『非女子図鑑』

渋谷のラブホテル街に程近い映画館で見てきました。

非女子とは何であるのかは、映画を見る前も分りませんでしたが、見ても答えがイマイチ分らないままです。パンフレットには「自分に正直すぎる女子たちの涙ぐましい物語」のようなことが書かれていますが、鳥居みゆき出演で話題のオープニングも含めて全7話の内、涙ぐましさを十分に感じさせる話は半分に満たないように思えます。

過去にオムニバス形式の映画で好きなものは、『ユメ十夜』や同時期に公開された『ユメ十夜・海賊版』、『ラブホテルズ』、さらに古くは『バカヤロー』シリーズまで多々あります。これらのオムニバス映画で、何となく好きだと思えるための最低条件は、やはり、その構成作品の半数以上が面白いなり好ましいなりに思えることではないかと、漠然と考えました。

その観点から見ると、この作品はボーダーラインギリギリの辺りにあります。ストーリーだけでみると、やはり、先述の「涙ぐましさ」がにじみ出ている作品は面白く感じられましたから、文句なく選べるのは片桐はいり主演の快作『男の証明』と、自分の遺体を見て人がどう思うかが気になってなかなか死に至れない『死ねない女』の話の二本だけです。ちなみに前者は私がマンションを借りている付近が舞台となっていて、後者はクライアントの事務所がある武蔵小山の商店街をヒロインが駆け回ります。この二作は、劇場内で周囲から笑い声が聞かれた二作でもあります。

あとは、雑誌『サイゾー』で紹介されていたなんとも眠そうな顔のヒロイン、江口のりこの怪演と、ボウケンジャー出演時からタヌキ顔とプロポーションがセットで大好きな山崎真実が、『ペルソナ』でも見せたアクションをガッツリ披露していることぐらいが、私にとっての見所です。

多作品に分散投資したポートフォリオ形成によって、ドハズレのリスクを押さえるというこの作品のマーケティング・コンセプトに見事に嵌っていると自覚せざるを得ません。トータルで好きな映画かと言えば、評価は間違いなく及第点以下ですが、ポイント毎に後からでも見たい部分は確実にあり、チャプター毎のばら売りDVDがない以上、DVDは買うかレンタルするかなどの方法で、一応、入手したくなることと思います。