158 よくとぶヒューズ

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経営コラム SOLID AS FAITH 第158号
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ご愛読ありがとうございます。第158話をお届けします。

そろそろ、当コラムの7周年記念特別号の準備をしようかと思っております。
寄稿してくださる方へのお願いなども並行しつつ、どのような原稿を載せよう
かと企画を少々練り始めました。現状では、例年通り、10月末日の発行を目指
しております。

さて、今回のコラムは、ストレスに弱い学生の実態を大学の現場からの観点
で描いてみました。若年離職は増える一方です。その陰には親の価値観の問題
や、勤労の意義や職場の現実を知らない学内の指導体制、そして職場の育成風
土の欠落などもあるでしょう。

しかし、実際に「打たれ弱い」学生の「質」の問題は、非常に大きいように
私には見えます。当然ですが、今回の号の内容も実話に基づいております。数
年後の自社への入社候補者について考えを巡らせて戴けましたら幸いです。本
文に対するご意見・ご感想をお待ちしております。頂戴したご感想などへのお
返事の目標納期は5営業日!!
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その158:よくとぶヒューズ

私大で持つ数百人単位の講義では私語を厳禁にし、黙々と早口のノートを取
らせる。オリエンテーションで、『受講のルール』を配布して遵守を迫る。そ
れでも、私語を止めない学生がいるので、初回の講義を数分単位で中断して、
それらの学生に「ルールを理解していてもやるのは何故か」と理由を問い詰め、
その挙句に教室から放逐する。この方法の効果はてきめんであるが、根に持つ
学生も多い。そんな学生の多くは履修登録自体を取り消すが、半年後までちゃ
んと受講してからアンケートに、「あんなに私を追い詰めるようなことを言う
のは許せない」など書き込む輩もいる。

非常勤講師室に設置された私のレターボックスに、教務課から書類が届いて
いた。「意識を失う学生への対処」と題されている。講義のストレスに耐えか
ねて、受講中に突如、意識を失う学生が、“発生”すると言う。詳細に失神前
の状況を記録の上、医務室へ連絡せよと、マニュアルは指図する。数百人の学
生の中から突如失神者が出ても、その瞬間の前の状態を記憶はしていない。本
気の対策なら、ビデオカメラを設置して貰わねばならない。

私の担当の教授に、冗談半分にアイディアを披露すると、彼は真顔で応じる。
「う?ん。市川さん。そう言う手段を検討しなくてはならない日も近いかもし
れませんよ。数年前、私のゼミの学生も、突然失踪して、近隣の総合病院の夜
間受付に現れたんです。『どうした』と尋ねても、モノを言わず、ただ、佇ん
でいるだけだったと言うことです。やはり、心の奥底で助けを求めていたんだ
と思います。その学生も失踪まで、異常に気が付いた者は周囲にいませんでし
た。真面目で大人しいと表現されるタイプですね。こう言う学生はここ数年、
徐々に増えてまして、千人に数人のオーダーで発生しています。潜在的な数な
ら、数%でしょう。もう特殊なケースとは言えなくなって来ているんです」。

大学生活は、ストレスが貯まるものなのか。昔は貯まらなかったが、今は貯
まるものなのか。それとも、ストレスを貯め易い者が激増しているのか。英語
が満足に通じず、日本人も見当たらず、持ち金は底を衝きそうで、まともに卒
業しても働く当てもない。25歳から大学に私費で留学をした私には、周囲の学
生の姿に微塵もストレスなど感じられない。

中国のホテルでコンセント毎に電圧が違う等と聴いたのはつい最近。企業が
発展途上国に進出すると、水の精製から安定電圧の供給まで、国内では全く不
要な施策を自ら多々講じて、その環境に適応せねばならないケースがあると言
う。

総ての企業は環境適応業と言う。環境は変えられないから、自ら適応せねば
ならない。原料の品質が悪いなら、それを徹底的に管理せねばならない。意識
のヒューズがとび易い学生は、数%の割合で混入する。短時間での分別が困難
である以上、効率的な水際対策は不可能に近いと言うことだろう。
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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。
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7周年記念号。そろそろ発行準備開始!
早いもので、もう2ヶ月ほどで、7周年記念号の発行時期です。

まだまだ、内容の企画は手付かずですが…
読者の皆様に、寄稿のお願いをすることがございます。
その際には、快くお引き受けのほどお願い申し上げます。

勿論、こちらからのお願いの前に、
ポンと短い原稿を書いて下さる方。
大歓迎申し上げます。取り急ぎ、ご一報下さい。
※字数は500?1000字程度です、(特に決まっていません)

過去の特別号(記念号&増刊号)は、
こちらをクリック致しますと、ずらっと出ます。
御寄稿がどのように掲載されるかをご確認下さい。
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次号予告:
第159号 『人形の夢』 シリーズ『愉悦のフライト』(1)(9月10日発行)
連載開始からもうすぐ7年経ちますが、創刊以降初めての4回連続シリーズ
の登場です。札幌と東京の往復生活の中で、頻繁に飛行機を利用するわけです
が、その過程で気づいたことなどをまとめた4話を連続してお届けします。第
一回目のテーマは「マーケティングの体感」とでもまとめられるでしょうか。
ご期待下さい。(完)