538 穢濁業務

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経営コラム SOLID AS FAITH 第538号
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 ご愛読ありがとうございます。第538話をお届けします。

「なんでこんなことも分からない人間ばかりなんだろう」
「こんな社会常識一つ分からない人間がどうして大学を卒業できたのか」

 最近中小零細企業経営者からよく聞く声です。勿論同様の声は以前から幾
らでもありました。経営者の言う「分かっていない人」は以前からたくさん
いたのは間違いありません。しかし、昨今はそのような声を聴く頻度が尋常
ではありません。明らかに増えています。その原因は社会の様相の変化であ
るように思えます。
 
 昔なら変人や奇人扱いされて社会の片隅に追いやられていた人々も、今は
「多様な人々」として社会に包摂すべしとされていて、そうしない人々の方
が糾弾されます。かなり怪しいレベルの知識や常識しか持ち合わせていない
人でも、SNSというツールの御蔭で自由に発言することができ、集合知の一
部を形成する重要な部分と見なされるようになりました。その結果、専門知
識を否定する「反知性主義」を臆面もなく標榜する人々さえ存在します。
 
 さらに見たくないものや知りたくないものは自分の周囲からシャットアウ
トする機能もICT技術の進歩で通常装備になりつつあります。知らないこと
を知るように迫られない日常を送れば、新たな学びなど起きる訳がありませ
ん。使わない能力は退化するのが生物ですから、学ばねば学習能力はどんど
ん失われて行くことでしょう。
 
 経済格差とセットで教育格差も日本より遥かに広がっている海外諸国をみ
れば、その状況が大きく進展した社会が眺められます。その手前で曲がりな
りにも教育制度が相応に普及した日本では、漸くそのような変化が巷間で認
知されるようになってきました。面白い世の中になりました。経営者の悩み
や課題、不満や不安は弊社の飯のタネです。しっかり研究・理解して、弊社
サービスとして実現していきたいと意気込んでいます。
 
 今回の『穢濁業務』は、あまり世の中に認知されることがない、中小零細
企業の最大の社会貢献である「格差解消」の一面について描いてみたもので
す。大手主体の一般的な経営論では議論の対象となることがほぼないテーマ
かと思いますので、是非お楽しみいただければと思います。ご意見・ご感想
をお待ちしております。頂戴したご感想などへのお返事の目標納期は5営業
日!!

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その538:穢濁業務

「市川さん。あいつ童貞なんですよ、30過ぎて。もちろん、なんか宗教的な
話とかそういうことじゃないらしいですけどね。けど、現実問題、業務に支
障は出かかかっているし」。
 島の端でパチンコ店の主任は私に囁いた。彼の目線の先にはテキパキと床
清掃をする班長がいる。主任によれば、昼間は主婦の客が多く、夜番のスタ
ッフは20代女子多数のこの店で、女性の扱いどころかコミュニケーションに
さえ常に抵抗を感じている彼は、昇格させようにもさせられず、本部からも
店舗の問題として指導を受けそうだという。

「キャバクラとか誘っても断られるし。現実的な問題を指摘しても『大丈夫
です』とか『何とか努力します』ばかりで変わらないんですよ。業務命令の
研修で風俗に行かせるのはアリですかね。市川さんは変な研修企画を立てる
から、そういう事例はないんですか」。
 
 4大新卒採用でも長らく「コミュ力」が問われ続ける時代。風俗サービス
体験研修の企画実践実績はないが、この課題は有り触れている。社員もアル
バイトも、不人気業種や無名零細企業に応募してくる若者は、「コミュ力」
が劣っていることが多い。接客や部下指導の研修を、相手に女性を想定して
コミュ力向上を核に企画したことも何度かある。
 
 橘玲の『無理ゲー社会』は経済格差と性愛格差が拡大していると主張する。
経済格差と性愛格差の構造は全く新しくない。2005年に『電波男』はこの点
を深く抉っている。キモメン男から性愛をネタに巻き上げたカネを女がイケ
メン男に注ぎ込む社会構造である。

 件の主任は「ウチは業務に支障さえ出なければ従業員間の恋愛もOKだし、
お客様の女性とダブル再婚した管理職だって本部にいるぐらいなんで」と訝
る。生物として見たとき、オスは自分の母であるメスの遺伝子を他のオスと
競争して手当たり次第にばらまきたい。メスは限られた出産機会のために、
極力良い遺伝子を選別して受け容れたい。極論すると、良い遺伝子を持った
オスはメスに比べてかなり少なくて良い。

 昨今の無差別殺人の犯行や企てを見ると、橘玲の言う性愛格差の広がりに
結びつけた方が、社会的構図を理解しやすいようには思う。『電波男』はカ
ネ欲しさにキモメンの相手を選ぶ女の存在を指摘していた。その女もベー
シック・インカムでも始まれば、キモメン男に媚びることを減らすだろう。
経済格差解消のためにも中小企業の役割は大きく、まずは賃金を上げよと政
府は繰り返す。ならば性愛格差解消にも中小企業は期待されているのか。あ
の主任の考えは意外に正解かもしれない。そういえば、あのパチンコ店の主
任以上の年収は業界内の平均を大きく超えている。

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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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『萬屋日和』 「会社の萬屋 企画改善請負本舗」からのPR

「会社の萬屋 企画改善請負本舗」の奥田美幸です。
中小企業においても、法律の厳罰化やSNSの発達などにより、
コンプライアンスが重視されるようになってきています。

あるご依頼案件を通して著作権について学ぶ機会を得ました。
ウェブや印刷物など各種媒体を通して情報発信が増え、
中小零細企業でも著作権理解の重要性は増しています。

私自身も初学者の域を出ていませんが、
基本中の基本を学ぶための資料を紹介します。

■『著作権の考え方』(岡本薫著)
 https://www.iwanami.co.jp/book/b268688.html

■『はじめての著作権講座 著作権って何?』
(公益社団法人 著作権情報センター発行)
※以下URLからダウンロードが可能です。
 https://www.cric.or.jp/publication/pamphlet/index.html

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『萬屋のもっと深く愛してい』第35回
「記録メディア(外付けハードディスク)」

「記録メディア」をテーマとした記事の7回目となる今回は、「外付けハー
ドディスク」について紹介していきます。

「外付けハードディスク」はPC本体の外に置き、ケーブルで接続するタイプ
のハードディスク装置です。PCの内蔵ハードディスクの容量増設や内蔵ハー
ドディスクのバックアップ、着脱が容易なため大容量データのPC間の移動な
どに用いられます。

外付けハードディスクはCDプレイヤーのように高速回転するディスクに磁気
ヘッドというパーツを近づけることでデータの読み書きを行ないます。場合
によっては駆動音が気になることもありますが、その分壊れる直前に異音な
どの予兆が起こることが多く、完全に故障してしまう前にデータを移行させ
ておく目安にもなるので、一概にデメリットとは言えません。

また、外付けハードディスクは精密な作りをしています。耐衝撃性を高める
ための進化もありますが、ちょっとした衝撃で磁気ヘッドがディスクを傷つ
ける恐れもあるため、取り扱いには十分な注意が必要です。

技術革新により大容量化が進み、今では500GB~8TB(テラバイト)ほどの容
量のものがあります。現在、最も多いタイプの外付けハードディスクは2~
4TBですが、保存するデータの大半がWordやExcelなどのファイル、写真・音
楽ファイルなどであれば、1~2TBもあれば十分です。容量は多ければ多いほ
どいいように感じるかもしれませんが、大容量のものほど価格が高くなるた
め、適切な容量のものを選ぶのがおススメです。

容量以外にも「種類」が選ぶポイントとして重要です。外付けハードディス
クは「据え置き型」と「ポータブル型」にわかれます。「据え置き型」は電
源が必要となり、場所も取りますが、価格が安く大容量タイプのものが豊富
で読み書き速度が速いというメリットがあります。「ポータブル型」は電源
が不要で場所は取りませんが、価格が高めで、大容量タイプのものが少ない
のがデメリットです。あまり持ち運ばないのであれば、価格の安い「据え置
き型」の方が良いでしょう。

このテーマについてさらに詳しいご説明が可能です。
ご希望の方は萬屋までご一報ください。
contact@kaisha-yorozuya.support

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【MSIグループの仕入完了報告(抜粋)】

■『日本文化の核心 「ジャパン・スタイル」を読み解く』 松岡正剛 著
■『「育ちがいい人」だけが知っていること』 諏内えみ 著
■『水濡れから図書館資料を救おう!』 眞野節雄 編著
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
 合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
下のアドレスにご意見・ご感想を頂ければ幸いです。
 bizcom@msi-group.org
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インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を利用して発行しています。
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次号予告:
 第539話 『今更の冒険者』 (7月10日発行) 
 ビジネス環境としての日本社会の「自由」と「平和」について考えてみま
した。ご期待ください。

(完)