197 彼我の順番

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経営コラム SOLID AS FAITH 第197号
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ご愛読ありがとうございます。第197話をお届けします。

 久々の二話シリーズ『サウンド・スペース』も終わり、徐々に200話発行の
日が近づいて参りました。『サウンド・スペース』はお楽しみ戴けましたでし
ょうか。オレンジ色の光芒など、画像を想起して戴けたのでしたら幸いです。

 二部に分けたPR欄では、弊社が或るクライアントさんで作成することにな
ってしまった教育ツールのDVDの内容紹介と6話連続の200話発行記念特別
号の内容紹介が両方完結します。以前の号と合わせてお読み戴ければ、全体像
が見えて楽しいかと存じます。

 今回のコラムは、大仰に言うと、組織人とは何のために居るのかと言うこと
に迫ってみました。「自分を良くするのが先か、組織を良くするのが先か」、
私も若い頃自問したことが、クライアント先の新任課長から問われたことをき
っかけに、まとめてみた号です。本文に対するご意見・ご感想をお待ちしてお
ります。頂戴したご感想などへのお返事の目標納期は5営業日!!
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その197:彼我の順番

 一年に一人平均二千万円が投じられていると言う、巨大な電話会社の二年課
程の社内研修を卒業したのは、22歳の時。調布市と世田谷区の境目にある広
大な研修施設で、寮生活をして、通常の勤務時間に、只管講義を受け続ける毎
日を送った。本物の学校以上の厳かさで、入学式も卒業式も執り行われる。
 
 卒業式の日。二年余の後に、当時の同期の社員から四千万円持逃げ犯と呼ば
れる結果に繋がる退職の決意を既にして会場に行った。当時の社長が卒業生へ
の言葉を述べる。
「君達に投じたものを、これから、会社は回収しなくてはならない。組織の一
部として、自分が先ず変わって行くべきか、会社と言う環境をまず変えて行く
べきか。人間は二つに分かれる。自分にとってどちらが正しい選択肢かよく考
えて行動しなさい」のような言葉から始まったと記憶する。

 そして社長は、当時としては異例の「退職者の心構え」に言及する。
「この中には、今後、我が社を去るものも出てくるだろう。社外にあっても、
我が社で得た物を失わず、その場で為すべきことが何であるかを常に意識でき
る人間になるように。それができる者を社会に輩出できるなら、研修の投資は
十分社会貢献足り得る」のように述べた。競合状態創出のため新設予定の電話
会社は脆弱で、国策として“我が社” の人材は後日競合会社に流出したとの
噂である。そのための布石の話であったのかもしれない。

 畑違いの部署から異動してきた新任課長と課内の勉強会企画の打ち合わせを
した。「何せ分からないことだらけ」で連発する。課内にも問題山積。関連部
署にも課題山積。会社全体でも業績は伸び悩んで久しい。
「何から手を付けて良いか分かりませんね。取り敢えず、課の情報インフラと
しての、勉強会の開催は大賛成なのですが、テーマにできるものがありすぎて、
会社全体の改善にから、部所間の問題に取り組むものや、課員各自のスキルア
ップもマストですし。それよりも、私自身の方が学ぶべきものが多いか。どう
すれば良いでしょうね」と頭を抱える。

 課の問題も、部署間の問題も、全社レベルの問題も、特性要因図の形に原因
を模造紙にでも書き並べ、それを貼り出して眺めると、共通の原因は多々見つ
かるだろう。それを遮二無二叩けば、多くの問題が一気に改善するのではない
か。自分のスキルも知識も課題解決のためのツールに過ぎない。課題解決と言
う目的が決まらないうちに、必要なスキルも知識も決まらず、決まらないもの
は伸びようがない。

 新任課長の顔を眺めながら、自然と自問自答していた。22歳の時の謎かけ
は、その後、次の22年の歳月を経るうちに、いつの間にやら、解かれていた
ようだ。
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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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【MSIグループからのPR】

パチンコ店を展開するクライアント企業の
現場管理者教育の教材として二枚組DVDを企画致しました。
弊社代表が普段話している内容を、
先方の幹部・管理者が精査して盛り込んで下さったものです。

普段、コンサルタント的な業務は行なっていませんが、
成り行き上、弊社代表が出演して、語りまくることとなりました。
大学での1年生向けの講義でも好評な、
平易な語り口で中小企業での働き方などについて説明します。

先方企業の研修参加の現場管理者は基本的に20代前半。
社会人経験も浅い中で、幹部候補として採用された人々です。
DVDの内容を理解・暗記することが研修の初期段階で求められます。

題して『中小企業での働き方DVD』。

他社様にもサンプルとしてご覧に入れると好評でした。
御社の社員の「あるべき働き方」をDVDにまとめる企画。
お引き受け致します。

今回作成した二枚組DVDの内容の要旨を前回に続き紹介致します。

【中小企業での働き方DVD チャプター5?8】

●チャプター5 ホウレンソウから始まる社内コミュニケーション
 ホウレンソウ。報告・連絡・相談は、名前だけ見ると総て部下がすることに
なっている。そのせいか、アルバイトにせよ、部下を持つと、彼等の「ホウレ
ンソウができていないから困る」と愚痴を言う者がいる。指示した結果が起き
ない、指示したことについての報告が入らないのは、総て指示者の責任だと認
識すべき。
「提案や稟議が通らない」も、多くの場合、その企業の価値観を分かっていな
いが故である。上司や幹部とコミュニケーションを多く持ち、何が企業から望
まれているかをきちんと理解しないで行なう提案や稟議は、全くのムダである。

●チャプター6 コスト削減
 時間の無駄とモノの無駄に分けて考える。時間の無駄は、人件費の無駄であ
る。残業の抑制などの方法によらず、効率的な作業の実現によって達成するも
のと考えるべき。特にルーチンワークは、作業改善が最も効果を生む部分であ
る。日々多くの社員が関わる作業であるが故に、僅かな効率化でもその効果が
水平展開しやすく、且つ、その後、定着して効果が出続ける。
 モノの無駄は、例えば、無駄なチラシ配布、無駄な商品在庫の仕入れなど、
営業部門においては顧客像と顧客ニーズをきちんと理解していないことから発
生する。日々の営業活動をゼロベースで見直すことから改善が図れる。

●チャプター7 できる社員の条件
 入社して1?2年ぐらいの間、できる社員の条件は、やはり、手早く仕事を
進められること。仕事が速いと、時間に余裕ができ、自分の仕事を振り返った
り、改善したりできる。また、仮に言われた仕事を誤ってしまっても、速けれ
ば、取り返すのも速い。
 作業のスピードを速くするには、大きく分けて三つ注意すべきことがある。
一つは、ホウレンソウの徹底。これは、「攻めのホウレンソウ」とでも呼ぶべ
きで、上司に指示される前から、指示されそうなことを当てて、自ら取り組む
こと。二つ目はスケジューリングで、明日・三日後・一週間後の自分がいつの
時点で何をしているか当てられるようになること。最後がルーチンワークの改
善で、これは前項で言った通り。

●チャプター8 幹部の仕事と必要な能力
 幹部の役割は、「利益を生むこと」、「自部門の日常業務に責任を持つこ
と」、「部下を啓蒙育成すること」、「部門間や外部との調整を行なうこと」
の4つ。
 また、その実行に当たって、幹部が持たねばならない意識や資質は、「言い
訳をしない自責意識」、「すぐに行動を自ら起こす行動力」、「常に現状に甘
んじない危機意識」、「答えがないことが当り前の経営において必須の仮説と
検証の実践」の4つである。

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【創刊以来最長の6話連続シリーズ 200話発行記念特別号】

前代未聞。未曾有の超ロングシリーズ
『斜陽の樹影』全6話をお届けすることとしました。
5月スタート。

名著『下流志向』をモチーフに、
延々展開される200話発行記念企画。
『下流志向』のサブタイトル
「下流志向 学ばない子どもたち働かない若者たち」
の具体例を弊社事業の観点から見つめます。

今回は第五弾と第六弾の内容をちょっぴり紹介します。

 第五弾 204話 『互助の始まり』
『下流志向』では、リスクをヘッジする究極の方法は、丁半博打で自分とは反
対側に賭けてくれるパートナーが必須と言うことになっています。互助的共同
体の役割を自分のクライアント企業との関わりの中に見てみた感じをまとめた
号です。

 第六弾 205話 『変態の約束』
『下流志向』には、「学びと言うのは自分が学んだことの意味や価値が理解で
きるような主体を構成してゆくプロセスであって、学び終えないと自分が何を
学んだのか理解できないと」と言う風にあります。自分が非常勤講師として在
籍していた大学でのシラバス作りの作業や勉強会の評価など、色々と考えてみ
ました。

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弊社代表のオリジナルブログが完成!!

 ● ソリアズのネタにもなっている留学時代の悪戦苦闘を描いた
 『 My Life In Klamath Falls 』(英文)
 ● 東京で見た映画の感想を備忘目的で書き留めた
 『脱兎見!東京キネマ』
 ● そして、勿論、弊社代表が8年書き続けて、今尚続く
 『経営コラム SOLID AS FAITH 』

 全部まとめて、ブログになりました。題して…
 MSI?TALES
 http://tales.msi-group.org/

使い勝手がちょっとイマイチかもしれませんが、
内容・機能性、共に発展途上中です。
コンテンツのカテゴリーも今後増加予定。是非、お楽しみ下さい。
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
 合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
下のアドレスにご意見・ご感想を頂ければ幸いです。
 bizcom@msi-group.org
このメールマガジンは、
インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を利用して
 発行しています。
 (http://www.mag2.com/ ) 
毎月10日・25日発行 盆暮れ年始、一切休まず 9年目に突入。

マガジンID:0000019921 (ナント、たった5ケタ)
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次号予告:
 第198話 『数寄の理屈』 (4月25日発行)
 幹部の研修を提案してみたら、「すぐ辞めるような者には、研修と言う投資
は勿体無い。愛社精神を植え付けることを先にやって欲しい」とクライアント
から回答されて始まった、すったもんだを描いてみました。お楽しみ下さい。
(完)