208 寓話119番

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経営コラム SOLID AS FAITH 第208号
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ご愛読ありがとうございます。第208話をお届けします。

 9月も終わりに近づきまして、季節は大分秋めいて参りました。暑い方が、
体調が良くなる私は、体のモードが冬に切り替わっていないせいか、眠い毎日
を過ごしております。皆様は如何お過ごしでしょうか。

 9周年記念号の企画を鋭意進めております。この調子でまた一回り一年を過
ぎると、とうとう10周年になるのかと、9周年記念号も完成していないうち
から感慨に耽っております。また、一方で、完成原稿の在庫ストックが少なく
なってきておりますので、こちらもネタ帳から文書構成をしなくてはと、重い
腰を上げようかと思ったりもしております。9周年記念号も含めて、色々と練
りたいと思っておりますので、今後もご愛読賜れますよう、よろしくお願い申
し上げます。

 今回の208話は、クライアント先で消防署への連絡に言及することが多いこ
とにふと気付いてまとめた、消防署ネタの号です。中小零細組織で求められる
働き方、中小零細企業の幹部の心得など。消防署をネタにしてどのように説明
するか、ご笑覧下さい。本文に対するご意見・ご感想をお待ちしております。
頂戴したご感想などへのお返事の目標納期は5営業日!!
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その208:寓話119番

「例えば、今自分が、劫火に包まれている自分の家の前に立っています。中に
はまだ家族も逃げ遅れているかもしれません。どう言う経緯でそうなったかは
置いておいて、そういう場面になってしまいました。見回すと、誰が用意した
のか、水が一杯に入ったバケツが5、6個置いてあります。その時、あなたな
らどうしますか。
 死んだら元も子もないし、119番には連絡したし、火を消すのは消防署の
仕事だからと、そこに突っ立って、中に居るやも知れない家族が焼け死んでい
く可能性をそのままに、我が家が燃え落ちて行くのを見ていられますか。私な
ら、そうはしません。水を数杯被って、残りのバケツを持てるだけ持って、水
を撒きながら中に入って、家族を探して居なければ、通帳とかだけでも持ち出
そうとするでしょう。消防署は最後の最後、赤の他人。自分の家を自分が守ら
なくて他の誰に守る理由があるのですか」。
 
「火事場の喩え」と私が呼ぶ話を、クライアント企業の幹部達に聞かせる。彼
らは自分の部署に来る新卒の部下達の質が低いのは人事部のせいであると言う。
だから、人事部は責任を取って、自分達の手を煩わせず、入社後の育成をきち
んとすべきだと言う。その間、その新卒が電話応対をできなくて、不愉快にし
てしまったお客様に、「この社員は新卒ですから、育成の義務は人事部にあり
まして、人事部にクレームを入れて下さい」と案内するのか。自部署の社員を
自部署が育成しなくて何が管理者かと私は問う。

 大きな組織の中で、誰もが組織の何にでもものを言い、何にでも勝手に手を
出し始めたら、混乱を来たす。セクト主義にも一応の理由がある。小さな組織
では、組織の問題は自分の問題。不定形の仕事は溢れ、担当部署の決まらない
仕事は日々発生し、誰かがそれを片付けなくてはならない。自責意識。自らの
行動に裏打ちされた現場力。それがよりモノを言うのは中小零細企業の組織で
あろうと、私は思っている。

 勢い余って、大手企業出身者の価値観に言及してしまった。
「私が人材紹介の仕事をしていた頃、バブル崩壊直後に大手企業を早期退職し
た人々を中小零細企業へ送り込むには、それなりに教育が必要だということに
なって、中小零細企業へインターンシップに行ってもらうことにしました。受
入先では、2日間ぐらい社長の鞄持ちをしてもらって、中小企業経営者の考え
方などを学んで戴くと言うものです。で、終了後、色々見聞きしたことを報告
してもらうのですが、社長が自分で自分の机を雑巾がけしていたり、熱帯魚の
水槽の水を替えているのを見て驚いている人が出てくる始末でした。大手では
それは誰がやるのでしょうか」。

 そんな話をしていて、ふと思い出した。件の大手出身の中高年人材には、十
八番の喩えを聞かせていた。「川で溺れている人を見つけたら、119番に電
話しに行くのが大手企業出身者。例えカナヅチでも川に飛び込んで助けようと
するのが中小零細企業の人々」と。火事も病人も出さないのに、消防署には商
売で色々とお世話になっているので、今年も喜んで税金を納めねばならない。
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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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大好評。愛社精神研修のご案内

御社の社員の皆様は、自社の良いところを認識していますか。
 それをきちんと取引先などの外部の方々に話し伝えることができますか。

当コラム第198話『数寄の理屈』でも紹介された
「愛社精神研修」が効きます。

お客様の中の熱烈なファン作りが直ぐには無理でも、
自社の社員が自社を良いものと語れなくて、
どうやって、外部の人々に自社の良さが伝わるでしょうか。
わざわざコストをかけて、広告するのでしょうか。

居酒屋を満たす会社員の愚痴は聞き苦しいことこの上ありません。
それが会社の良さについての議論だったら、どんなに良いでしょう。
自社の良さを認識すること。口に出して言うこと。
これらは、その良さをさらに強め、伝播させてゆく原動力です。

愛社精神研修を是非ご検討下さい。
 実施イメージは第198話『数寄の理屈』にて
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「愛社精神研修」の延長線上で、
「理念浸透プロジェクト」の企画運営も開始致しました。

そもそも弊社では、
理念や経営方針を声高に謳うことへは、あまり賛同しておりません。

当コラムでも、そのように考える根拠を述べてきましたが、
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若手社員の育成や定着に、理念の浸透を図りたいとのご要望で、
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 理念は何故大切なのか。
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 『 My Life In Klamath Falls 』(英文)
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 『脱兎見!東京キネマ』
 ● そして、勿論、弊社代表が足掛け9年書き続けて、今尚続く
 『経営コラム SOLID AS FAITH 』

 全部まとめて、ブログになりました。題して…
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 最近、特に映画の感想を増量しております。
 お楽しみ下さい。

使い勝手がちょっとイマイチかもしれませんが、
内容・機能性、共に発展途上中です。
カテゴリーの細かい分類が自慢です。
是非、お楽しみ下さい。
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
 合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
下のアドレスにご意見・ご感想を頂ければ幸いです。
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 発行しています。
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次号予告:
 第209話 『官能作家の憂鬱』 (10月10日発行)
 行きつけの飲み屋さんに来ていた現役ポルノ小説家の話を聞いていて、仕事
のあり方について考えたことをまとめてみました。やや当り前すぎる話かもし
れませんが、お付き合い下さい。

(完)