『ウルヴァリン: X-MEN ZERO』

新宿の映画館で見られるラスト前日に、滑り込みで見ることができました。平日の夕方過ぎからの回でも、それなりに人はいて、なぜか全員男性でした。

Xメンはシリーズ全作を持っていて、基本、好きな映画群です。素晴らしいと思うのは、三作がどれも単体としても成立していて、ストーリー展開など、互いに関連しているにも拘らず、どれか一本を見ても、十分楽しめるようになっているように感じられることです。

その三作の中に断片的に登場する、“ウルヴァリンの過去”を紐解くストーリーが登場するとあって、これは見ねばとおもいつつ、風邪やら仕事の繁忙やらで延び延びになっていたのを、やっと見に行くことができました。

結論から言うと、どうも、目覚しい面白さがありません。特撮も面白く、ストーリーもそれなりに練りこんであります。さらに、軍の特殊部隊の話が全編を通しての背景にあるので、主要な登場人物は殆ど皆好戦的で、結果的にミュータントの能力をすぐに披露してくれる展開になります。そういう意味では面白いこと間違いなしなのですが、どうしても、Xメン三部作の脚注のような位置付けにしか思えないのです。

どのように話が転んでも、とどのつまりは、三部作が構成しているストーリー設定の枠組みに落ち着くことが見えている訳で、その意味で、子供時代のスコットやストームの登場などは、多少やりすぎの辻褄合わせのようにさえ感じられます。Xメン三部作のDVDに付録の特典映像として、このストーリーがついていたら丁度いいかもと思えてなりません。ですので、このDVDを買うことはないように思います。

日本のマンガやコミックのSFもので事足りる感じが非常にするので、見る気になれない『スター・ウォーズ』シリーズも、最初の何作かの以前の話が、後から複数登場するという流れだったはずですが、今回のウルヴァリンも、続編の余地を残して終わっています。しかし、一作目で早くも、Xメン三部作への落ち着きどころが散見される状態なので、それ以上に大きく話が逸れて膨らむことはないのではないのだろうかと考えてしまいます。

今回のウルヴァリンに登場する俳優陣の中で注目したのは、ウルヴァリンの兄です。『ディファイアンス』の主人公の兄弟のうち、ナチへのレジスタンスに身を投じる好戦的な兄貴役の男優が、ここでもウルヴァリンの好戦的な兄貴キャラで、二つの役がダブって見えたのは、個人的な笑いのポイントでした。

コミックやアニメの『ドラゴンボール』では、フュージョンと言う、登場人物間の合体技が登場します。Xメン三部作を見て、いつも思うのは、登場人物がフュージョンして、幾つかの能力を全部あわせて持っているキャラが登場しないものかと言うことでしたが、今回の映画では、ウルヴァリンを含む数人分の能力を併せ持つキャラが、やたら高次元な闘いっぷりを見せてくれて、楽しめました。

今回もこのような細かな見所は満載なので、次回作も映画館には足を運ぶことと思います。