231 スポットの褪色

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経営コラム SOLID AS FAITH 第231号
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ご愛読ありがとうございます。第231話をお届けします。

 東京でも夜はTシャツだけでは涼し過ぎるような気候になって参りました。
暑い陽気が好きな私は、毎年この時期、モードチェンジを強いられるためか、
疲れやすく体調が今一つな状態になります。身一つの独立事業者ですので、仕
事の合間にゴロゴロよく寝るようにして体調を維持しております。選挙結果の
話題が、その後の政策の話題へと移り、民主政権の掲げる労働政策を、クライ
アント企業の実態に当てはめて考えると暗澹とするので、詳しい方々の意見を
伺ってみようかとぼんやり考えています。

 企画中の10周年記念号はほぼドラフトレベルの原稿が完成し、これから推敲
を重ねる段階となりました。ただ、(当り前ですが)そうそうない10周年記念
ですので、今回完成している特別号を前編として、さらに一ヵ月後などに後編
などを用意してみようかなどとも思い始めております。10月末日に発行する記
念号にて全体企画がどのようになるかをお披露目するつもりでおりますので、
ご期待下さい。

 今回の号は、久々に商業系の顧客満足のあり方と経営の持続を、超草の根レ
ベルから考えてみました。比較的発行間近までタイトルも検討を重ねた号で、
取り敢えず落ち着けられて安堵しております。本文に対するご意見・ご感想を
お待ちしております。頂戴したご感想などへのお返事の目標納期は5営業日!!
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その231:スポットの褪色

 駅の近くのその甘味屋で、「ん?」などと言いつつ、あんみつを食べている
と、線路の方向から行き交う電車の振動が伝わってくる。
「市川さん。この店はよく来るんですか。店員さんとは、微妙な親しさですよ
ね。市川さんの顔を何とか覚えていると言う感じですよ」と、私の提携事業者
になるために弟子入りしたいと言う女性が尋ねる。
「半年に一回来られるかどうかなんだけど、たまに来ないと落ち着かないんだ
よね」と私は応える。
「この店、聞いたことがないんだけど、どう考えても、30年以上はやっている
はずなんだ。店員さんも変わっているし、当然、内装なんかも微妙に来るたび
に変わっているんだけど、ずっとこの場所で、殆どメニューも変わらないの。
で、味もおいしいまんま。どうしてこういうことが起こるんだろ。何をどう努
力したら、こういう結果が生まれるんだろうね。ゴーイング・コンサーンって
言うじゃん。企業経営は永続するって言う前提で考えるって奴。大手でもそれ
を果たせない企業は沢山存在するから、資金や組織規模の問題じゃないよね。
歴代の店員の皆さんに集まって貰って、特性要因図でも書いてもらいたいよね」。

「お客様に選ばれ続けるってことですよね。市川さんは何がきっかけでこの店
に来始めたんですか」と彼女が尋ねる。
「ん。適当。昔近くに住んでて、当時はもっと甘い物好きだったから、単に入
っただけ」と私はそっけなく応える。

「商業集積って言うでしょ、店が集まっている所のこと。ちょっと商業集積の
見学に行きたくなったから」と言ったらついて来た彼女に、京王線の急行は止
まらないこの駅に向かうことを告げたら、なぜ流行の施設に行かないのかと詰
問された。東京ミッドタウンは長いこと「六本木ミッドタウン」だと思ってい
た。表参道ヒルズは表参道の駅で降りる用事があったらと心に決めて、行った
のはできてから2年後だった。噂のショッピングセンターの類は、郊外なので
なかなか行く機会に恵まれない。これらの殆どが、私が行く頃には閑散として
いる。人通りもまばらで、即興ミステリーショッパーズになっても、他の客に
迷惑がかからなくて良い。結果、閑散の理由らしきものに気づかされることも
多い。

 甘味処の暖簾をくぐり外に出ると、午後の日差しが眩しかった。25年前から
あまり変わらぬ商店街の風情を、目を細めて見渡しながら、私は話し始めた。
「FCの店とかが本当に少ない商店街だよね。空き店舗があまりできなかった
ってことじゃないかと思うんだけどね。でさ、定義にもよるんだけど、マーケ
ティングは継続的な利益を上げることが肝心な訳。ここの気さくな店主の皆さ
んは、間違いなくマーケティングで一定の成功を収めているよね。だって、半
年ぐらいだけは物見遊山の人々を集めるのが精一杯のでかい商業施設ではでき
ないようなことを、ずっとやってのけているんだから」。
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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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【MSIグループからのPR】

祝!? 新政権発足。
今一度見直してみたい労基対策…

と言うことで、
法対策は弊社の事業ドメインの範疇外なので、
あくまでも興味関心の域で、少し書籍などを読み返しています。

「ウンウン」と思わず頷かされたり、
辟易させられたりした書籍を、幾つかご紹介します。

●『雇用社会の25の疑問 労働法再入門』
  大内伸哉 著
●『「弱者」とはだれか』
  小浜逸郎 著
●『あなたが年収1000万円稼げない理由。
  給料氷河期を勝ち残るキャリア・デザイン』
  田中和彦 著
●『ニート世代の人事マネジメント』
  寺崎文勝 著
●『労務管理のことならこの1冊』
  高橋幸子 著
●『6時に帰るチーム術
  なぜ、あの部門は「残業なし」で「好成績」なのか?』
  小室淑恵 著

最近、時々遭遇するようになった、
個人を下請事業者として組織化している会社。
個人と会社の関係。社員雇用の意義。法律と労働行政のスタンス。
各種就労形態のプロ・コンなど、色々考えてみる必要があるかもしれません。
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
 合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
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次号予告:
 第232話 『ミサイルの軌道』 (9月25日発行) 
 唐津一氏の著作にあった大砲とミサイルの違いの説明に学んで、集合型セミ
ナーと勉強会の違いを考えてみました。多少含蓄が不足気味に感じられますが、
単刀直入な分かりやすい展開になっています。ご期待下さい。

(完)