211 尊属の理解

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経営コラム SOLID AS FAITH 第211号
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ご愛読ありがとうございます。第211話をお届けします。

 9周年特別記念号の発行も無事終わり、今年の発行も残す所4号となりまし
た。9周年記念特別号はお楽しみ戴けましたでしょうか。かなり変な、且つ気
恥ずかしいタイトルでしたが、それなりには中身のある特別記念号になったも
のと思っております。

 今回の号は、偶然近所に住んでいることを知った高校時代の同級生と話して
いる時に考えた、親を含む親族との共感や理解についてまとめたものです。こ
れは私の仕事の領域では後継者への事業承継に直接関わって来る重要なテーマ
です。年を取るに連れて、クライアントの担当者は、社長就任が数年後に迫っ
た後継者であるケースが増えてきています。新しい案件のお話を伺うたびに、
オーナー家の中の理解や共感のあり方に色々と考えさせられることがあります。
 
 本文に対するご意見・ご感想をお待ちしております。頂戴したご感想などへ
のお返事の目標納期は5営業日!!
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その211:尊属の理解

「身も蓋もない言い方だけど、親って言ってもさ。他人だと思ったほうが良い
のじゃないかな。俺は永遠に分かり合えることなんか無いんじゃないかと思っ
てるけど」。
 喫茶店の二人席で、私は高校時代の同級生の女性を前に、静かに言い放った。
 
 彼女とは偶然近所に住んでいることを数年前にお互いに知った。久々に会っ
てみると、高校生と中学生の子供を引き取って最近離婚に至ったと言う。離婚
後半年を経て、現在の交際相手と実家を訪ねようとしたら、地方に住む母は訪
問を拒んだと言う。互いの家族の状況など当り前に知れ渡る地域社会の中、彼
女の母は周囲に彼女の離婚の事実も話せないで居る。帰省時には、両親の離婚
について孫にも口止めするのだと言う。親とも分かり合えないまま、いつまで
も後ろめたい様な気持ちを抱えて生きていかなきゃ駄目なのかなと、彼女は嘆
息した。
 
 偏差値の低い片田舎の高校から、当時で言う準公務員に合格するだけでも、
私は一応貴重な存在で、その上、入社後は選抜試験を経て本社直轄の二年間の
研修にも行った。その会社を辞め、その後の当ても何もないのに、当時持って
いた貯金を全部投げ打って留学すると言い出した時、たった一人で私を育てて
くれた親は泣いた。親戚も皆反対した。特にその会社で課長になっていた叔父
は、私を狂人呼ばわりした。
 
 妻の両親は大学教授と非常勤教員。妻との結婚の際に、片親の子供で日本の
大学にさえ行けなかった者とは土壌が違うと、彼らは激しく反対し、怪文書を
練り、私の上司の家に押しかけ、調査会社に私を長く尾行させた。いつか説得
すると言っていた妻も諦め、親族の誰もが出席しない状態で、留学時代にお世
話になった夫婦に協力してもらって、南海の島で挙式した。
 
 人は理解できるか。クライアント企業の社長から問われることは多い。かな
り堅いと思われた内定者はあっさりメール一本で辞退する。長年勤めた幹部は
家族の都合とやらで、簡単に退職する。理由を告げることも無く、店の十数年
の常連は突如姿を消す。後継予定の実の息子でさえ、継承目前で逃避したと言
う社長の嗚咽も聞いたことがある。親だから、子だから、理解できるなどとは、
到底思えない。
 
 多分理解し得る。しかし分からない。価値を完全に共有することも、心情を
ぶれなく共感することも、絶対無理だと心得た方が良い。行きつけの飲み屋の
ママから、「女が分からないとか、いい年をして言う客が居てさ。市川さん、
あんたもその口かい」と嘲られて頭を掻く。だからこそ、私の行き当たりばっ
たりのやっつけ仕事は注文を頂戴できる。中でも十人十色の後継者育成の案件
には予想外の展開が待っていて、取組んで飽きない。
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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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【MSIグループからのPR】

= 今一度、考えてみる社内勉強会 =

 社員による勉強会を継続して行ない、
 社内の各種課題の解決に成功している
 クライアント企業が増えています。

8年前の独立時には、そのような言葉もなく、
「何かをしなければ、このままでは行き詰る」と言う漠然とした依頼に、
消去法的にやれることから手を付けたのが、
後にその依頼主の社長が「勉強会」と名付けた社員の活動でした。

その企画と運営を弊社サービスとして、他社にも提案したところ、
時を経て、弊社の基幹事業に成長しました。

株式会社TKC様発行の『戦略経営者』2007年12月号に
『やってみたら育った! わが社の勉強会』
と言う特集が企画され、
前述のように弊社の勉強会企画運営サービス案出のきっかけとなった
株式会社ハラサワ様の勉強会の取組みが紹介されました。

ハラサワ様のサイト上に発行元の了承を得て、記事がアップされています。
弊社の社内勉強会紹介のページは、
ハラサワ様のサイトの該当ページへのリンクも設置し、
子ページも各種増設し、徐々に更改されています。
是非是非、ご一読下さい。盛りだくさんです。

http://www.msi-group.org/MSI-4sessions.html

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弊社代表のオリジナルブログが完成!!

 ● ソリアズのネタにもなっている留学時代の悪戦苦闘を描いた
 『 My Life In Klamath Falls 』(英文)
 ● 東京で見た映画の感想を備忘目的で書き留めた
 『脱兎見!東京キネマ』
 ● そして、勿論、弊社代表が足掛け10年書き続けて、今尚続く
 『経営コラム SOLID AS FAITH 』

 全部まとめて、ブログになりました。題して…
 MSI?TALES
 http://tales.msi-group.org/

 特に映画の感想を増量して30本文以上となりました。
 お楽しみ下さい。

使い勝手がちょっとイマイチかもしれませんが、
内容・機能性、共に発展途上中です。
カテゴリーの細かい分類が自慢です。
是非、お楽しみ下さい。

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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
 合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
下のアドレスにご意見・ご感想を頂ければ幸いです。
 bizcom@msi-group.org
このメールマガジンは、
インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を利用して
 発行しています。
 (http://www.mag2.com/ ) 
毎月10日・25日発行 盆暮れ年始、一切休まず 足掛け10年目。

マガジンID:0000019921 (ナント、たった5ケタ)
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次号予告:
 第212話 『ベスト・エフォート』 (11月25日発行)
 最近の引き合いをほぼ同時に戴いた店舗をチェーン展開している二社に共通
の悩み、成功体験への拘泥と行過ぎた権限委譲について考えてみました。久々
に実務的な内容だと思います。ご期待下さい。

(完)