550 続・意見の伝達

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経営コラム SOLID AS FAITH 第550号
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 ご愛読ありがとうございます。第550話をお届けします。

 今年最後の発行号となりました。今年はどのような年だったでしょうか。ま
た、今日クリスマス当日はどのようにお過ごしになるでしょうか。

 弊社代表の市川が予見していたよりも早く150円を突破するような円安は回
避され、今年春頃のレートに戻りつつあります。しかし、つい数年前まで当た
り前だったグローバル化は、完全にブロック経済への潮流に代わり、通称武漢
ウイルスは、じわじわと日常の中に浸透して意識されなくなりました。海外に
比べて全く小さい割合ながら、国内でインフレも進み、つい数年前までは当た
り前だったデフレが全く嘘のようになりました。
 
 中小零細企業の経営環境も激変しています。クライアント企業において、新
卒採用をするのにも、昨年の学生人物像をまず疑って、新たなモデル設定の必
要性を検討するところから始めなくてはなりません。お客様に向けて毎年恒例
のキャンペーンを打つ前に、ターゲットのお客様のニーズを改めて検証しなく
ては、危なくてコストを投じて販促に打って出ることができません。
 
 人口構成の変化も止まる所を知らず、高齢者の構成比はどんどん増えて行き
ますから、定年で退職する社員だけでも社員数は放っておくと以前にも増して
減っていきます。単なる人員減ならICT導入や機械化でカバーできるかも知れ
ませんが、貴重なノウハウも退職者と共に消滅するのではお話になりません。
会社存続のために一日も早く暗黙知の伝承が必要です。5ヶ年計画と言った途
方もない遠い未来でもなく、しかしただ毎日を繰り返すのでもない、微妙な短
中期の視点が常に求められる時代になりました。年末には来年前半に何を達成
するかをお考えになるのも良いかと思います。
 
 今回お届けする『続・意見の伝達』は、今ではあまり耳にしなくなった英会
話上達法をネタにして、人間の持つ語彙とそれで表現される世界観について考
えてみたものです。聖書中の意味とは異なるかもしれませんが、組織において
「始めに言葉ありき」は定石のように思えます。ご一緒にお考えください。ご
意見・ご感想をお待ちしております。頂戴したご感想などへのお返事の目標納
期は5営業日!!

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その550:続・意見の伝達

「留学前の市川さんは大学の受験勉強をしたことがなかったので語彙力がなく
て英検一級に受からなくて困っていて、それで、何でしたっけ。あ。英語道。
それに巡り合って、そこの先生に『ヘビメタの歌詞を覚えろ』と言われて、い
きなり語彙力が上がったんですよね。けれども、語彙力ってそんなに必要なん
でしょうか。よく『500単語で完結する英会話』とかいうような本とかってあ
るじゃないですか。ああいうテクニックを極める方が現地の人々の会話に合っ
ているんじゃないですかね」。
 今度、米国企業の日本法人に転職するらしい知人が私に英語学習の方法を尋
ねてきた。彼とは長年の付き合いがあり、彼の言う私の語彙力伸長法も、多少
の誤解の気配を感じるものの、事実関係として間違っていない。私は500単語
の話を聞いて思考を巡らせた。
 
 500単語の品詞構成比を訝る。do、have、give、get、makeなど用途が多様な
動詞は存在する。それ以上にfuckは品詞横断的に多様な意味に使われると留学
時代の友人が言っていたのを思いだす。500単語の中に交通標識にもあるyield
やmergeまで含まれているとは到底思えない。自動車大国米国で道路標識も読
めずに英会話が完結するだろうか。
 
 比較的最近読んだベストセラーの新書にはケーキを三等分できないような非
行少年達が少年院などの施設には多数いて、彼らは人間の表情も読み取れない
から、じっとこちらを見ている第三者は「ムカつく奴」になりやすく、トラブ
ルを起こしやすいというような話があった。表情がどの程度先天的に読めるも
のなのか分からないが、感情についての最低限の概念分類がなければ、世の中
は「ムカつく奴」と「ムカつかない奴」の二種類の人間しかいなくなってしま
うのかもしれない。500単語にそれらの感情は含まれているのか。
 
「たとえば、美味しいご飯を食べたときや、すごく好みの洋服に出会ったとき、
いつも『すごい!』『すばらしい!』『やばい!』ではなんとも残念ではない
でしょうか?
 本当はそれぞれに違う感情を抱いているのに、表現する手段を知らないため
に、その感覚に蓋をしてしまっているのかもしれません。」
 芸術系の職業分野に娘が進もうとしていることからの無意識的な関心か、書
店でふと目に留まった本『感性のある人が習慣にしていること』を買った。
「『同義語』を学んでみる」という項に出てきた言葉。その後も著者は「人は
言葉によって世界を認知して」おり、表現を広げることで世の中を見る解像度
を上げることができると繰り返している。
 
 500単語で生活が完結する人々は感性が極限に欠落しているのだろう。物事
の肌理を削ぎ落せば情報化はしやすい。500単語の世界は機械のものになって、
500単語の会話も自動翻訳で学ぶ価値を失う。その時500単語の世界の住人も多
くの価値を失ってしまいそうだ。
 
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【MSIグループの仕入完了報告(抜粋)】

■『スピリチュアルズ 「わたし」の謎』 橘玲 著
■『あかね噺 1』 末永裕樹 原作 / 馬上鷹将 作画
■『そもそも「論理的に考える」ってどうすれば…』 深沢真太郎 著
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
 合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
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次号予告:
 第551話 『陸奥(みちのく)の惨状』 (1月10日発行) 
 東北の新卒者向けの合同説明会に参加した際に感じた企業ブランドの価値に
ついて少々まとめてみました。合同説明会のみならず、展示会などに出展する
際にも参考にしていただける内容かもしれません。

(完)