234 与信調査

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経営コラム SOLID AS FAITH 第234号
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ご愛読ありがとうございます。第234話をお届けします。

 読者の皆様がこの号を受信してから5日後に、当コラムは創刊から10周年を
迎えます。今までの記念特別号などでも何回か書いている通り、発行の作業は
著者の私の生活習慣と化して今に至りました。その生活習慣の結果が読者の皆
様に何らかの発見や再認識を促すものであったなら、光栄です。長年の読者の
方も多々いらっしゃることと存じますが、ご愛読に心より感謝申し上げます。
10周年記念特別号の内容を今号のPR欄で紹介しております。是非ご一読下さ
い。

 クライアントの中小零細企業で初めて社員の勉強会を開催することになると、
社員を「選抜する」ことになります。選抜する側の経営者は、社員への期待を
込めて参加者に選抜しますし、参加者の多くもそのように感じながら、勉強会
に参加します。しかし、勉強会が継続するに連れて、その意識は薄れ、僅かな
「既得権意識」のようなものだけが残るだけになってしまうことが多々ありま
す。今回の号は、議事録の扱いに見て取れるそのような社員の意識変化を描い
てみました。組織から時間と言う投資を受けている社員が抱くべき緊張感や責
任感の維持についてご一考戴ければ幸いです。本文に対するご意見・ご感想を
お待ちしております。頂戴したご感想などへのお返事の目標納期は5営業日!!
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その234:与信調査

 開口一番に彼は、「緊張感。忘れていませんよ」と、微笑みながら背広の内
ポケットを探った。出した手の上には、私の予想通りの名刺入れ。大学時代か
ら知る彼の就職祝いに、素晴らしく高いものではないが、皮製のそれなりのも
のを贈ったのは三年前になる。
 
 新卒者は背広や靴、鞄などにそれなりに金を使う。大抵誰しもが似たような
格好になる。カラスのような真っ黒のスーツを卒業した後の女子と異なり、男
子は基本的に背広でバリエーションが限られている。「戦闘服」としての背広
を着ていても、毎日の怒られ作業に気概を持ち続けるのは大変だろう。職種に
もよるが、緊張・緊迫の瞬間は外部の人間との名刺交換ではないか。そんなこ
とを考えて、予算が不足であろう名刺入れを贈ることにした経緯の記憶が懐か
しさと共に蘇る。
 
 Keep it near and dear.
 留学時代に学んだネイティブっぽい英語表現の一つ。最初にこの表現に気付
いたのは、今も持ち歩く大学のマーク入りのキーホルダーを教授から貰った時。
身近に持っていて、大切に扱って欲しいという想いや、贈り主を時に思い出し
て欲しいという願いが、上手く込められ、韻を踏んだ小気味よい表現。語学の
基本は真似からとばかりに、この表現を使える機会を窺っていたのを思い出す。
 
 或るクライアント企業にお邪魔して、社長と雑談した。若手幹部の育成を目
的とした勉強会が長く続いた会社で、危機意識や行動力が出てきたと社長も効
果を体感していると言う。一方で社長は勉強会の密室化を憂いている。勉強会
への傍聴者は大歓迎だと言ったら、当初一ヶ月は幹部やら参加者の同僚が傍聴
に来た。それ以降、客足は遠のいたままだ。社内の壁に貼り出された議事録も
読まれている気配がない。社長からは、新しいメンバーで第二期開催を打診さ
れた。

 次の勉強会開始時、参加者の前に置かれた議事録を指差して言った。
「まるで今プリントアウトしてきたような、汚れも折り目もない議事録ですね。
皆さんが学び得たスキルや考え方は、皆さんの財産である前に、組織の財産で
なければなりません。だから、他の方々にも財産を共有してもらうようにする
のは皆さんの使命です。議事録を普段から持ち歩き、読み返し、書き込み、そ
して、周囲の人に、その内容について意見を求めて下さい。勉強会の内容を携
帯電話のように、持ち歩いて見せ歩いて下さい。その結果、周囲の方々を自分
も勉強会に参加したいと言わせられなかったら、社長判断の皆さんへの教育投
資は、殆ど無駄だったと判断して、私も反省し対策を練ることとします」。

 制服の傷みで社員の士気が分かるというコンサルタントのお話を伺ったこと
がある。ものが何であれ、貸与の結果は確認に値する。
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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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【MSIグループからのPR】

1999年10月31日の創刊から10年。
感謝を込めて、ソリアズ10周年記念特別号発行!
10周年記念特別号は、前編・後編の二部構成
題して『ソリアズ的オーナー経営者論概説』

前編:
9周年記念特別号、200話発行記念特別号でもお馴染みの
元弟子、市場真理子が大真面目に追及する…
ソリアズに登場する中小零細企業オーナー経営者像の研究結果。
10月末日発行!

後編:
著者がソリアズ読者像に近くなりつつあると考える…
二人の若手中小零細企業経営者から教えて貰った
ソリアズの感想・印象をまとめて、ドバッとご紹介。
そして、ビジネス書などに溢れる大手企業経営論について、
周囲の中小零細企業経営者の一言コメント集。
通常号のテイストは勿論、いつもの●周年記念特別号の内容よりも、
さらに砕けたスタイルで、ソリアズ的中小零細企業経営者の視点をご紹介。
11月末日発行!

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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
 合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
下のアドレスにご意見・ご感想を頂ければ幸いです。
 bizcom@msi-group.org
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インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を利用して
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毎月10日・25日発行 盆暮れ年始、一切休まず満10年。

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次号予告:
 第235話 『適正在庫維持』 (11月10日発行) 
 不況の影響か、在庫統制の取組みの話をクライアント企業でも耳にすること
が増えました。経営上の有形無形の資産のうち、何が利益に貢献しているのか
を見極めることは重要と言われています。弊社の在庫の維持に関して考えたこ
とをまとめてみました。

(完)