485 堆積の構造

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経営コラム SOLID AS FAITH 第485号
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 ご愛読ありがとうございます。第485話をお届けします。

 通称「武漢ウィルス」も漸く治療薬の量産の目途がついたようで、新型肺
炎の騒ぎもそろそろ終わりが見えつつあります。弊社クライアント企業の皆
様には、顧客の囲い込みを怠り、差別化を徹底してこなかった競合会社が淘
汰されるこの千載一遇のチャンスに攻めに打って出ることや、業績悪化への
対処ついでにこれから10年はもつような新たなビジネス・モデルを打ち立て
ることなどをお勧めして参りました。おまけに株やら債権やらもどんどん下
がるので、余裕資金の投資のお勧めまでしていたりします。

 東日本大震災の教訓の一つとして、大手企業ではBCPの用意がブームにな
りました。中小零細企業では、どのようなことになるか分からない災禍の想
定とそれに対する対処法の策定に費やす労力も時間もないことが多いので、
BCP立案よりも危機に強い構造の経営を普段から採用しておくことが重要な
のであろうと弊社では考えています。今回の新型肺炎の流行でも、まさにこ
のポイントが可視化されたように思えてなりません。

 元々後継者不足や消費税引上げ、さらに、「働き方改革」で廃業が夥しい
数に及ぶと推測されていました。そこに今回の経済環境変化ですので、空前
の廃業ラッシュが到来すると考えられます。他社の廃業は市場に残った企業
に必ず大きな機会をもたらします。その機会を逃さず、まさに「持続可能性」
の高い事業を構築することが重要であろうと思います。

 今回は『堆積の構造』と題して、新卒学生の採用の現場で考えた、今流行
りの非認知能力について考えてみたものです。2018年の『AI vs. 教科書が
読めない子どもたち』の出版から始まった「読解力問題」ブームは大分落ち
着きましたが、現実が変化したわけでは全くありません。その読解力を構成
する一つの大きな要因が「グリット」や「レジリエンス」と呼ばれるような
非認知能力群なのであろうと考えます。教育現場でも明確に認識されている
学生達の“能力”についてご一緒にひと時お考え下さい。ご意見・ご感想お
待ちしております。頂戴したご感想などへのお返事の目標納期は5営業日!!

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その485:堆積の構造

「え。市川先生。気づいたんですか。非常勤講師の先生のフォロー係を長年
やっていますが、学籍番号の意味について尋ねて来たのは市川先生が初めて
ですよ」。
 初老の教授は自分の事務所で私に目を丸くして言った。地方の大学の非常
勤講師をしていた頃、自宅で採点後の学生達のレポートを一部ずつめくりな
がら、エクセルのファイルに点数を入力していて、作業が進むと段々と点数
が低くなっていくことに気が付いた。試しにプロット図を作ると、学籍番号
の特定の二桁が増えるごとに階段状に成績が下がって行くように見えた。慣
れない非常勤講師の面倒を見る担当の教授にそのことについて尋ねに行くと、
教授はその二桁が入学方法を示していると教えてくれた。その二桁が一番少
ないのが「一般入試」、一番多いのは「AO入試」だった。
 
 言わば「遊びたい盛り」の高校時代を、ゲームも恋愛も夜の街で屯するこ
とも我慢して、高校の数年間を受験勉強に打ち込む入試組の学生達。受験経
験がない私にはその動機が何であるのか訝しい。大学に行くと遊べるのも本
当だろうが、今遊ぶことも選択できるし、高校を卒業しても遊ぶことができ
る。大学を卒業しても明確に何かが良くなる約束はない。砂を噛むような数
年間の時間を大学四年間とそれ以降の漠たるベネフィットのために投じられ
る経験と資質。それが入試組の学生達の最大の強みであるのかもしれない。

「二時間画面に集中するのなんてとても無理」。
 最近雑誌でみた若者の映画館離れの理由で最も多かった回答。どれだけ注
意を喚起しても。なかなか無くならない上映中のスマホ操作も、ほぼ同じ理
由であるという説を聞いたことがある。好きで選んだ映画でさえ二時間耐え
られないのなら、受験勉強に数年間耐えることなど、かなり困難だろう。大
学の講義も、企業の現場での勤務も、一時間以上の時間長に及ぶ集中の連続
ではなかったか。

 また今日も零細企業のオーナー経営者から、「ウチは頭の良い人間は要ら
ないんだ。何て言うかちゃんとした普通の人材が欲しい」と聞かされたので、
「ああ、そういうの。非認知能力とか言いまとめられているらしいですよ」
と私は応じた。有名なマシュマロ実験の結果は、数ある非認知能力のなかで
も重要な論点だと思う。解雇が困難な日本の、一人ひとりの重みがやたらに
大きい零細企業だからこそ、採用は慎重に行わなければならない。

「そうですねぇ。本人の了承は要りますが、正社員の中途採用やバイトのス
タッフの採用なら、前職調査は有効かもしれませんね。あと新卒なら「差し
支えなければ…」の枕詞付きで、まずは大学に入った方法を尋ねてみるとか」
と私はぼそぼそと社長に説明した。

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【MSIグループからのPR】

後に日本マクドナルドの創業者となる藤田田は
玉音放送で終戦を知り、
「これで自由に商売ができる」と
欣喜雀躍したという話を聞いたことがあります。

社会環境・経済環境の大きな変化は
事業の運用に大きな機会をもたらします。

今まで慎重な検討を重ねた新規事業の開始、
今まで取引してきた企業の事業買収、
業務量の大きな変化に伴う社員の非雇用化の推進…

などなど。変化や混乱を事業の機会に転じましょう。

普段、
「事業に志を」とか
「社会に貢献できるビジネスを」とか
「夢を叶える企業組織に」などとのたまっている経営者も、
業績悪化でその声が聞こえなくなってきました。

通称「武漢ウィルス」は、単に
「まだ対処法が確立されていない新手のインフルエンザ」
 程度のものでしかありません。

舐めてかかってはいけませんが、
通常のインフルエンザ以上に神経質になる必要はありません。
クラスターに浸って一部となるのは避けたほうが良いですが、
それ以上に特別な「死病」でも何でもありません。

治療薬・ワクチン・検査薬が全国の医療機関に揃っている
通常のインフルエンザでも毎年数千人単位の死者が出ています。

日常の中で間違いなくウィルスは体内に侵入していますが、
普通の免疫力で対応できる範囲なら
別にどうということはありません。

「こんな時だからこそ」が大事です。
と言っても、
「気持ちを明るく持ちましょう」などという
ノーテンキな気休めではありません。

こんな時だからこそ、ガンガン攻めましょう。

下がった株は買い、
安くなった不動産もきちんと評価して買い、
継続できなくなりつつある会社の事業を見極めて買収し、
社会に浮き出て分かりやすくなったニーズにはどんどん対応し、
ないモノやサービスはどんどん用意して、
バンバン儲けましょう。

「こんな時だからこそ」の大きくビジネスの舵を切るご相談、
弊社ではたくさん承っております。

ご連絡はメールにて。
 bizcom@msi-group.org
 
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【MSIグループの仕入完了報告(抜粋)】

■『障害者の経済学』 中島隆信 著
■『システムインテグレーション崩壊 …』 斎藤昌義 著
■『すべての仕事を3分で終わらせる…』 岡田兵吾 著
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
 合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
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次号予告:
 第486話 『貫通の衝撃』 シリーズ『フラット&フェア』
 (4月25日発行) 
 10年前ぐらいまでは当たり前だったビジネス慣習が大きく変化しているこ
とにふと気づかされることがあります。階層や国境の壁を透過しやすくなっ
た世界のビジネスについて2回シリーズで考えてみます。

(完)