190 浮動産の扱い

=================================
経営コラム SOLID AS FAITH 第190号
=================================
ご愛読ありがとうございます。第190話をお届けします。

とうとう、今年最後の号となりました。振り返ると色々なことがあった年で
あるのは間違いないのですが、一方で歳を重ねたせいか時の経つのがとても速
く、今年もあっと言う間に終わったように感じられてなりません。長年の読者
の方々はご存知のように、当メルマガは、年末年始も関係なく、毎月二回発行
致しますので、よろしくお付き合い下さい。

今号が190話ですので、あと10話5ヶ月で、200号を発行と気付き、創刊から
8年余りの日々も、やはり振り返ると短く感じます。年明けから、200号の企画
を練り始めようかと思っておりますが、ここ最近サボっていて、完成原稿の在
庫が6話程度になってしまいましたので、そちらの作業の方が優先です。

今回の号は、お客様とは自分にとって一体何であるのかを、或る税理士さん
との会話から考えまして、コンサルタントやそれに類する事業者にとってのク
ライアント企業の価値を考えてみたものです。お楽しみ戴ければ幸いです。本
文に対するご意見・ご感想をお待ちしております。頂戴したご感想などへのお
返事の目標納期は5営業日!!
=================================
その190:浮動産の扱い

「市川さんは、広い人脈をお持ちだし、その殆どが中小零細企業ですよね。あ
まりそう言う方々はリストなどにも出てこないので、是非市川さんにも、この
商品の販売に協力して欲しいんですよ。なに、別に売り込んで回って貰う必要
はありません。ただ、チラシを持って歩いていて、あちこちで配って貰えれば
良いんです。そうしたら、市川さんにはマージンを返しますので。市川さんに
とっても、良い話でしょ」。
うんざり顔の私に気付いてか、話し手は話の半ばで勢いを失う。この手の話
をよく戴くが、売れた試しがない。

コンサルタントでもなければ、何かの教祖でもない。中小零細企業のコミュ
ニケーションに関わる企画を請負うだけの零細事業者。何が良いか。何が為さ
れるべきか。価値観・判断は承るばかりで、こちらから発せられることはない。
究極のマーケット・イン型の商売とさえ言われる。よく分からないもの。自分
が良いと思わないもの。そのようなものを、自分への信頼を元に仕事を下さっ
ている人々に薦めたいとは到底思えない。だから、私は自分とそのサービスを
売るのが精一杯である。

私の知り合いの税理士が困り顔で相談してくる。彼には私のクライアント企
業の原価計算の仕組み作りの指導をお願いしている。
「以前から、火種はあったのですが、このたび所長と袂を急遽分かつことにな
ってしまいました。私は個人で事務所をすぐに開いて、今までの業務を継続す
るつもりです。ただ、私が開拓して、お手伝いさせて貰って来たクライアント
さんの案件を、向こうは全部自分のもので、私に手を引くように要求していま
す。クライアントさんに迷惑を掛けることになるかもしれませんが、法的な処
置も取るべく、現在弁護士と調整中です」。
唖然として、私は応える。
「いや、ちょっと、何を言っているのか、さっぱり分からないんですが。クラ
イアント企業って、一体いつから、税理士さんの持ち物になったんですか。
『自分のもの?』。もしかして、資産としてB/Sにでも計上されていたりす
るんですか。前の事務所だろうと、先生だろうと、どちらか良い方をクライア
ントは単純に選び、そうでないものを容赦なく捨てるだけのことでしょ。クラ
イアントの選択を制限する合法的な方法ってあるんですかね。あるなら教えて
下さい。私がその方法を買って使って、ついでに売り歩きたいです」。

地元で選挙が近づいた。テレビではいつにも増して浮動票が問題だと言われ
ている。選挙のたびに、票を「読み」、その結果に基づいて、票を「固め」、
再び票を「読み」直す。それでも、最後は投票者の自由意志に委ねられると言
うことになっている。読みもしない、固めもしない。そんなうちから相手の自
由意志について、所有を主張し、奪い合うなど、愚かしい。
=================================
☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
=================================
【MSIグループからのPR】

札幌地区 私立大学での就労観教育の終了のご報告

今年の春から検討していて、大学側とも打ち合わせを重ねていましたが、
このたび、今年度で、弊社が「就労観教育」と呼んでいる講義の担当を
終了することが決定致しました。

独立後の早い段階から開始して、6年間も続けることができたのは、
皆様のご指導やご協力の賜物と思っております。
心より御礼申し上げます。

学生の離職対策を主目的として、
学生のキャリア観の醸成を行なう講義を前提に構成した
「就労観教育」は、
http://www.msi-group.org/MSI-lec-index.html

● 組織と人との関わりをベースにスキルやキャリア、
さらに雇用形態などにまで言及する第一コース。
http://www.msi-group.org/MSI-LectureVol1.htm
● 地方都市・地方大学・中小零細企業の組み合わせで再構築した
大学新卒向けの就活対策を解説する第二コース。
http://www.msi-group.org/MSI-LectureVol2.htm
● さらに、組織論、職種と職掌などの解説から始まり、
学生に人気の「事務職」のあり方について述べる比較オフィス論。
http://www.msi-group.org/MSI-OfficeOrg.htm

と、3コースに派生して、
各々10回程度の講義体系にまとめることができました。

第一コースは早い段階で、6枚組のCD化の機会を得ましたし、
第二コースは、中小零細企業での採用実務の
論点の体系化の結果とも考えられます。
大学側の就職支援対策のあり方の議論のテーマにも採用されました。

大学の講義自体が終了しても、
これまでの6年間の経験・体験を活かし、
積み重なった貴重なコンテンツのサービス化を
事業の一環として行なって行きたいと考えております。

ご関心を賜れましたら、お気軽にご一報下さい。
bizcom@msi-group.org

=================================
発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
下のアドレスにご意見・ご感想を頂ければ幸いです。
bizcom@msi-group.org
このメールマガジンは、
インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を利用して
発行しています。
(http://www.mag2.com/ )
毎月10日・25日発行 盆暮れ年始、一切休まず 9年目に突入。
マガジンID:0000019921 (ナント、たった5ケタ)
★全バックナンバーはまぐまぐのサイトで掲示されております。
http://blog.mag2.com/m/log/0000019921
★検索機能が楽しい。バックナンバー・サーフィンはブログで。
http://cyblog.jp/saf-list.php
★講読の登録・解除はこちらのURLでお願いします。
http://www.msi-group.org/SAF-index.html
=================================
※ ご注意!!
サーバーエラーなどで読者登録が解除されてしまった方がいらっしゃる様子
です。当メルマガは毎月10日・25日に休まず発行しております。届かない場合
には、弊社ホームページで発行状況をご確認の上、再登録をして下さい。
http://www.msi-group.org/SAF-index.html
=================================
次号予告:
第191号『猟師の常識』 (1月10日発行)
来年最初の号は、小泉八雲の名作をモチーフに、コンサルタントではなく、
請負仕事としての弊社事業のあり方を考えてみます。推敲段階で読んで戴いた
方々からも非常に評判の良い号です。ご期待下さい。(完)