小企業経営者になったのなら、それはバブル経済の真只中。
その頃のアントレプレナーシップの盛り上がりを、それ以降日本経済は一度
たりとも超えたことがないとグラフは教えてくれる。その山は2022年には70
代中盤に到達した。山には±3年程の裾野がある。その山の面積を積分のよ
うにざっくり見ると、グラフ全体の2割弱に相当しそうだ。そして2023年。
突如大山は消失してグラフのどこにも顕著な盛り上がりがなくなった。
 
 平均余命はずるずると伸び続けている。確かに「人生100年時代」、「人
間120年」などと時々耳にするようになった。それほどの長きに渡り日本人
が活躍できるなら、件のグラフの大山は消失することもなくどんどん右へ右
へとスライドして行ったはずであろう。
 
 2022年に70代だった経営者達はどうなったのか。バブルの勢いでは如何と
もし難い程に難しくなった事業経営を投げ出したのか。インフルエンザより
も軽微な疾病と分かった通称武漢ウイルス禍の経営ダメージはそれほど大き
かったのか。寧ろ後期高齢の本人達が病魔に侵されたのか。日本の平均寿命
が長いのは高齢者の入院延命を医療機関が収入源にしているからという説も
ある。「何が起きても不思議ない年齢」は然程スライドしない。

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【MSIグループの仕入完了報告(抜粋)】

■『工場夜景 有賀リエ連作集』 有賀リエ 著
■『朽ちるマンション老いる住民』 朝日新聞取材班 著
■『新版 動的平衡 3』 福岡伸一 著
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
 MSIグループ 市川正人
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次号予告:
 第587話 『島耕作の楽観』 シリーズ『危うい認知』 (7月10日発行)
 或る零細工場を一般の人々に見学させる話が持ち上がったのを耳にして、
考えたことを全2回のシリーズの話にまとめてみました。

(完)