223 不合理な難題

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経営コラム SOLID AS FAITH 第223号
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ご愛読ありがとうございます。第223話をお届けします。

 ゴールデン・ウィークは如何お過ごしでしたでしょうか。祝日でも関係なく
営業しているクライアント企業が増えているため、弊社の業務はゴールデン・
ウィークもあまり平常と変わりなく過ぎました。それでも、仕事場には新しい
シュレッダーを持ち込んで古い書類を整理したり、恒例になった人間ドックに
行ったりなど、色々普段ではできないことに手を付けてみました。

 購入したままになっていた書籍も棚から引きずり出して読んだりもして、ソ
リアズの数話分のネタもできました。十話程度のストックがありますので、半
年近く後には、皆様にお読み戴けるものと思います。ご期待下さい。

 今回の号は、飲み屋さんで知り合った心療内科医の方から聞かされた、「合
理的な課題」と「不合理な課題」について考えてみたものです。遥か以前、留
学時代の恋愛話まで登場する変な展開の話ですが、お楽しみ戴けましたら幸い
です。本文に対するご意見・ご感想をお待ちしております。頂戴したご感想な
どへのお返事の目標納期は5営業日!!
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その223:不合理な難題

 食品加工の現場に行くと、社長自らが足早に動き回っていて、繁忙の極みだ
った。話す時間も惜しいと言った様子の社長との会話を終えて、周囲を見渡す
と食品を入れるビニール袋やポリ容器は散在し、最終のカートンさえ置き場で
山が崩れている。数ヶ月前に別件で訪問した時は、仕事が減っていて、現場は
閑散としていた。そんな中、社長は現場の真ん中に仁王立ちになって、「5S
ができていない」「たるみが事故につながる」と社員を叱咤していた。売上は
総てを癒すと聞くが、5Sの不徹底まで癒すのかどうか私は知らない。

 二十年近く前の米国オレゴン州の片田舎で、当時交際していた女子学生は、
私の卒業が半年後に見えて来た時、「どうしようもないよね」とぽつりと言っ
た。彼女とは馬があった。「この場面で笑い出すのは何故なのよ」、「こんな
ときにフェアじゃないと感じるのは何でだよ」と、議論は尽きなかったし、罵
り合うことも多々あった。異文化の壁を越えて分かり合う努力とはこのような
ものと、理解できたのは彼女の存在が故と今でも思う。

 彼女は日本どころか、海外にさえ興味はない。私も、「私たちが信じる神の
名において」と総ての紙幣にまで書き込まねば気が済まない宗教文化には辟易
していた。貧乏故に在学期間を縮めに縮めて、二年半で専攻二つを卒業資格取
得に持ち込んだ。体を壊すほどの無理が、結果的に彼女との時間を削り取って
いくことに耐えられなくなって、頭がおかしくなりそうになった。そんな中、
3歳の時に両親が離婚して以来、会ったこともなかった父が急逝し、遺産相続
を巡って太平洋をまたいだ諍いが起きた。考えても、その場ではどうにもなら
ないことが増えすぎて、奇行が増えたとホストファミリーも心配した。まとも
にできたのは習慣化した勉強だけだったので、単位を余計にとってまともな自
分を維持しようとした。
 
 飲み屋で会った、その心療内科医は、「ああ、それは離婚とかの状況と似て
いるけど、もっと複雑ですね」と、話の流れで聞くことになった私の昔話につ
いて微笑んで言った。
「で、結局、市川さんは、どうしたんですか。その後。単位を沢山とって、そ
れに集中している間は、どうにもならない問題から逃避できた訳ですよね。勿
論、ずっとどうにもならない問題に向き合っていたら、ストレスにやられてし
まいます。ただ、対症療法と言うか、時間稼ぎに過ぎなかったんじゃないです
か」。

 この話が面白くなってきて聞き入る私に彼はこう締め括った。
「相手さん次第の不合理な課題と言うのは、人生の上でよく起きるんですよ。
それが解けないからって、合理的な課題を山積みしてみて解ける自分を自覚す
るってことですよね。合理的な課題は合理的なんですから、解けるんですよ。
その間、放っておいた不合理な課題の方は、大抵、去りもしなければ解かれも
しないので、余計悪化することになりますね」。
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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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【MSIグループからのPR】

まだ、先といえば先なのですが…。
今年10月末日で、当コラム『経営コラム SOLID AS FAITH』は、
とうとう、創刊十周年を迎えます。

何とはなしに、記念号は何を書こうかなぁと、
考え始めてみました。
大抵のやりたい企画は、今までの9回の記念号でやりつくしています。

5月に入って、6月ぐらいまでは、
ゆっくり企画を考えてみようと思っております。

そこで、
【ソリアズ創刊十周年特別記念号 構成企画大募集】

ということで、
何か企画案などがございましたら、
アイディア・レベルで全く構いませんので、
メールにてご一報戴ければ幸いです。
 bizcom@msi-group.org

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弊社代表のオリジナルブログが大幅更改!!
MSI?TALES
 http://tales.msi-group.org/

今まで、一覧性がイマイチで、
閲覧者の方々には、ご不便をかけて参りましたが、
ブログの立上げを支援・指導戴いている方々のご尽力で
一覧性が大幅に向上いたしました。

●トップページには最新の記事を全文掲示し…、
●その他の記事は…
 カレンダーや、カテゴリータイトル、そして、含まれる言葉など、
 各種の方法で閲覧できるようになりました。
●タイトルの一覧も、従来の一ページ5タイトルから、一気に増量。

普通のブログを読みなれている方々から見ても、
一覧性、操作性が向上し、
やっと並みのブログに近づいたものと思います。
好評の映画評も50作を超えました。
是非、ご覧下さい。

注意:
 今回のブログの大幅更改の結果、過去、ソリアズの本文表示などで使用され
ていたURLのうち、無効になっているものが発生しております。その場合に
は、大変申し訳ありませんが、該当ページの新URLをご確認戴くこととなり
ます。
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
 合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
下のアドレスにご意見・ご感想を頂ければ幸いです。
 bizcom@msi-group.org
このメールマガジンは、
インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を利用して
 発行しています。
 (http://www.mag2.com/ ) 
毎月10日・25日発行 盆暮れ年始、一切休まず もうすぐ満10年。

マガジンID:0000019921 (ナント、たった5ケタ)
★全バックナンバーはまぐまぐのサイトで掲示されております。
 http://blog.mag2.com/m/log/0000019921
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 ソリアズのバックナンバーも各号の全文が読める弊社ブログ。
 http://tales.msi-group.org/?cat=2
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 http://www.msi-group.org/SAF-index.html
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次号予告:
 第224話 『テキスト・ウィルス』 (5月25日発行) 
 職人芸のような人材紹介業の業務を行なう知人との会話から、情熱を帯びる
言葉の影響力について考えてみました。ご期待下さい。

(完)