584 続・空ろな鳩穴

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経営コラム SOLID AS FAITH 第584号
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 ご愛読ありがとうございます。第584話をお届けします。

 円安が進んだせいもあって場所によっては外国人観光客が大挙して押し寄
せ、地元住民の生活が脅かされるほどになっています。しかし、よくよく見
ると、観光客のみならず、相応の割合の外国人が実は日本在住者や長期滞在
者であると分かることがあります。地続きの国境を越えて流入する移民や難
民がいない日本では、欧米とは大分状況が異なりますが、それでも在留外国
人の数はかなり大きくなっています。
 
 イスラム系住民を大量に難民として受け容れたEUでは、昨今のポリコレ的
発想でイスラム教の生活習慣や文化観に寛容な姿勢が基本とされてきました
が、寛容に受け容れた人々が自分達の習俗や価値観に違(たが)う人々に対
して非常に不寛容であることが多く、大きな社会不安の原因になっています。

 日本でも場所によっては学校のPTAも日本語が拙い保護者が多くて成立が
困難になっているなどの話を聞くことがあります。クルド人街やブラジル人
街、中国人街と呼ばれる場所などを歩いてみたこともありますが、日本の生
活習慣や社会制度を初期段階で教えるプロセスが必要であるように思われて
なりません。
 
 中小零細企業でもこうした在留外国人を労働力として活用している所は多
いものと思います。2022年の映画『ワタシタチハニンゲンダ!』で描かれた
ような問答無用のブラック待遇は論外ですが、日本の労働慣行や法的制度な
どを十分に教えて、無用な誤解やトラブルの原因を断つことが非常に重要だ
と思われます。
 
 今回の号は「消齢化社会」についての内容です。消齢化とは人々の消費に
纏わる価値観において年齢による違いが小さくなってきている現象を指して
います。これによりモノの販売、つまりマーケティングが非常に難しくなっ
たと言われていますが、元々マーケティングではターゲット・カスタマーを
綿密に設定することが重要であるのは、ほぼ常識論です。消齢化によってマ
ーケティングの立案プロセスの手抜きができなくなったと解釈する方が適切
であるのかもしれません。

 とは言え、消齢化が進行したのは間違いないものと思われます。本文は
2001年に発行した第36話『空ろな鳩穴』の続編として位置付けてみました。
併せてお読みいただくと、20年以上前から消齢化の現象は観察できていたこ
とが分かります。ひとときご一緒にこの現象と中小零細企業経営に対する影
響についてご一考ください。ご意見・ご感想をお待ちしております。頂戴し
たご感想などへのお返事の目標納期は5営業日!!

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 ■ 第36話『空ろな鳩穴』 http://tales.msi-group.org/?p=77
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その584:続・空ろな鳩穴

 持っているCDの曲が全曲収まっていて便利で、今でも全く壊れることがな
いiPODのクラシックを専用のスピーカーにセットして、仕事部屋で好きな曲
をかけながら仕事をしていると待っていた知己が現れる。仕事のキリの良い
所まで数分待ってと謝って、待っていてもらうと彼は音楽に耳を傾けていた。
そしてこの曲誰ですかと問う。

「今のは妖精帝国。その前のがHIGH and MIGHTY COLOR。あ、今始まったの
が電気式華憐音楽集団。2、3年に一つぐらいずつ、ちょっと好きになるバン
ドが見つかるかな。」
 私が答えると、私より10歳以上若い彼は「へぇ~。新しい“推しが”見つ
かるんですね。ジャンルはだいたい同じなんですか」とさらに尋ねた。

 第36話『空ろな鳩穴』を発行したのは2001年4月。当時37歳の私はそ
の中で…

「私は多分、70になってもヘビメタを聞くだろう。マーケティング論で言う
ターゲット顧客のセグメンテーションなど仮説でしかない。いとおしい商品
を購入してくれる何より大切な現実の顧客を前にして、自分勝手な枠組みで
しかその人を理解できないのなら愚かしい。」とターゲットとなる顧客の
ニーズや嗜好がセグメント化された属性の組み合わせと紐付けられるという
考え方を否定している。
 
 どのバンドにもコンサートに行くほどの情熱は失ったが、23年前の予想通
り、還暦を過ぎても好きな音楽のジャンルは変わらず、世の中でヘビメタと
括られるものに偏っている。

 博報堂生活総合研究所は30年におよぶ長期時系列調査「生活定点」の膨大
なデータの分析結果を『消齢化社会 年齢による違いが消えていく!生き方、
社会、ビジネスの未来予測』という書籍にまとめた。その趣旨はタイトルと
帯を見るだけで、人々の消費に纏わる価値観において年齢による違いが小さ
くなってきていることだと分かる。

「消齢化」の事例を件の書籍やネット記事に求めると、食分野では高齢者は
和食好きだと思われがちだったが、現在は60代でもハンバーグが好きな人が
20代と同じぐらい存在するなどとある。属性によるマーケティングが崩壊す
ると憂う声も見つかる。

 特に細分化した小さな市場の制覇を目指すべき中小零細企業は、ターゲッ
ト顧客を捉えるには独自のモデル像作りが必要だと、私のようなものでも今
世紀以前から知っていた。消費全般が飽和し記号消費が浸透した日本では年
齢を始めほぼ総ての属性が決まった消費の価値観に紐付かないのではないか。
私は多分、70になってもヘビメタ系が好きだろう。

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【MSIグループの仕入完了報告(抜粋)】

■『トコトンやさしい蒸留の本』 大江修造 著
■『社長の覚悟』 曽根康正 著
■『悪魔の傾聴 会話も人間関係も思いのままに操る』 中村淳彦 著
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
 MSIグループ 市川正人
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次号予告:
 第585話 『床上浸水』 (6月10日発行)
 インボイス制度を始めとして各種の制度が変わり、中小零細企業の経営を
揺るがしています。その他にもさまざまな要因で経営環境は不安定で厳しい
ものに変化しています。増える「あきらめ型倒産」の背景などを考えてみま
した。

(完)