168 必然のリサイクル

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経営コラム SOLID AS FAITH 第168号
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ご愛読ありがとうございます。第168話をお届けします。

暖冬が続いております。雪が異常に少ない様子に、地球温暖化の言葉が頭を
掠めます。そんな時に、『週刊ダイヤモンド』の櫻井よしこ氏のコラムで紹介
されている、人間の生命維持の限界である大気中二酸化炭素濃度が3%に達す
る180年後の状況などを読むと、単純な私は空恐ろしくなります。皆様は如何
お過ごしでしょうか。

さて、前回の号のPR欄で紹介致しました『不人気人材を取り込まねばなら
ない不人気組織体の経営』には、かなりの数の反響を頂きました。特に、不人
気企業が直面する4つの選択肢について、熟考されたご意見が多々ございまし
た。今回のPR欄には、簡単ながら4つの選択肢の解説を設けてみました。ご
参考になれば幸いです。

今回の号は前回の『生の教え』に続きともいえる内容です。『必然のリサイ
クル』と題して、言わば低質若年労働力の活用に関して、私が見聞きした中の
進んだ事例をまとめたものです。本文に対するご意見・ご感想をお待ちしてお
ります。頂戴したご感想などへのお返事の目標納期は5営業日!!
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その168:必然のリサイクル

自宅の最寄駅を漢字で書けない応募者。茶パツ禁止の職場と明記してあるの
に、その面接に金髪並みの明るさの髪で現れる応募者。応募の段取りを書いて
ある書類を配っても、漢字が読めず、意味が分からない応募者。面接への交通
費を請求する書類に記入しようにも、足し算ができず金額が書けない応募者。

中小零細企業の中途採用面接と非事務作業の登録者を募る派遣会社での面接
には、このての人材が大挙して押し寄せると私が言うと、「ああ、そうであれ
ば、我が校の就職対策は効を奏していることになりますね」とその人物は深刻
そうに言う。

彼は商社の幹部の仕事を辞して私立大学の就職課で就職指導をしている。自
己分析も企業研究も適職探しも「ほんの一部の超エリート校の大方の学生」に
しか役に立たず、それ以外は「まともに働けることを示して雇ってもらえたら
良しとする」しかない状況と、彼は労働力としての学生の質の低さを嘆く。

「市川さんの言うような人間を社会に出さないような水際作戦は、やっとウチ
では確立できました。しかし、他校は随分と寝ぼけたことをやっていますよ。
少子化が進もうと、景気が良くなろうとね、満足に読み書きできない人間を正
社員に迎える企業は、殆どないことが分からない学校だらけです。資格取得な
んぞも全く役に立たないし」。

友人が販売系の派遣会社で、郵便局のATM脇で、クレジットカードの勧誘
を行なう業務請負を企画運用している。千近い担当地区の郵便局に配置する販
売員を、僅か数ヶ月で殆ど素人から教育せねばならないと言う。短期間で教育
を完成せねばならないのは客の都合だけではない。配置せねば金にならないの
が派遣会社。だから、超短期間の配置前オフJTと配置後のOJTを緻密に組
み合わせ、極力、収益を上げる状態になってから教育を施すように“計算”す
ると言う。計画表を見せて貰って息を飲む。

『脱無業への3つの突破口』と題された或るビジネス誌の記事には、大手中堅
企業で正社員の職を得られない若者の、所謂「若年失業」解決のキーワードは
「派遣」、「中小企業」、「教育」であると言う。派遣会社も中小企業も教育
をすること自体で金は儲からない。「きついね。教育前提の派遣って」と私が
言うと、派遣会社の友人は、人材をレンタルして儲けるのだから、稼がせなが
らの付加価値作りは当然と応える。

求人力の強弱は厳然と存在する。少子化や好景気が訪れれば、求人力の乏し
い中小零細企業には、労働市場に滞留する引き取り手のない人材が寄り集まる
ことだろう。松下幸之助は、「自社は電球も作るが人も作る」と述べたと言う。
それは稼がせながら人を作るのが宿命の、「電球も作ることがある人材ビジネ
ス」と言うことだったのだろう。
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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。
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<MSIグループのPR>

≪特別企画≫
『不人気人材を取り込まねばならない不人気組織体の経営』を考える

仮に、40年間人は働くと考え、
その各々の年齢の社員が社内に均等に在籍すると、
1年に2.5%が退職していきます。

つまり、毎年2.5%を雇わなければ人員は減り続けます。
当然ですが、定年を待たない離職は若年層のみならず増加しつつあり、
10%から20%を毎年採用しなくてはならないのが普通でしょうか。
そのように採用した人材が、
御社の存続を支えられる人材になるか否かが大問題です。

弊社のクライアント企業様に非常に多い
「不人気企業(中小零細企業・不人気業種企業・3K企業など)」では、

人の確保はままならず、
集められても、言わば「不人気人材」ばかりになってしまいます。
この状況下で、不人気企業の取るべき道は
下の4つの選択肢の内のどれかです…

1)発生コストに耐える収益力の改善を図り続け、現状の人事政策を維持する
かなり困難な選択です。新卒一人の採用と初期育成のコストは逸失利益も含
めて500万円を超える試算となる企業もかなりあります。その離職で発生する
膨大なロスを支えて余りある利益を捻出し続けることを指します。

2)存続を諦め、採用を控え続け、利益を追求する
現時点で業績を伸ばしている企業でも、毎年の採用活動の結果が全く実を結
んでいないところは多々存在します。例えば、過去数年のペースで採用と定着
が維持されると仮定して、10年後に人員が大幅に減っていない中小零細企業で
は稀に感じられます。余力のあるうちに、終わりの準備が必要になります。

3)本質的な企業ブランドの構築により、人気企業になる
現実には非常に困難な選択肢です。もともと、人気企業になることが非常に
困難であったため、不人気企業であり続けることになった企業が、事実上、不
人気企業の大多数であることを考えると、ほぼ不可能に近い選択肢です。また、
オーナー経営者率いる不人気企業ですと、オーナー経営者に選択肢実現のため
の時間があまり残されていないことも多々あります。

4)不人気人材を取り込み、戦力化するメカニズムを内部に構築する
弊社でお勧めする選択肢です。少子化が進んでも尚、所謂「労働市場」に若
年人材は溢れています。学校は就職希望の学生だけを対象に「就職率が上がり
続けている」と言い、マスメディアが言う「売り手市場の就職戦線」は、「人
気学生のみの引っ張りだこ状態」に過ぎません。それ以外の若年労働力を如何
に取り込み、その力により、生き残りをかけて差別化を実現するかが、大テー
マということになります。

『不人気人材を取り込まねばならない不人気組織体の経営』と題した
構造解説モデル図を年始の挨拶状の一部として作成致しました。
ご希望の方に、(ご主旨確認の上)進呈致します。

ご住所・ご氏名・御社名・部署名・お役職名を明記の上、
メールにてご一報下さい。
※タイトルは「モデル図希望」で結構です。
bizcom@msi-group.org
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次号予告:
第169号 『ヘイスタックネイル』 (2月10日発行)
ビジネス書のタイトルを見ると、落ちている小額紙幣は拾ってはならず、逆
に落ちた果実は売らねばなりません。その他、早起きはしなくてはならず、便
器は自ら磨かねばならず、ブログは立ち上げねばならず、と儲かる経営には、
色々なことをしたりしなかったりしなくてはいけません。経営の究極の改善策
について考えてみた号です。変なタイトルですが、誤植や記憶違いではありま
せん。タイトルの意味も含めてご堪能いただければ幸いです。ご期待下さい。
(完)