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経営コラム SOLID AS FAITH 第539号
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ご愛読ありがとうございます。第539話をお届けします。
今年の前半が終わり、暑い夏がやって来ました。如何お過ごしでしょうか。
「良いインフレ」や「悪いインフレ」という言葉をテレビ番組などで時々聞
くようになりました。円安が進んだせいもあって、色々な物品がどんどん値
上がりを重ねています。それほど数が多い訳でもない弊社クライアント企業
の現場のどこを見ても、材料費は繰り返し値上げされ、製造経費もじわじわ
と上昇を続けています。
消費者物価も上がり続けていますから、従業員の生活防衛のために、賃金
も物価上昇分をカバーするに十分なぐらいに上げる必要が出るでしょう。し
かし、現実問題として、質が何も良くなっている訳でもない商品の値上げを
受け容れることは嬉しいことでもなければ常識的なことでもありません。人
材の値段についても同じことが言えます。中小零細企業にとって、何が良く
なった訳でもない従業員の給料を5%や10%の刻みで上げていくことは収益的
に困難であるだけでなく、経営者の心情的に困難であることも多いのではな
いかと推察します。
人と機械を組み合わせて、業務の生産性を引き上げる。それで人件費を膨
らませてから、価格上昇分を多少なりとも抑制したり、価格上昇分を買い手
に納得させる質の向上を実現したり、そのようなことに取り組まねばならな
い中小零細企業が増えています。先日、中小零細企業のRPA導入事例がふん
だんに書かれた書籍を書店で手にして、弊社代表の市川も同じことを考えて
いました。
一方で、弊社の後継事業者である奥田美幸が今回の『萬屋日和』に書いて
いるように、廃業や倒産する企業も増え続けています。仮に現在の段階で事
業が安定していても、上述のような大きな波に飲み込まれた時、変化に対応
して組織運営や日常オペレーションを構造的に見直すことがかなり困難であ
る企業が続出することでしょう。激変が日常になります。その色々な局面で
の色々な形での適応のお手伝いのお引合いをいただくことが弊社でも増えて
います。
今回の『今更の冒険者』は、経営環境の国内外比較に挑戦してみた内容で
す。有名人やプチ富裕層など、国外で暮らすことを決める人々の話を見聞き
する機会が増えました。事実を客観的に見た場合、国内の事業環境は中小零
細企業にとってどのようなものであるのか、暫し一緒にご一考いただけたら
幸いです。ご意見・ご感想をお待ちしております。頂戴したご感想などへの
お返事の目標納期は5営業日!!
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その539:今更の冒険者
開沼博の『漂白される社会』は面白い。以前何度も繰り返し読んだ藤原新
也の『東京漂流』や『乳の海』を彷彿させる。「はじめに」で開沼は「今日
も日本は『自由』で『平和』だ」と宣言する。そしてそれを執拗なまでに強
調する。
「自由」については「空間的自由」と「時間的自由」に分けている。どこに
でも自由に行き来できる空間的自由は全く制限がない。時間的自由はNHK放
送文化研究所の『2010年国民生活時間調査報告書』を持ち出して、日本国民
の1日の生活時間における自由時間はここ40年間激増しており、2010年は過
去最大になっていると主張する。「平和」も「『戦争・紛争・恐怖政治がな
い』状態」と定義して空前の平和社会だと指摘する。犯罪発生率も低く保た
れて治安も良いと付け加えた。
『SPA!』などを見ると社会福祉のお世話になることもなく、年収100万余り
で充実した生活をしている人々も多数存在する。人々の生活面だけを考えれ
ば、空前のユートピア状態である。「昔は良かった」と懐古主義の人々は言
うが、事実だけを見ればそれは嘘である。
マスメディアでも日本国の現状と行く末に悲観的な話は非常に多い。国は
借金漬けで、経済は成長せず、技術は旧発展途上国にさえ後れを取っている。
人口は減る一方で、おまけに教育の劣化は激しい。利益性も低く縮小を続け
る国内市場はもう限界で大手企業やら富裕層は金利の高い海外にどんどん逃
げ出しているとの話も報じられている。
自由と平和が普及すると、必死に生きる必要がなくなる。必死の必然がな
いので集団で生きる必要もない。みなが我も我もと個人の好き勝手に生きら
れるし、またそのようにすべきだと思い込む。しかし、人間の遺伝子は何百
万年前の洞窟集団生活のままだ。個人重視の自由だらけの生活には耐えられ
ない。だから自由と平和の下、ニーズはいや増す。
海外には日本にないものがたくさんある。都市間の移動を突如遮断する政
府。何分遅れようと全く意に介さない公共交通機関や物流会社。国境を越え
てなだれ込む言葉も満足に通じない人々。信じる神の名において相互に何百
年も殺し合う人々。企業利益のために簡単に引き上げられる光熱費や水道費。
突如経営者を拉致洗脳する独裁政党。珍しい。
自由で平和でモノが安く手に入るからカネが要らない。そんな奇特な安い
労働者がたくさんいて、物理的自由も空間的自由も平和も保証されているの
に、不安や不満だけは以前以上にたくさん持っている消費者もいる。まっと
うなビジネスにこれほど理想的な場所はない。不安定で時に劣悪な海外に逃
避する事業家は多分昔の刺激を金で買いたいのだろう。
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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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『萬屋日和』 「会社の萬屋 企画改善請負本舗」からのPR
「会社の萬屋 企画改善請負本舗」の奥田美幸です。
中小企業庁発行の『中小企業白書』によると、
約130万社もの企業が1999年からの20年足らずで廃業しています。
現在残っている企業でも70歳以上の経営者が全体の25%近く占めており
後継者不足を理由に廃業する会社が年々増加しています。
お客様や従業員のためにも、
ゴーイング・コンサーンの考えを基に会社を存続させることが大切です。
後継者育成のために重要な考え方や打つべき手段について
クライアント様からのご紹介で法人会にて講演する機会を頂戴し、
大変ご好評いただきました。
合資会社MSIグループの以下のページでは
後継者育成のためのコンテンツ企画サービスを紹介しています。
ぜひご笑覧ください。
http://msi-group.org/msi-4successor/
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『萬屋のもっと深く愛してい』第36回_近距離無線通信規格(導入編)
スマートフォンの普及をはじめ、IT機器の発達にともない、たった10年前
と比べても、ワイヤレスでの通信が一般的となってきています。スマートフ
ォン一つあれば、現金を持ち歩かなくても買い物や移動にも困らないほど利
便性が増しています。
今ではパソコンですら持ち歩くのが当たり前ですが、登場当時はいくつもの
コードを繋げて、やっと接続できるというものでした。接続スピードも今よ
りも格段に遅く、ガラケーでメールを受信するには「問い合わせセンター」
にいちいち接続しなくてはすぐにメールを確認できない、資料の印刷までに
は「印刷ボタン」を押してからしばらく待たないと出てこないなど、時間が
かかることが前提のものが多く、今のLINEのメッセージなどのようにすぐに
確認できるといったことはほとんどありませんでした。
そのような劇的なICTの発達のなかでも、無線通信の技術はその接続スピー
ドから、私たちをほとんど待たせることのない作業を実現しています。スマ
ートフォンの登場ほど分かりやすいものではありませんでしたが、私たちの
生活の変化に大きな影響をもたらしているのは間違いありません。
そこで「近距離無線通信」をテーマに各種通信規格について次回以降ご紹介
していきます。「近距離無線通信」には明確な定義がありませんが、無線通
信のうち、通信距離が数十メートル以内のものを表すことが多いようです。
ここでは、100メートル以内のものを「近距離無線通信」として取り上げて
いきます。簡単に思いつくものでも、無線LAN・Wi-fi、Bluetooth、赤外線
通信、Felicaなどがあります。主要な「近距離無線通信」の特徴や主な活用
事例などを説明していきます。
このテーマについてさらに詳しいご説明が可能です。
ご希望の方は萬屋までご一報ください。
contact@kaisha-yorozuya.support
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【MSIグループの仕入完了報告(抜粋)】
■『「女性向け風俗」の現場』 柾木寛 著
■『ゴーマニズム宣言SPECIAL コロナ論5』 小林よしのり 著
■『未来は決まっており、自分の意志など存在しない…』 妹尾武治 著
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
下のアドレスにご意見・ご感想を頂ければ幸いです。
bizcom@msi-group.org
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インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を利用して発行しています。
(http://www.mag2.com/ )
毎月10日・25日発行 盆暮れ年始、一切休まず足掛け23年。
マガジンID:0000019921 (ナント、たった5ケタ)
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次号予告:
第540話 『暗夜行路』 (7月25日発行)
スマホ利用の脳に与える負の影響が科学的に漸く証明される時代になって
きました。その観点から見る人々の行動について考えてみました。ご期待く
ださい。
(完)