527 飢餓状態

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経営コラム SOLID AS FAITH 第527号
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ご愛読ありがとうございます。第527話をお届けします。

このコラムがあなたに届くのは年も明けて10日目ですので、大分出遅れ感
があるものと思いますが、今年最初の発行号です。あけましておめでとうご
ざいます。

通称武漢ウイルス拡散開始から足掛け3年目が始まりました。新株は以前
のものに比べて感染力は高いものの害悪の度合いはかなり低いことがはっき
りしてきたようです。ウイルスも宿主がぱたりと死んでしまっては元も子も
ありませんから、感染力を強めつつ、「生かさず殺さず」の路線を模索する
のは当然のことでしょう。「新型」と言われつつ、そろそろ次の新型が登場
する時代に移行しつつあるのかもしれません。

感染者数や超水増しの死者数の推移を見る限り、悪くても季節性インフル
エンザ並みの病気であることは明らかで、その厳然たる事実を理解し適切な
アクションを取れるようにしておくことが、会社経営においても個人の人生
設計においても重要であるように思えます。

欧米のデモの風景のプラカードによく登場するシロクマは減っていないど
ころか増加が観察されていますし、水没すると言われ続けたツバルもいつま
で経っても消えないどころか面積が増えているという報告もあるようです。
世の中のゲームのルールを作る側に回ることはなかなか大変ですが、少なく
とも、ゲームのルールをしっかり理解していれば、結構勝算はあります。ゲ
ームのルールを知らないままに右往左往して追い詰められることのないよう
心掛けたいものです。

2022年最初のコラムのタイトルは『飢餓状態』です。世の中で高いQCDS
が本気に求められるようになってきたと思えます。その本気度は甚だしく、
通称武漢ウイルス禍で低めのQCDSの事業者の多くはバタバタと淘汰されて行
きました。その結果、QCDSを高く維持し続ける努力を続けた会社には、最小
限のプロモーションの努力だけでもどんどん関心や引き合いが集まるように
なっています。

面白い時代になったものです。インターネットの普及で小規模事業者も大
手同様に独自の事業が展開できるというのは、長いこと眉唾半分でした。イ
ンターネットの世界でも膨大で長期にわたる露出はカネで買えるからです。
しかし、その露出の意義が減じてくれば話は変わります。そんな変化が感じ
られる事例を一つ掘り下げて紹介してみました。ご意見・ご感想をお待ちし
ております。頂戴したご感想などへのお返事の目標納期は5営業日!!

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その527:飢餓状態

「正直者は、「一生懸命やれば、説得できる」「いいプレゼンテーションが
できれば買ってもらえる」と思ってしまう。そこで徹夜で、提案書を作った
りする。しかし、お客は、それを望んでいない。提案書は、営業マンが帰っ
たらゴミ箱へ直行する。良くて、ファイルの山のなかに突っ込まれるだけだ。
それに対して、悪徳業者は、相手に信用してもらうために、一度目は深追
いしない。相手に信用されたところで、次の手を打つ。感情をくすぐり、購
買動機を高める。そして相手が自己説得するように誘導する。
どちらが、成約率が高いかは、明らかだろう。なにも悪徳業者になること
を勧めているのではない。しかし、正直者にとって、勉強になる多くのヒン
トがあることは確かである。」

私が「ピンク本」と呼ぶ神田昌典の処女作『あなたの会社が90日で儲か
る!』の印象的な一節。品質が悪くそもそも売れない商品を抱えている悪徳
業者はどうすれば売れるのかについて真剣に考え、徹底的に売り方を工夫し
ているのに対して、良品を抱える正直者は「良品なのだから売れる」と見当
違いの努力を繰り返していると、彼は説く。

「リスティング広告のキーワードをずっと検討しては変更して、毎月数万円
ずつ打ち続けて来たじゃないですか。なんだかんだ言って、毎月5件以上は
全く見ず知らずの会社から引合いが来るようになってますよ。多い月は10件
にもなる。ウチが逆の立場だったら、ネットで訳分かんない会社を探す前に、
取引先の幹部とかに業者さんを紹介してもらうんですけどねぇ。その方が信
用できるじゃないですか。どうしてこんなに案件が来るのか」。
クライアントの町工場の社長は怪訝な顔をして、営業報告の表を見て言っ
た。

この町工場に私はもう20年以上お付き合いしていただいている。先月は確
かに10件を超えた。同じ方面の地域からの引合いが集中していたので調べて
みたら、その界隈の金属加工業者が廃業した結果らしい。俄然興味が湧いた
社長と私は夜の街に車を出し、廃業会社跡と新規引き合い先の合計6ヶ所を
見に行くことにした。繁華街を抜けて商店街に至り、住宅地がほど近くなっ
た辺りに、多くの会社は位置していた。そして、その途上の道路沿いには大
小の町工場らしき建物が並んでいる。社長の会社と同業と思われる会社もい
くつも見つかる。なぜ引合い先の企業群は、近くの会社に依頼しなかったの
か。

「ウチはネットの内容も充実しているし、納期厳守だし、若手がバリバリ働
いているし。そういう違いを引合いの会社さんは分かってくれていて、敢え
てウチを選ぶんでしょうね」。
帰途社長はハンドルを握ったまま呟いた。悪徳業者を見習わない存在感で
も、質の高いサービスに飢えているお客が必死に探し出してくれる時代が始
まったのかもしれない。

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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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『萬屋日和』 「会社の萬屋 企画改善請負本舗」からのPR

「会社の萬屋 企画改善請負本舗」の奥田美幸です。
クライアント様の顧客開拓支援の一環として、内定者に対して
展示会での情報収集方法のレクチャーと当日のフォローを行ないました。

インタラクティブなコミュニケーションをとれる展示会において、
適切なツールを作り、自社の強みを適切に伝えることで、
興味を持ってもらえる可能性を増やすことに繋がります。

詳しくは以下のページをご笑覧ください。
https://kaisha-yorozuya.support/works/solutionsaboutprofit-exp/

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『萬屋のもっと深く愛してい』第24回「XR(MRとSR)」

前回、前々回で「VR」、「AR」の技術について紹介しました。それらを含め
た現実世界には存在しないものや情報を表現・体験できる技術を総称して、
「XR(X Reality、Extended Reality)」と言います。「VR」、「AR」など
を複合した技術が登場していることから、「XR」という言葉が生まれました。

「VR」、「AR」以外に「MR(Mixed Reality):複合現実」、「SR
(Substitutional Reality):代替現実」という技術も「XR」に含まれます。
「MR」は「VR」と「AR」を融合させた技術で、「AR」のように現実世界にCG
を重ね合わせ、「VR」のようにCG映像に対して、近づいたり、操作したり、
触れたりすることが可能となっています。現実世界と仮想世界をより近づけ
ることができ、CGで作られたバーチャルな世界をよりリアルに体験できるの
が「MR」です。

「SR」は仮想世界を現実世界として錯覚させる技術です。たとえば、ヘッド
マウンド型と呼ばれる頭部から覆うメガネの形をしたディスプレイ上に、現
実世界における過去の映像を映し出し、現実とは異なった事象をあたかも目
の前で起こっているかのように錯覚させることができます。現時点では実験
段階ではありますが、将来的には認知療法などでの活用が見込まれているよ
うです。

今後人材確保にかかる費用の高騰などを背景とし、人手不足の解消や作業効
率化といった課題解決のためには、人がやらなくても良い作業はどんどん機
械化していくことが必須となります。

「XR」のいずれの技術も、導入費用や導入に必要なスキルなどの面から中小
企業での活用はあまり現実味がありませんが、将来重要な役割を果たす技術
になるかもしれません。

このテーマについてさらに詳しいご説明が可能です。
ご希望の方は萬屋までご一報ください。
contact@kaisha-yorozuya.support

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【MSIグループの仕入完了報告(抜粋)】

■『なぜ星付きシェフの僕がサイゼリヤでバイトするのか? …』
村山太一 著
■『ドリーム・ハラスメント 「夢」で若者を追い詰める大人たち』
高部大問 著
■『ゴーマニズム宣言SPECIAL コロナ論4』 小林よしのり 著
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
下のアドレスにご意見・ご感想を頂ければ幸いです。
bizcom@msi-group.org
このメールマガジンは、
インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を利用して発行しています。
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毎月10日・25日発行 盆暮れ年始、一切休まず足掛け23年。

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次号予告:
第528話 『ゴーストの囁き』 (1月25日発行)
嘗て「働く存在」は人間だけで機械やシステムは人間が使うものでした。
「働く存在」は「人間」だけでもなければ、「人間+機械」の定義さえ合わ
なくなってきています。ちょっと考えてみました。

(完)