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経営コラム SOLID AS FAITH 第551号
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ご愛読ありがとうございます。今年最初の当コラム、第551話をお届けしま
す。
新年になって10日目となりました。連休もありましたが、年末年始も休まな
いサービス業の方々は勿論、多くの企業で既に通常モードの業務になっている
かもしれません。MSIグループでは、今年も年賀のご挨拶ではなく、寒中見舞
いをお世話になった方々にお届けしております。既にその存在を十分ご存じの
方(つまり、今更それを受け取ってもあまり驚かない方)などを中心に一部を
メールなどによる送信に置き換えつつ、概ね2月の上旬までに順次お届けして
いこうと考えております。
今年の寒中見舞いのテーマはVUCA下の中小零細企業経営です。A5サイズにコ
ンパクトにVUCAに対応する中小零細企業経営の鉄則めいたものをまとめました
ので、是非、ご高覧ください。頷いていただける内容になっているものと思い
ます。(大変恐縮ながら枚数をかなり限定いたしましたので、2月中旬ごろに
なってもお手元に届いていない方で、内容にご関心を賜れましたら、是非、
MSIグループまでメールにてご連絡ください。データ、または紙で急ぎお送り
いたします。)
今回の寒中見舞いでは(コンパクトにエッセンスだけにしたので)含められ
ていませんが、最近、遅ればせながら、OODAループを勉強しております。機動
的な対応が常に求められるVUCAの時代のあるべき組織運用原則の主要な手法と
考えらえるように思っています。中小零細企業経営の一つの考え方として、咀
嚼をきちんとできましたら、また報告したいと思っております。
今回お届けする『陸奥(みちのく)の惨状』は、当初『陸奥(みちのく)の
ディモチベータ』というタイトルでしたが、比較的最近読んだ何冊かの書籍で
東日本大震災の大被害後の人々の日常の記述を多数読むことになって、敢えて
改題しました。東日本大震災の大被害は、当コラムで論じる余地もないほど、
人々に広く色々な角度から知られているものと思っています。それとは別に、
この地の就活に臨む学生達から見た企業群のありようもほぼ全くと言って良い
ほど魅力を欠き、その上、そんな学生達との直接の接点である合同説明会にお
いてさえ、学生達をまともに遇しない企業担当者ばかりという惨状は目を覆わ
んばかりでした。
自社の名前を書いた幟を掲げたブースで、大学から社会への最初の一歩を踏
み出そうとする学生達を、迎える入れる意欲も育てる姿勢も見て取れない企業
ばかりでした。単にそういった企業が人材を採用する機会を失うだけではなく、
学生達の働くことへの関心や意欲を根こそぎ破壊してしまうような場に見えま
した。人件費高騰が進む中、有能な社員を抱えた組織になるために必要なこと
を、ご一緒にお考えいただければと思っております。ご意見・ご感想をお待ち
しております。頂戴したご感想などへのお返事の目標納期は5営業日!!
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その551:陸奥(みちのく)の惨状
東京駅から2時間ほど。新幹線を降りて車で十分余りの会場に入ると、100社
分と聞く簡素なブースが通称武漢ウイルス対策でやたらに間隔をあけて配置さ
れている。県が主催している4年制大学新卒者向けの県下企業の合同説明会会
場。開催はたった1日。3時間半。
閑散甚だしい会場を逍遥すると、後ろの壁に何のパネルもポスターも展示し
ていず、小さなプレートに書かれた社名を近寄って見なくては、社名も業種も
分からないブースもかなりある。社名を入れた幟を立てている企業も少なくな
いが、学生が自分達の日常生活の中で知っているBtoC企業でもなければ、殆ど
無意味だろう。
ブース毎に定員は二名と決められている。驚くことに、ブース内担当者は数
人のレアな例外を除いて全員簡素なテーブルの奥にヤドカリのように縮こまっ
て座ったままで、立ち姿勢で学生を招き入れる者は一人もいない。会社資料を
手に持って待機している者もいない。ブースの奥でも、腕も足も組んで傲然と
座っている担当者、どういう骨盤形状なのか両脚を90度以上開いてのけぞって
掛けている者も多い。まあまあまともな姿勢の担当者の半分はスマホを弄って
いて、周囲を歩く学生に目もくれない。
見かけの態度が如何わしいだけではない。外部から招いたであろう若手女性
担当者と並んで座っている老男性担当者は子供のようにはしゃいで、武勇伝ら
しき話を延々と話して聞かせている。遠くから見ると、閉店間際で照明が点い
た後のキャバクラの居座り客にしか見えない。余程、社内では抑圧されている
人間が多いのか、そういう人間関係性があからさまなブースが幾つも見つかる。
その横に社名を書いた幟が与太っている。
『13歳のハローワーク』がヒットして、職業教育ブームがどれほど過熱しても
尚、多くの学生達は会社の仕組みも社会の仕組みもよく分からず就活に臨む。
県の担当者に聞いた学生達のバイトの殆どはコンビニかファミレスに集中して
いるという。彼らにとってバイトとは違う正社員の仕事とは何だろうか。そし
てどのような仕事や職場環境が彼らには魅力的に映るのか。大手企業が存在し
ない地方経済で、学生達の選択基準は何なのか。
仮にそんな答えを経営者が想定している企業が会場の100社の中に1社でも
あったとして、その答えを伝達する能力を持ち合わせた担当者は皆無に見えた。
どれほどYouTuberに劣る説明動画をテーブル上に用意しようと、遠目に見る担
当者が既に品位に欠ける。
担当者の人件費を投じて、自社の幟の下、社員の愚劣な態度を学生達に見せ
つける企業群。会場を彷徨する学生達。県担当者は私に真顔で「毎年こんな感
じです」と語った。
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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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【MSIグループの仕入完了報告(抜粋)】
■『日本電産流「V字回復経営」の教科書』 川勝宣昭 著
■『川島隆太・陰山英男・杉田久信の驚異の学力づくり』
川島隆太・陰山英男・杉田久信 共著
■『ヒトラーの大衆扇動術』 許成準 著
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
MSIグループ 市川正人
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次号予告:
第552話 『電子的若者』 (1月25日発行)
新年早々の東北の新卒者向けの合同説明会の話に続いて、次号は茨城県を訪
れた話です。その地方都市の人々の生活を見て「企業の差別化」について考え
てみました。
(完)