543 浅い夢

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経営コラム SOLID AS FAITH 第543号
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 ご愛読ありがとうございます。第543話をお届けします。

 弊社代表の市川は中小企業診断士の資格を持っていますが、その資格を維
持するために年に一回半日以上に及ぶ座学の研修を受けなければなりません。
先日、今年の分に参加した際に、北海道の人口一万に満たない町で100%国産
のチーズ作りに挑み続けて20年以上の経営者の講演を聞く機会を得ました。

 生乳の買取価格は世界的に見ても高いために商品に国際的な競争力が乏し
い一方で、その価格で販売しても利益が出ない業界全体の高コスト体質。自
給率が60%なのに、買取価格が高いが故に生産調整をさせられる酪農家。構
造的な問題が二重三重に存在していることが分かります。さらに原材料高騰
が押し寄せ、包材コストや輸送コストを削減して、歩留まりの大幅改善を図
り、値上げを何とか回避していると言います。
 
 結果的に地産地消を推し進めることが業界のためになると、その経営者は
言います。地元の逸品としてブランド化されるためには、地元の人に愛され、
地元の飲食店の食材になる製品や家庭の食卓に上がる製品になるべきだ。そ
のためには安く高い品質の製品を作り続ける努力をしなければならない。長
く日々の生活の中で選ばれ続ける食品であるために、悪戯に付加価値を謳っ
て努力を怠り、価格や不都合をお客に押し付けてはならない。その経営哲学
には胸に刺さるものがありました。
 
 世界経済はブロック化が進み、輸入に依存していた製品や商品については、
軒並み国内自給を大なり小なり迫られる形になりつつあります。食品から半
導体まで、その波は押し寄せてきていますが、それは結果的に地方経済を蘇
生させる一つのきっかけにはなりそうです。地域の金融機関が貸し先探しに
奔走しているのであれば、あと地方経済に必要なのは読解力の高い労働力で
あるのかもしれません。
 
 今回の『浅い夢』は、文章を書いて食べて行きたい若者の話を聞いて、弊
社代表の市川が自分の人生を振り返りつつ考えたことをまとめたものです。
そこにはキャリア形成において重要な要素について一考する材料があるよう
に思っています。ご意見・ご感想をお待ちしております。頂戴したご感想な
どへのお返事の目標納期は5営業日!!

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その543:浅い夢

 幼稚園時代に気管支喘息として現れたアレルギー反応は、小学校でアトピ
ーに変り、中学高校と重度のアレルギー性鼻炎に変わり、さらに蓄膿症や扁
桃腺炎など、ありとあらゆる喉鼻の症状を引き起こすようになった。医大病
院で減感作療法に5年取り組んでも改善しなかった。18で就職したらアレル
ゲンにハウスダストが加わって鼻炎が続き、鼻粘膜が爛れて消えた。鼻腔を
這う血管がむき出しになって、ちょっと力むだけで鼻血が出るようになった。
何とか仕事を続けて数日、血圧は上が60を切った。
 
 慢性化したメニエール病患者ばかりの耳鼻咽喉科に大部屋に入院して、ウ
ォークマンで好きなヘビメタを聞き続けたら難聴になりかけた。仕方なく近
くの本屋で本をたくさん買って読んでいたら、ベッドの上の棚が本の重さで
落ちて来て、寝ながらにして足を骨折した。おまけになぜか入院食で歯が欠
けて、近隣の整形外科と歯科に松葉杖で通うようになった。あちこちから貰
った薬で肝臓と腎臓に負荷がかかったらしく、今度は腎機能が落ちて目視で
は確認できないものの血尿が出ているという。
 
 総合病院に転院して精密検査を受けたら、高齢の医師が「子供の頃からの
骨折やら、結核とかの抗生物質漬けとか、19歳でこんなに体にガタが来てい
る人間を初めて見たよ。過去の骨折箇所の問診票で書く欄が足りなくなる人
間も初めてだし。これは長生きできないよ。55ぐらいが寿命だと思って体を
本当に大切にしながら安静に生きなきゃ」と言った。
 
 安静にどんな商売をすれば良いかと試しに医師に尋ねたら、「根を詰めな
いようにしながら物書きとかかな」と言われた。電話局の局内技術者から到
底転職できなさそうな仕事。しかし、34になった私はビジネス誌の出版社に
勤めることになり、20年以上もメルマガを出し続け、独立してからは、チラ
シやウェブサイトのセールスコピーも頻繁に書き、ちょいエロのドラマの脚
本は書き、偉い先生達の著書も何度もゴーストライティングした。病弱を意
識して生きてきたためか、予定の55を過ぎても現状迎えが来そうにない。

 クライアントの採用活動のリサーチの一環で、或る専門学校の就職課を訪
れた。その専門学校の小説家養成のコースの学生の就活について、指導員は
「小説を書いたら売れるという夢を抱いている子が多くて、定時で終わるの
が確実な、小説とは無関係な仕事について、空き時間は書き続けようとする
話ばかり聞かされます」と困り顔で説明した。

「何であれ書くように無理強いされる仕事に就けば、否応なく書くことばか
りになりますよね。『浅い夢だから、胸を離れない』って歌がありましたね。
あんな感じかな」。
 ガタが来た体で生きるのが精一杯で夢など抱いたこともない私には想像が
難しかった。

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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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『萬屋日和』 「会社の萬屋 企画改善請負本舗」からのPR

「会社の萬屋 企画改善請負本舗」の奥田美幸です。
独立直後の約2年前に、地方での店舗経営の在り方を学ぶため
師匠の市川と鹿児島に視察旅行に行きました。
同様の目的で、先日広島県を訪れ、地方の状況などについて見聞きし、
さまざま知見を得ました。

初めて訪れた場所ですが、かつて軍需産業で栄えた町のその後の様子は、
今後の地方経済の行く末を想像させられました。

そこでの学びを「萬屋日和・特別号」としてまとめましたので、
ご希望いただいた方にお送りいたします。
ぜひお気軽にご連絡ください。
https://kaisha-yorozuya.support/contact/

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『萬屋のもっと深く愛してい』第40回_近距離無線通信規格(RFID)

「近距離無線通信規格」をテーマに取り上げて5回目となる今回は「RFID」
について紹介していきます。

RFID(Radio Frequency Identifier)とは、情報を埋め込んだ「ICタグ・RF
タグ」(以下、「タグ」)から、電波などを用いた近距離の無線通信によっ
てデータを読み書きするシステムのことです。読み取る機械のことを「RFID
リーダライタ」(以下、「リーダライタ」)と呼び、主にハンディタイプ、
ゲートタイプのものがあります。

タグはバッテリーの構造により大きく3つに分類できます。最も一般的なの
は「パッシブタグ」です。タグ自体にバッテリーが不要であり、安価な点が
特長です。ユニクロの商品タグに採用され、一括で商品を認識し、精算がス
ムーズにできるということで話題になり、ご存知の方もいらっしゃるかもし
れません。

2つ目は、「セミアクティブタグ(セミパッシブタグとも言う)」。バッテ
リーを内蔵し、リーダライタからの電波が照射された時だけ動作するタグで
す。パッシブタグと比べて通信距離が長く、現在はマラソンや自転車レース
などのタイム計測、企業の入退室管理などに利用されています。

3つ目が「アクティブタグ」。バッテリーを内蔵することで単独駆動・長距
離通信を可能にしたもので、大規模な倉庫で人や資材のロケーション管理に
応用できます。デメリットとしては、バッテリーが消耗することと、タグの
サイズが大きくなり、単価も比較的高くなることです。

従来のバーコードでは商品タグを1個1個スキャンするのに対し、RFIDの場合
は電波でタグを複数一気にスキャンすることができます。電波が届く範囲で
あれば、タグが遠くにあったり、箱の中に隠れていたり、表面が汚れていた
りしても読み取りが可能で、バーコードでの運用に比べ約10分の1の時間で
作業が完了します。

また、文書を入れたファイルにタグを貼って、文書の保管場所が分かるよう
な使い方をしている例もあります。

なお、タグとリーダライタの規格が合っていないとデータの読み書きができ
ないので、活用の際には確認が必要です。

このテーマについてさらに詳しいご説明が可能です。
ご希望の方は萬屋までご一報ください。
contact@kaisha-yorozuya.support

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【MSIグループの仕入完了報告(抜粋)】

■『生涯学習と図書館』 塩見昇 著
■『マーケターのように生きろ …』 井上大輔 著
■『裏オプ …』 高木瑞穂 著
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
 合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
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次号予告:
 第544話 『Aさんの愉色』 (9月25日発行) 
 人間関係性が希薄で知り合いは「ウィークタイズ」ばかりになっている今
どきの若手従業員の動機づけについて考えてみました。

(完)