189 財の効用

=================================
経営コラム SOLID AS FAITH 第189号
=================================
ご愛読ありがとうございます。第189話をお届けします。

時の経つのは速いもので、とうとう今年も残す所一ヶ月を切りました。長い
読者の方はご存知の通り、当コラムの発行は盆暮れ正月に全く左右されること
なく続けられております。今号とクリスマス当日発行の号で、本年の発行はお
終いです。

弊社恒例の特大年賀状の用意やら、何かとやらねばならないことを想像する
うちに、ふと当コラムの予告欄を見ると、200号発行まであと10話余りとなっ
てしまっています。このカウントダウン状況に至って、200話発行記念号の企
画が何もできていないのはかなりまずいように思えてきました。色々考えてみ
たいと思っております。

PR欄では、もしかすると、弊社事業に関して、最初で最後かもしれない経
営誌の記事掲載についてお伝えします。

今回の号は、企業によって方針が大きく割れる若手社員の動機付け策につい
て考えてみたものです。お楽しみ戴ければ幸いです。本文に対するご意見・ご
感想をお待ちしております。頂戴したご感想などへのお返事の目標納期は5営
業日!!
=================================
その189:財の効用

「その昇格をすると、給料は幾ら上がるんですか」
「この研修を受けると、何か手当てなどが増えますか。それは幾らぐらいです
か」
絶えず給料について尋ねてくる大学院卒の新卒社員について、クライアント
企業の人材育成担当者が社長に報告する。この会社の社長は数百億の投資をし
ても涼しい顔の地場では有名な資産家である。社長は、人材育成担当者に向か
って、「それは、忌むべき拝金主義だ。そういう価値観を捨てさせるよう、き
ちんと教育しろ」と指示したと言う。

仕事選びの際に、報酬の多寡を重視しない若者が増えていると言う記事を最
近幾つか目にした。NPO活動やボランティア活動への関心。アルバイト志向
など。記事にある事例は、なるほど、収入を増やすのに最適な選択肢には一般
に見えない。私の周囲の若者などに聞きまわっても、「やはり、金をたくさん
稼げる仕事が一番です」などと自信を持って言い出す者は、全く見つからない。

M&Aを繰り返し、毎年売上を倍増させてきたIT系企業のやり手専務と話
をした。
「市川さん。ウチの若いプログラマの連中は、すぐ増長気味になるかと思えば、
突然やる気をなくしたり、面倒なんですわ。だから、こう、やる気を引き出す
動機付けのような方法で、或る程度高い一定のレベルのモチベーションを維持
する方法論ってのはないもんでしょうか。他社ではどうしているんでしょうね」
と言う。
私が、「やはり彼らを承認し、「居場所」を与えるような方針で考えると…」
と切り出すと、専務は腰を抜かさんばかりに驚いて言う。
「市川さん。何を言っているんですか。ウチの若い連中にやる気を出させるに
は、そりゃ、たんまり金を払ってやることじゃないですか。若いうちは金の使
い道はたくさんありますから、遊びガネを握らせてやれば、やる気は出ますよ。
あとは何かのステータスとか。そういったものの上手い演出方法が聞けるかと
思ったのに」。

企業が各々の顧客のために最適な経営の方法論を採用し続けた結果、その独
自性が定着することを差別化と呼ぶなら、採用すべき社員の志向もその動機付
け策も、差別化実現の重要要素の一つであろう。若手社員の価値観に対する各
社の仮説にも、かなりのバラつきがある。マズローもアルダファもハーズバー
グも、具体的実践策を教えはしない。

「やはり給料は安くても、自分を活かせる職場が一番です」と言う若者。
「『拝金主義』を徹底的に排除せよ」と言う資産家社長。一方、「若い奴は金
で釣るのが当然」と言う専務とそこのPG。多くのオーナー経営者の、創業の
動機も目を見張る行動力の原点も、大金を掴むことか糊口を凌ぐことだったろ
うと私は思っている。動機付け策としての金銭の有効性の評価も揺れる。零細
請負業者の私は、クライアント企業経営者各々の価値観に従って、コトを進め
るだけのことである。
=================================
☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
=================================
【MSIグループからのPR】

弊社事業が経営誌に掲載!!

『戦略経営者』(株式会社TKC発行)12月号の
特集『やってみたら育った! わが社の勉強会』に、

クライアントの株式会社ハラサワ様の勉強会と共に、
弊社の「社員勉強会企画運営支援サービス」についての
弊社代表のコメントが一ページ弱掲載されています。

題して『トップの“本気”が社員の活気を創り出す』です。
機会がございましたら、是非ご一読下さい。
※店頭販売はしていない経営誌とのことです。

【ご参考URL】

●弊社サイト 「代表挨拶」(含む事業ドメイン説明)のページ
http://www.msi-group.org/MSI-passage.html
●弊社サイト「社員勉強会企画運営支援サービス」紹介ページ
http://www.msi-group.org/MSI-4sessions.html
●弊社サイト「社員勉強会企画運営支援サービス」好評事例紹介ページ
http://www.msi-group.org/MSI-Decentralization-Case.html
http://www.msi-group.org/MSI-OfficeWork-Improvement-Case.html

●経営情報誌『戦略経営者』サイト トップページ
http://www.tkc.co.jp/senkei/index.html

●株式会社ハラサワ様 サイト トップページ
http://www.harasawa-m.com/

=================================
※※ 『経営コラム SOLID AS FAITH』はブログでも読めます ※※

●タイトル一覧表示はこちら
http://cyblog.jp/saf-list.php
●コラムの全文表示こちらから
http://cyblog.jp/saf.php
=================================
発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
下のアドレスにご意見・ご感想を頂ければ幸いです。
bizcom@msi-group.org
このメールマガジンは、
インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を利用して
発行しています。
(http://www.mag2.com/ )
毎月10日・25日発行 盆暮れ年始、一切休まず 9年目に突入。
マガジンID:0000019921 (ナント、たった5ケタ)
★全バックナンバーはまぐまぐのサイトで掲示されております。
http://blog.mag2.com/m/log/0000019921
★検索機能が楽しい。バックナンバー・サーフィンはブログで。
http://cyblog.jp/saf-list.php
★講読の登録・解除はこちらのURLでお願いします。
http://www.msi-group.org/SAF-index.html
=================================
※ ご注意!!
サーバーエラーなどで読者登録が解除されてしまった方がいらっしゃる様子
です。当メルマガは毎月10日・25日に休まず発行しております。届かない場合
には、弊社ホームページで発行状況をご確認の上、再登録をして下さい。
http://www.msi-group.org/SAF-index.html
=================================
次号予告:
第190号『浮動産の扱い』 (12月25日発行)
今年最後の発行号は、お客様との関係性の価値について考えてみます。ご期
待下さい。(完)