『クローバーフィールド』

最近多い、ハンディカメラ風映画の話題作ですが、歌舞伎町で祝日に見てきました。

感想は、逃げ惑う人の視点で怪獣モノをそれなりの徹底度合いで描いた作品と言うことでは、少なくとも、私は初めてみた映画で、面白いと思いました。トムクルーズが戦うダメオヤジになる『宇宙戦争』も、一般人視点の事実関係の認識によって成立していると言う意味で、ある意味一緒なのですが、一応、ハンディカメラ視点であるところが、もう一歩先を行っています。

『宇宙戦争』に比べて、一般人視点であることの徹底と言う意味では、謎解きが一切合切無視されていることは重要だと思います。例えば、その怪獣らしきものは、どこから来たのかとか、最後にはどうなったのかとか、小さいバージョンの方の怪獣らしきものに噛まれると、死に至るのは間違いないとして、具体的には何が起こるのかとか、全く謎のまま映画は終了します。そういう意味では、エヴァンゲリオン的です。

多分、実社会で怪獣らしきものが現れて、実際に大都市を破壊したら、一般人(取り分け、その場にいる人々)は、こう言う状況になるだろうという意味で、「リアル」です。映画の中の登場人物達も、その破壊の原因がどうも生き物らしいと言うことなどを知ることは、大抵、テレビなどのメディアや、離れた橋からの遠景、ヘリからの光景に頼っています。その意味では、何か、9・11的でもあります。

何とはなしに、以前読んだ『暴走するインターネット』とか『湾岸戦争は起こらなかった』を読み返したくなりました。

しかし、
●ハンディカメラに記録された映像を登場人物たちが確認する場面でも、映像が記録され続けてこの映画になっていることや
●都合よく、暗視カメラにしてみると、ちゃんと、怪獣がそこにいることが分かるとか
●なぜか都合よく、自由の女神の頭を怪獣はもぎ取り、なぜか偶然にもこのカメラマンの前に投げてくるとか
●何度落としても、カメラは壊れないとか
●最初はカメラを離して逃げることに専念することをカメラマンに説教たれていた人物も、落ちたカメラを自分で拾って使うこだわりを突如発揮したりとか、
●本来だったらカメラを向けなさそうなところまで、カメラマンの役は比較的「ヌケサク」的キャラなのに、電気屋のつけっぱなしのテレビの重要情報などの、ここ一番のネタは決して見逃さなかったりすることなど、

どうも、「そんな都合よく何でも記録されるかいな」と、つい思ってしまうところがかなりあります。

どうせなら、『ブレア・ウィッチ…』の時ぐらいに、あえて不器用な映像に徹して欲しいところでした。
しかし、DVDは、面白いつくりの怪獣映画として、つい、買ってしまうことと思います。