『遺品整理屋 未来堂』 番外編@SKIP シティ

国際Dシネマ映画祭で見てきた二本目の映画です。
遺族に代わり死者の遺品の整理と廃棄に当たる全国展開の企業の沖縄営業所の人々の物語で、約1時間の映画です。

お笑いの芸人さんのコンビがたった5人(そのうち1人は頻出する想像のシーンに登場する亡くなった老婦人で、残りは所長を含む社員です)しかいない主要登場人物のうちの二人を占めているためか、軽快な会話で映画は進みます。現場に行って(所長を除く)社員全員で遺品の整理や廃棄の作業はそっちのけで、金目の物を物色する中で、老婦人の生前の生活の有り様を推理するようになり、周囲で連続する強盗殺人事件との関与が疑われたりして、コメディなのかサスペンスなのか、会社内の人情ものなのか、判然としないままに話が進んでいきます。ストーリーはとっちらかって、中途半端感がありますが、長時間バージョンの漫才か何かだと思って観ていると、かなり楽しめる作品です。

一つの妙味は、多分、沖縄弁だと思われます。登場人物達の沖縄弁は、まるで『ちゅらさん』の総集編でも見直しているが如く、思いっきりほのぼのと感じられます。回想シーンに出てくる老婦人の、オトナの事情」で会えないままになっている息子に対する情愛は、山ほど発見される手紙を読み上げる形で描かれていくのですが、これまた、『ちゅらさん』のオバアに全く引けを取りません。

亡き方の部屋に赴いて、こんなふざけた働き方をするのは不謹慎かとは分かっていても、一応、楽しめる映画です。遺体を囲んでその部屋で人々が生前を想像して笑い話になると言う展開は、最近見た『非女子図鑑』の中の「死ねない女」の話の方が、面白さは一段上です。しかし、全体のほのぼの感には好感が持てる映画でした。