181 非破壊検査

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経営コラム SOLID AS FAITH 第181号
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ご愛読ありがとうございます。第181話をお届けします。

今年も早いもので、もう8月です。新宿の「新拠点」から日差しの強いビル
街に歩みだす毎日が続いています。事務所扱いの「新拠点」には、洗濯機置き
場がなく、階下のコインランドリーの利用も面倒なので、「電気バケツ」なる
ものを購入することと致しました。珍妙なネーミングで、バケツのどういった
部分が、「電気っぽく」なるのかが、名称からは全く想像できない商品です。
インターネット上では、芋の皮むきにも使えると言う話まで掲載されています
が、色々試して楽しんでみようと思っています。

前回の『短命の設計』は、こんなに多くの読者の方が、このコラムを読み込
んでいて下さったんだと、改めて実感できるほど、多数の方々からご感想を賜
りました。勿論、色々と私が気付いていないポイントを指摘して下さるご意見
もあり、大変勉強になりました。ご意見・ご感想をお送り戴いた方々、お聞か
せ戴いた方々に、この場を借りて、深く御礼申し上げます。

さて、今回の号は、クライアント様からご好評戴いている弊社の勉強会企画
運営サービス。その開始に当たって、問題になることが多いのがメンバーの選
定です。そのプロセスで滲み出てくる「できる奴」の定義について考えてみる
こととしました。それでは、本文に対するご意見・ご感想をお待ちしておりま
す。頂戴したご感想などへのお返事の目標納期は5営業日!!
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その181:非破壊検査

ありがたいことに社内勉強会企画運営サービスはご好評を戴き、あちこちの
クライアント企業に提供させて戴いている。勉強会は社員の手による業務改善
活動に、経営手法や経営観の学びの要素を混ぜ込んで、組織の力を強化するの
が眼目である。

勉強会の開始時点で必ず問われるのは、参加メンバーの選定方法。階層別、
部署別、テーマによって、その組み合わせのよしあしを検討する横から、経営
者の声がする。
「やっぱり、できない奴を参加させても意味がないだろ。そう言うのは投資に
値しない。汗して職場で現業をやればいいんだ。できる奴を優先してくれ。伸
びれば伸びるほど結果につながるだろうからな」。

勉強会が開始後、数ヶ月経って、なかなか見え難い成果を模索しつつ、取り
組む改善ポイントをさらに絞り込んで、参加者のレベルにハードルを近づけま
しょうと提言する。すると、少なからぬ経営者はこう言う。
「そんなに、ウチの社員が無能な訳がない。メンバー構成が悪いんじゃないか
な。全体の足を引っ張っているのは誰か、もうはっきりしているんだろ。そう
いう一部の連中を外せば、進展も早くなるし、質も上がるだろうに」。

改善・変革はできなくても、実務処理はやたら速い社員がいる。客の信頼は
ないのに、イエスマンで社長のウケが妙に良い社員もいる。定型作業は任せて
安心で、何が問題かを直感的に知っているのに、口が重く、周囲にそれを伝え
られないでいる社員もいる。誰ができる社員で、誰ができない社員なのか。で
きない社員とできる社員を隔てる境界は何か。それは誰の認識の中にあるのか。
できない社員は、周囲に比して自分ができない社員だと認識しているか。

大手企業と違って、社長が社員個々に目を配り評価をきめ細かくできるのが、
中小零細企業の良いところ。顧客に対しても従業員に対しても、「深く狭いア
プローチ」に勝るものはない。それでも給与やボーナス額は、多く、年功や在
職年数に強く相関している。社長の頭にある「できる奴」は、難易度の高い仕
事の分担や、言葉遣い、気遣いの対象となって、厚遇されている。そんな社長
の言動の使い分けと、それを体感している社員の存在は、何度か訪問すれば外
部の者にも見えてくる。

「社長。ありえないとは思いますが、仮に、御社がフィットネスクラブに法人
会員として契約して、できる社員にのみ、それを使わせるとします。その人選
を社内の掲示板に貼って、告知できるほどの、優秀な社員を、取り敢えず『で
きる奴』としときましょう。さて、そういう社員は誰なのか教えて戴けますか」。
日常に織り込まれた待遇差を明らかにすることに耐えられる組織とそのトッ
プは少ない。それを知っていて、敢えて尋ねてみることにしている。
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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。
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【MSIグループからのPR】

最近、弊社代表訪問先でよく話題になる社是・社訓。

そこで、
『できる会社の社是・社訓』 千野信浩著 新潮新書
を読んでみました。

描かれている内容は、心揺さぶるものが多く、
できる会社がどういった会社が、容易に想像できるようになる
非常にありがたい本です。

それでも尚、弊社では、
零細組織における社是・社訓の意義には、かなり懐疑的です。
社是・社訓は何のためにあり、どのように組織の日常に反映されているか。
そんなことを考える機会が増えています。

勢い余って、当コラムの関連号を読み返してみました。
ご一読戴けましたら幸いです。

第56話 『憑依なき言霊』
http://cyblog.jp/modules/wordpress/index.php?p=142
第86話 『心の捏造』
http://cyblog.jp/modules/wordpress/index.php?p=179
第117話 『体感と会得』
http://cyblog.jp/modules/wordpress/index.php?p=212
第132話 『気休めと言い訳』 =林檎の教え(1)=
http://cyblog.jp/modules/wordpress/index.php?p=251

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次号予告:
第182号『花瓶の配達』 =出前芝居(1)=(8月25日発行)
久々の二本連続のシリーズです。題して『出前芝居』。先日映画館で観て、
強烈に心に残った映画『紀子の食卓』を題材に、組織の中で求められる役割に
ついて、考えてみます。その一回目の『花瓶の配達』は、弊社が勉強会企画運
営と括っているサービスが、相手の企業毎に、場合によっては部署毎に、全く
異なる役割を求められている事実について考えてみました。
ご期待下さい。(完)