141 匙降る地

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経営コラム SOLID AS FAITH 第141号
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ご愛読ありがとうございます。第141話をお届けします。

寒い日が続きますが、皆様如何お過ごしでしょうか。胃腸の調子がおかしく
なる風邪、喉・鼻に来る風邪など、幾つかのパターンが同時並行で流行ってい
ると聞きます。病気だけは流行の先端を行く自信のある私は、多分、弱い免疫
のレパートリーが既に揃っているようで、ギリギリ酷くならない程度に、軽い
乍らも不快な症状がダラダラ続くのに閉口しております。

今年のソリアズも今回を含めてあと二回となりました。長年の読者の皆様は
ご存知の通り、書き貯めてある原稿のために季節感もない内容の文章を、年末
年始も全く関係なく、お届け致しますので、お楽しみ戴けましたら幸いです。

さて、今号のソリアズは、仕事の本質とそのやりがいについて考えてみたも
のです。大学でキャリア観などを教えていると、「やりがいのある仕事」など
の表現によく遭遇します。私の行なう就労観教育は、そのようなこと全般につ
いての私見を述べるのが講義の内容ですが、講義終了後の空き時間に決まって
学生が、「先生は今の仕事をどうやって決めたのですか」や「先生は今の仕事
にやりがいを感じますか」などの質問を投げかけてくる熱心な学生がいます。

その問いの幾つかへの応えをまとめてみたのが今回の内容です。ご意見・ご
感想お待ちしております。頂戴したご感想などへのお返事の目標納期は5営業
日!!
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その141:匙降る地

百人前後の大人数のクラスを大学で教えていて、可能な限り、学生と直接話
をする機会を増やすように心掛けている。昨今の流行は「チャレンジングな職
場」の「遣り甲斐のある仕事」のようで、就職難を意識した学生の発言は前向
きである。

「『チャレンジングな職場の遣り甲斐のある仕事』ねぇ。そう言うのって、み
んな嫌がるんじゃないのかな」と私が言うと、学生は怪訝な顔をする。

「『 100万円の束があちこちに落ちているような宝の山の会社』って言うのは
知っているかな。それは、今現在は無駄な作業や無駄な経費が多くて、全然ダ
メな会社って言うことだよね。『業績が大きく伸びる余地のある会社』って言
うのは、大抵、今がどん底ってことを指すような気がする訳でさ。『社員レベ
ルの小さな努力の積み重ねが実を結ぶ会社』ってのもあるね。それは、既存社
員が愚かしいことばかりを日々続けているロクでもない会社って言うのとほぼ
同義に思えたりするんだけど。大手がすべて素晴らしい訳じゃないけど、仕組
みなり、設備なり、制度なりが十分整っている一般的な大手企業に行って、
『チャレンジングな職場』や『遣り甲斐のある仕事』が、社員にガンガン体感
できるのかなぁ」。
揺さぶるほどに、学生達は言葉を失う。

一部上場企業の或る若手幹部が、プチ大家さんを目指して不動産物件に投資
し、色々と痛い目・酷い目にあって、個人で1億を越える負債を抱えた。共通
の友人が、彼に私を紹介してくれた時、部屋の稼動は半分程度。預貯金も底を
つきつつあり、自己破産は目前で、会社に知られれば解雇されるという。紹介
してくれた共通の友人までもが、「多分、もう打つ手はないかもしれないけど」
と繰り返す。

背水の陣ならと腹を括って、マーケティングの方法を原点から考え直した。
広告媒体の選択や内容の打ち出しなど、手当たり次第に見直して、どれが当た
ったのか分からぬ内に、ほぼ満室になって、利益はギリギリ確保された。

書店の経営改善も、工場労働者の派遣登録促進も、「それは無理なんじゃな
いの」と皆が評する案件が提示されると、むきになって引き受けてしまう。も
ともとコンサルタントでもなければ、有名再建屋でもない。人が匙を投げるよ
うな案件が耳打ちされる。お引き合いは有り難いから、喜んで取り組む。全国
に法人数 300万弱。零細企画屋の眼前にも、バラバラと行き場のない匙が落ち
てくる。

ミルによれば、幸せかどうか考えずにいられることが幸せであるらしい。有
り難く匙を拾わせてもらう限り、「チャレンジ」も「遣り甲斐」も感じる暇は
ない。
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次号予告: 第142号 大根と読み聞かせ(12月25日発行)
中小企業経営者の心情に関わる商売と自己紹介すると、その見つけ方だのマ
ーケティング方法だのを問われることがあります。次号は、中小零細企業経営
者向けビジネスの、(かなり不謹慎な内容を含む、)市場開発のケース・スタ
ディの話です。ご期待下さい。(完)