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経営コラム SOLID AS FAITH 第163号
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ご愛読ありがとうございます。第163話をお届けします。
7周年記念特別号も無事発行し終えることができました。ソリアズが、なぜ
『経営コラム SOLID AS FAITH』と言うタイトルになったのか、弊社サイトで
は大雑把にしか説明していない背景のご紹介に(寄稿部分以外の)全文を使っ
てみました。お楽しみ戴けましたでしょうか。
長らく続いてきました『ソリアズ』初の4回連続シリーズ『愉悦のフライト』
は、とうとう前回で終了し、今回からは通常通りの形に戻ります。今号は、拙
宅の庭の杉菜との闘いを通じて考えた、「根絶やしにできない抵抗勢力との共
存」のようなテーマです。「うまくやること」、「大人の付き合い方をするこ
と」など言い方は多々あるかもしれませんが、そんなことを考えてみた号です。
本文に対するご意見・ご感想をお待ちしております。頂戴したご感想などへの
お返事の目標納期は5営業日!!
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その163:杉菜の諦め
東京生まれの横浜育ちで、北海道暮らしを夢見ていた妻は、家を購入したら、
その周りに大きく庭を作った。引越し当初、雑草が蔓延り、特に杉菜の繁茂に
は手を焼いた。他の草花があるので、除草剤を撒くこともできない。杉菜の駆
逐が私の数少ない庭仕事のメニューとなった。
杉菜は地下茎がぐんぐん伸び、そこから地上部分がどんどん現れる。地上部
分を少々千切った所で、一雨降ると殆ど元に戻る。地下茎は切れ易く深いので、
到底全てを引き抜くことはできない。或る日曜日、意を決して、杉菜掃討に打
って出た。丸一日掛けて虱潰しに杉菜の地上部分を削り取り終えた。
雨を経た一週間後、杉菜の地上部分は復元しつつあったが、よく見ると、自
宅と隣家の壁面に近い所ほど成長している。縁の下の杉菜の母体は温存され、
庭の中心に向かって地下茎を伸ばしていると気がついた。そこで庭と隣家の図
を描いて、コンパスを使って家々から一番遠い部分を割り出した。その付近か
ら、杉菜を可能な限り深い位置で千切って行った。次の週末もその次の週末も、
家屋からの最遠点付近のみ、執拗に杉菜を殲滅した。
植物である限り、光合成が必要である。伸ばしても伸ばしても、光合成がで
きない以上、杉菜はどこかの段階で地下茎を伸ばすのを止め、家屋壁面付近で
の光合成に集中せざるを得なくなる。そこで最遠点から、家屋に向かって、防
衛ラインを押し進める。数週間、一進一退を繰り返すと、杉菜はその場所を
“放棄”する。さらにこちらの防衛ラインを進めて、家屋壁面まで進む。これ
で、見回るべき所は、自宅の壁面周辺と、隣家の壁に近い土地の境界だけにな
った。隣家の壁面の下には杉菜が繁茂している。しかし、今尚そこに近い防衛
ラインは守られており、プロットすると、その杉菜群は、こちらへの延伸を
“諦め”、隣家の土地の中で別向きに地下茎を伸ばしていることが分かる。
「中途で大卒を雇ったのは良いんだが、もう入社3年も経っているのに、どう
もやる気がないと言うか、後ろ向きと言うか。会議でも批判や評論は一人前以
上なんだが、仕事はぎりぎり一人前ぐらいだからなぁ」と取引先の社長が言う。
「そんな程度の理由では解雇するわけにも行かないでしょう。無理に迫ると、
周囲の社員の動機付けにも影響が出ることもありますし。批判評論が多いなら、
その都度『だったら、お前はどうするのか』と聞き返してみたらどうですか。
断固とした姿勢で臨めば何かは伝わるし、彼を変えられなくても、共存ぐらい
はできるんじゃないですかね。
流行の抗菌グッズとかの売場を見ると、使えば如何にもカラダの抵抗力が落
ちそうじゃないですか。実質死なないウィルスも、体の中に封じ込められるん
ですから、何でもかんでも、完全に思うままにしなくてはならないと言うのは、
行き過ぎかもしれませんよね」と私は応えた。
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次号予告:
第164号 『公認の未曾有』 (11月25日発行)
自社の業種分類について尋ねられ、応えるついでに差別化について考えてみ
ることとしました。顧客が認識する自社の強みは何なのか。それが差別化の源
泉となっている優位点の筈ですが、考えてみると、その実際はよく分からない
ような気がします。そのようなことを一緒にお考え戴ければ幸いです。ご期待
下さい。(完)