544 Aさんの愉色

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経営コラム SOLID AS FAITH 第544号
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 ご愛読ありがとうございます。第544話をお届けします。

 9月も終わりに近づきました。そして、1ヶ月少々先の10月末日には、毎年
恒例の周年記念特別号が発行されます。今年はなんと23周年です。あと2年
経つと25周年で創刊から四半世紀が経過することになります。その頃、当コ
ラムは第600話に到達します。そして、その頃、まさに日進月歩の各種技術
は中小零細企業の経営環境をも激変させることでしょう。

 今回の23周年記念特別号はそんな近未来の中で中小零細企業の主要な強み
となるべきである「人の質」、つまり、肌理細かなサービスや優れたオペレ
ーションなどを実現するにあたって、最も意識されねばならない「読解力」
です。
 
 第600話からは当コラムの本文も担当する予定の奥田美幸が、中小零細企
業がビジネス・モデルを形成する上で、意識すべき主要因の一つである「読
解力」を分かりやすく説明します。その内容も紹介した予告欄を下に設けま
したので、是非ご一読ください。
 
 今回お届けするコラムは『Aさんの愉色』です。人間関係の多くの部分が
希薄化し、自分が働く職場にさえ希薄な関係性を維持しているので、組織に
対するロイヤルティが極めて低い若手従業員が増えているとあちこちで耳に
します。そのような組織での人材管理の一つの切り口を描いた内容になって
います。多くの非正規雇用のスタッフなどを抱える職場では、かなりよくあ
る構造の話なのではないかと思います。ご意見・ご感想をお待ちしておりま
す。頂戴したご感想などへのお返事の目標納期は5営業日!!

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その544:Aさんの愉色

「たとえば、Aって名前の彼氏がいて、職場には同僚やら先輩やらが、B、C、
Dとかっているとするじゃん。この三人がずっと『この仕事、向いているね』
って言ってくれていても、Aさんが、『いや、そんなのぜってーねぇし』と
か言い続けたら、どっちを信じる?
 スタッフにとっても、同じ現象が起きているんでしょ。職場の人は全部お
付き合いだけの人。だから、B、C、Dに向かってシフトを出して『今月も頑
張ります』とかニコニコしてても、Aさんから『ちょっと遊ぼうぜ、なあい
いだろ』とか言われたら、いきなり当日欠勤。そういう感じな訳。だから、
スタッフ達のAさんになんなきゃ、指示も聞き入れられないし、当日欠勤は
するし、教えたことは時間と共に忘れていくし。スタッフ達は悪気もないし
真面目だし好い子だし。けど、単純に人生の上で、大切な関係性を優先して
るだけ。」
 店長以下女性ばかりのスタッフで運営されているクライアントの店舗。新
しい彼氏ができたという店長が、入店したての若手スタッフに熱心さが欠け
ているというので、私は彼氏に例えて人間関係性の説明をした。まだ20代半
ばの店長は「う~ん」と唸り込む。

「けど、毎日声掛けしているし、『心配事とかあったら言ってね』とかいつ
も言ってんですよ。どうやったら大事なAさんになれるんですか」と焦れて
尋ねる彼女に私は応じた。
「ん~。声掛けとか関心を持つとか、全然関係ないでしょ。無いよりは有っ
た方がマシぐらいのもん。だって、やくざの組長なんか三下やくざに声掛け
なんかしないし、相談に乗ったりもしない。それでも組や組長のために命を
張る三下がたくさんいる訳でしょ。だから、『絶対的にこの人は私を守って
くれる』という確信を植え付けることなんじゃないの?大事なのは。社長か
らスタッフが怒られている時も、横で一緒に怒られてるだけでしょ。『社長、
この子がヘマをしたのは私の指示が悪いんです』って盾になったりしてない
よね」

「確かに。けど、そういう“ケツ持ち”を私がしても、私の盾には誰がなる
んですか」と俯き小声で呟く彼女に、「店長としてスタッフをやる気にさせ
るならそこまでの本気度が試されるってことでしょ。いいね。やろうよ“ケ
ツ持ち”」と私はヘラヘラと誤魔化した。

 しかし、ケツ持ちの店長のメリットは何なのだろうと、ふと気になりだし
た。偶然読んだ養老孟司の『子供が心配』の中に答えらしきものが見つかっ
た。「君子の三楽」という孟子の訓え。「父母兄弟が健在であること」、
「天や人に対して恥じるところがないこと」に加えて「天才の英才を教育す
ること」がある。リスクを取って優れた人材を傑物に育てる。それがケツ持
ちの店長の最大のベネフィットと考えるしかないように思える。
 
 知り合いのほとんどは、ウィーク・タイズの人々になっている若手スタッ
フ達。そのケツ持ちが躊躇の対象になるのなら、まずはこのうら若い店長を
君子に育てねばならない。

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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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『萬屋日和』 「会社の萬屋 企画改善請負本舗」からのPR

「会社の萬屋 企画改善請負本舗」の奥田美幸です。
クライアント企業様が新卒採用のための
合同企業説明会に参加することになり、
学生の感情を軸にオペレーションを決定する
「パーソネル・フロー」の原理を用いて
企画から当日運営まで行ないました。

「パーソネル・フロー」に従って、ポスターや事前の配布資料を作成し、
ブースの前を通った学生への声掛けも、人間の無意識の仕組みを利用し、
自然とブースに立ち寄ってしまう方法を採り入れることで
来場の学生の3割近くをブースに呼び込みました。

企業の展示会出展の場面でも、同じ原理で成果をあげることが可能です。
詳しくお聞きになりたい方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
https://kaisha-yorozuya.support/contact/

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『萬屋のもっと深く愛してい』第41回_近距離無線通信規格(NFC・Felica)

私たちの生活の変化に大きな影響をもたらした「近距離無線通信規格」をテ
ーマにご紹介しています。「近距離無線通信規格」は明確に定義されていま
せんが、ここでは100メートル以内のものを取り上げていきます。6回目の最
終回となる今回は「NFC・Felica(フェリカ)」について紹介していきます。

「NFC」は「Near Field Communication」の略で、前回ご紹介した「RFID」
の規格の一種です。NFCを搭載した機器同士を近づけるだけで通信ができる
技術のことです。NFCチップが搭載されていれば、通信距離は10センチメー
トル程度以内にある他のNFC対応機器とワイヤレス通信できるようになりま
す。

ただし、NFCの通信速度は最大424kbps(毎秒424キロビット)とBluetoothより
さらに遅いため、写真やビデオなど大容量データの転送には不向きです。そ
のため、メールアドレスや電話番号などの文字情報、Wi-FiやBluetoothの接
続/ペアリング情報、電子マネーのような小額決済を行なうための情報など、
小さなデータのやり取りに利用されています。

NFCにはいくつかの規格があり、海外では主に「TypeA」と「TypeB」が利用
されています。日本でもTypeAはたばこの成人識別カードtaspo(タスポ※
2026年3月にサービス終了予定)に、TypeBは運転免許証やパスポート、マイ
ナンバーカードなどに採用されています。

日本で普及しているNFCというと、ソニーが開発した「Felica」です。モバ
イルSuicaやモバイルPASMOなどの交通系電子マネーや、スマートフォン決済
の「おサイフケータイ」にも採用されていることから、耳にしたことがある
方もいらっしゃるかもしれません。

FelicaはNFCの規格の一つですが、NFCと完全な互換性はありません。国内で
販売されるスマートフォンはかつて、Felica対応とNFC対応の2種類に分か
れていましたが、現在ではFelicaとNFCの両方に対応したスマートフォンが
主流です。

TypeA、TypeB、FeliCaは開発を主導している会社が異なり、それぞれの読み
取り機械の使用が異なるだけで、実際に使用している周波数は同じですので、
仕組み自体に大きな差はありません。

このテーマについてさらに詳しいご説明が可能です。
ご希望の方は萬屋までご一報ください。
contact@kaisha-yorozuya.support

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経営コラム SOLID AS FAITH 23周年記念特別号 予告

今年も恒例の周年記念特別号の発行まであと1ヶ月余りとなりました。今回
のテーマは「読解力」です。AIに仕事を奪われないためには、人間側に高い
読解力が必要といわれています。

ここでいう読解力は単純に本の内容を読み取る能力だけではなく…
「コンテキスト(文脈)を読みとる力」のことです。

この中には、文章を読み取ることはもちろん、場の雰囲気を読み取る、相手
の表情を読み取る、相手の感情を読み取る…といった能力も含まれていると
いうことです。この読解力は高校生ぐらいの年齢になると、意識的な努力を
しないかぎり伸びなくなると言われています。つまり、中小零細企業が人の
質で差別化を図ろうとしたら、集中的な読解力教育が必須になる時代はすで
に到来しているのです。

中小零細企業の生き残りのカギとなる大テーマを以下の章立てで、分かりや
すく提示する予定です。ご期待ください。発行は恒例の10月末日です。

○第1章:読解力とは?
○第2章:中小企業の人材教育の役割
○第3章:勉強会の事例
○第4章:背景にある世の中の読解力教育の状況
○第5章:AIとの差
○第6章:海外との比較

※全体タイトル、章タイトルは仮のものです。

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【MSIグループの仕入完了報告(抜粋)】

■『美貌のひと 歴史に名を刻んだ顔』 中野京子 著
■『マンガ 教養としてのプログラミング講座』
  清水亮 原作・監修 / タテノカズヒロ 画
■『これだけは知りたい!一般社団・財団法人の設立…』 公益法人協会
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
 合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
下のアドレスにご意見・ご感想を頂ければ幸いです。
 bizcom@msi-group.org
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インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を利用して発行しています。
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次号予告:
 第545話 『天国の跡地』 (10月10日発行) 
 今では差別語になった「近視眼的」。「近視眼的な思考」と「貧困」はど
ちらが原因でどちらが結果なのか。世の中の自己責任論が説明する「近視眼
的な思考」が「貧困」を呼ぶという因果関係について考えてみました。

(完)