240 不本意な取柄

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経営コラム SOLID AS FAITH 第240号
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ご愛読ありがとうございます。第240話をお届けします。

 年始早々、お世話になっている方々の紹介で初めての会社を訪問する機会が
増えて、ドタバタするうちに、今年の最初の一ヶ月ももうすぐ終わりとなりま
した。税金の申告もやらねばなりませんし、今となっては恒例ですが、年末よ
りも1月から2、3月の期間の方が、慌しく過ごしているように感じます。皆
様は如何お過ごしでしょうか。

 さて、240話はワークライフバランスについて考えてみたものです。ビジネ
ス書の売場に行くと、残業ゼロの生活の実現が謳われた書籍をよく目にします。
共働きが増えて、そのようなニーズが出てきたこともあるでしょうが、中小企
業の現実の経営の観点からみた場合、疑問に感じる点が多々含まれる書籍が多
いように感じます。中堅企業の人事担当者やクライアント企業経営者の意見を
交えて、残業ゼロの働き方について考えてみたことをまとめてみました。

 偶然にも、次号『理想の4分の一』は、徹夜さえ有り触れているようなブラ
ック企業について考えたものですので、シリーズ化されている訳ではありませ
んが、二話合わせてお楽しみ戴くのも好いかと存じます。本文に対するご意見
・ご感想をお待ちしております。頂戴したご感想などへのお返事の目標納期は
5営業日!!
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その240:不本意な取柄

「ワークライフバランス。事務職社員は全員謳歌していますよ、今の立場と働
き方を。定時を15分も過ぎたら、フロアに誰も居なくなっていますから。全社
で見たら特定の部署だけ楽をしている訳ですから、当然問題になってしまう訳
です」。

 世間では過労死が訴訟になり、ワークライフバランスが取れていないから少
子化が進むと騒がれ、日本人は世界でも働きすぎだと批評家も言う。働き過ぎ
は思い込みの産物で、ただ非効率な作業をだらだら続けているだけだという説
もある。大手書店のビジネス書のフロアに行って、残業ゼロを薦めるタイトル
は多く平積みされているが、もっと長時間働けと示唆するものはなかなか見つ
からない。ビルの一歩外のそんな風潮は聴いたこともないかの如く、眼前の人
事担当者は、私に向かって定時に帰宅する者達の存在を憂う。

「総合職と一般職の分類を設けた当時の大手企業の人事トップは、一般職で採
用した女性の10年後や15年後をどんな風に考えていたんでしょうねぇ。他社
さんはどうしているんでしょうか。彼らのような存在に対して何ができるかを、
ウチみたいな中堅企業でも真剣に考えなきゃならないなんて」。
 この種の相談は初めてではない。手段は兎も角、総合職への移行か退職のい
ずれかの選択を対象者に迫ることになる。コンサルタントではないので、クラ
イアントの価値観や判断に意見することは殆どない。その判断結果を円滑で効
果的に実現できる企画を立案する。

 以前お世話になった或る食品関係の中堅企業の社長が地方から上京してきて、
飯でも食おうと誘って下さった。「ホテルも大手町に取ったので、その辺がい
いな」と電話口で聞き、ああ、また幹部研修の一環かと理解した。社長は幹部
と見込んだ社員を東京の市場調査に連れて来る。経営に関する社長の判断を多
方面から話して聞かせる機会を持つ。そして深夜、ホテルの部屋の窓から、幹
部候補に大手町のビル群を見せる。不夜城の如く、明かりが各フロアから漏れ
ている。
「あれは電気の消し忘れじゃない。この時間になっても、皆が働いているとい
うことだ。それも優秀な大学を出た人間ばかりが集まった組織で、あれをやっ
ている。こんな会社がこの辺だけでもゴロゴロある。これに勝つために、せめ
て伍してやって行くために、何をすべきか考えてみろ」。社長がいつも市場調
査研修で聞かせる定番の話らしい。

 社長と二人で食事をしていると、社長が言う。
「市川。最近本屋に行っているか。うちの地元の小さな本屋でも、残業するな
って話の本が、何冊も置いてあるぞ。何。ワークライフバランス?働きもせず
に、どうやって食って行けって話なんだ。能力もカネも知名度もある奴が一時
間働くなら、こっちは何もないんだから、せめて3時間でも4時間でも働かな
きゃ、簡単に淘汰されるぞ」。
 食品会社社長との食事でも、食傷気味の話題になって、考え込んだ。
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次号予告:
 第241話 『理想の4分の一』 (2月10日発行) 
 映画でも話題になったブラック企業について意見を尋ねられた際に考えたこ
とをまとめてみた話です。ご期待下さい。

(完)