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経営コラム SOLID AS FAITH 第484号
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ご愛読ありがとうございます。第484話をお届けします。
桜が満開となりました。有難いことに珍しく花粉の飛散が多少収束してい
て、恒例の世田谷区祖師谷界隈の桜見物もゆっくりとできました。密閉空間
でもないのに、なぜか新型肺炎対策と称して屋外の花見も自粛のようですか
ら、今年はどこでも桜を見ながらゆるりと散歩して回れたのではないかと思
えます。
あまりに空席だらけの航空便は欠航を決めて、弊社代表の市川が乗る便も
1時間後の便にまとめられてしまいました。まとめられた先の便もそのまま
ではスカスカ過ぎて、わざわざ小型の機体に変更しても尚、席の空きが目立
ちます。
ただ、新宿の街に出ると、オープン型のゲーセンからはドカドカと太鼓の
達人が聞こえてきますし、路上にはソフトクリームをベロベロ舐めているカ
ップルらも多々見られるようになりました。そろそろ自粛ムード疲れが表出
してきたように思います。昼の人込みも通常よりは少ないですが、主に中国
人の観光客と在宅勤務の人々がいない分を差し引くと、まあまあの出足が戻
っているように感じられます。
市川が投資信託をやっている証券会社では、不安に駆られた多くの客から
電話が殺到しているらしく、パニックになっていないか確認のための電話が
かかってきました。リーマン・ショックでさえも5年もしたら株価がまあま
あ戻りました。5年待てるのなら騒ぐ必要もないように思えます。証券会社
の窓口をわざわざ訪ねて状況を聞き、値が激烈に下がったコースを追い買い
してきました。不謹慎かもしれませんが、非日常的な日常には機会や学びが
たくさん転がっているように見えます。
今号は『基礎体力自慢』です。新規の経営支援ツールであるRPAとMAを使
いこなせない多くの中小零細企業の存在とその構造について考えてみた号で
す。細かく見ると、それらを使いこなせないのは「中小零細企業」ではなく、
「中小零細企業で働く人々」です。よく企業群全体の生産性向上の方策とし
て、生産性の低い零細企業は潰してしまうべきだという暴論を聞きます。そ
の際には、消えた会社の従業員達は、人手不足の中、すぐに他の会社に移行
するので、職にあぶれることはないとされています。しかし、これらの人々
が寄り集まって中堅企業ができたところで、結局RPAとMAをはじめとする先
進ツール類が使いこなせない人々が寄り集まれば、その中堅企業も生産性が
低いままになりやすいように思います。
大体にして、人手不足とは言っても、人は現実問題として余っています。
「質の高い人手」が極端に不足しているだけです。ならば、零細企業淘汰に
よる生産性改善が起きても雇用は守られるという説は、眉唾臭く感じられま
す。色々と想像を巡らせられる材料となりそうな話にしました。是非お楽し
みください。ご意見・ご感想お待ちしております。頂戴したご感想などへの
お返事の目標納期は5営業日!!
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その484:基礎体力自慢
「ん。RPAって、そうするとさ。今、事務でやっている作業で定型的なもの
なら、どんどん覚えさせたら、自動的に作業を終わらせてくれるって話じゃ
ないってことなんだ」。
RPAの導入プロセスを提携事業者から聞いていた私は、その遥かな道程に
驚いて言った。Excelのマクロ機能なら、Excel上で行なった作業を記憶させ
ることができる。あとはマクロを起動すれば同じ仕事を何度でも片付けてく
れる。それがExcelの枠を飛び出し、PC内でできる作業を全部記憶させられ
るのがRPA。PC内の定型的な反復作業を全部全自動で実行させられる。その
結果、メガバンクは数年で数千人の人間が要らないと言い出し、横浜市も試
算してみたら事務作業の8割以上がカットできるとサイトに書いた。
「だって、今の事務作業が無駄な作業なら、わざわざ無駄な作業を覚えさせ
る必要はありませんよね」と彼女が言う。まるでSIerに事務作業の分析を頼
んで要件定義をきちんとやるように、事務作業の流れを分析して、無駄を全
面的にカットする工程がRPA導入には必要らしい。お客ごとに伝票発行の仕
方が異なる。今までの担当者の記憶に従ってやる作業のマニュアルも存在し
ない。そんな中小零細企業の現場のRPA導入の道は遠く険しい。
MAの会社の担当者に話を聞くと、眩暈がするほど様々な機能があり、き
っちりやりこなせば、強烈なマーケティング力を中小零細企業も獲得できる
と確信した。おまけに月額の利用料も低廉で、活用はすべてウェブ上ででき
る。「アンノウン」と呼ばれる名前も顔も分からない見込み客を記録して行
けば、膨大な「そのうち客」を“見える化”できるだろう。
「ただ、MAの利活用はどうしても自社ウェブが軸になるので、自社のウェブ
を頻繁に更新できる状態であるのは大前提で、さらにアクセス解析ぐらいは
バンバンできる担当者が必要になりますね。あとは、市川さんが『マーケテ
ィング・フロー』とか『マーケティングの階段』とか呼んでいるマーケティ
ングのプロセス設計の考え方は必須でしょうし」。
担当者が明るく微笑みながら重苦しい事実を告げる。全く異論はないが、
低廉で強力なマーケティング・ツールを使いこなせない中小零細企業は多数
派だろう。
日本企業の生産性が低いという議論が最近喧しく、多くの先進国に比べて
日本の中小零細企業の構成比が高いことから、中小零細企業悪玉論も跋扈し
始めた。最低賃金を徐々に引き上げて生産性の低い会社が潰れれば、自ずと
企業全体の生産性は逓増するという主張も聞く。ただでさえ、働く魅力を感
じない人が増え、賃金は上昇傾向にある。後継者不在の廃業も増えている。
その上、生産性の抜本的改善、マーケティング力の劇的強化には、カネでは
補えない組織的な技術力が必要だという。最低賃金の漸増を待つまでもなく、
必要な力が蓄えられていない企業はきれいに淘汰されて行くのかもしれない。
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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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【MSIグループからのPR】
新型肺炎の影響で業績が悪化する企業が続出しています。
分野としては主に…
1)B2C系でお客が出かけることを前提にした商売群と、
2)主に中国人などの外国人観光客のインバウンドに依存した商売群と
3)中国の生産力に依存している部分を代替できない製造関係の商売群
と言ったところが中心で、
そこと取引関係がある他業界にまで、
徐々に影響が広がり始めています。
ただ、たとえば、政府から危険と名指しされた雀荘業界でも、
従前から高ロイヤルティのお客を獲得している店舗は、
影響が軽微で済んでいる様子です。
「業績低下は企業の健康診断」
という言い方を聞くことがあります。
業績が下がると、今まで手を抜いていた経営の分野が
否応なく「見える化」されるという意味です。
同業者が淘汰されれば、市場のパイを掻き集められます。
業界内で業績低下の我慢比べをするのは始めのうちだけです。
元々体力がある所は、先に消えた競合のお客を奪って、
以前以上に強い経営に移行することができるはずです。
こんなご時世だからこそ、安易に自粛などせず、
新型肺炎の適切な対策を用意した上で、
集客に徹底的に打って出るべき時です。
刈り取れるだけ刈り取りましょう。
今後の業績飛躍の基盤を作る時です。
その方法論なら、ご相談ください。
丁寧に具体策を企画案出いたします。
ご連絡はメールにて。
bizcom@msi-group.org
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【MSIグループの仕入完了報告(抜粋)】
■『僕たちはもう働かなくていい』 堀江貴文 著
■『サラリーマンは300万円で… 会計編』 三戸政和 著
■『「意識高い系」という病 …』 常見陽平 著
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
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次号予告:
第485話 『堆積の構造』 (4月10日発行)
人材の「非認知能力」が話題になっています。新卒採用の場面で考えてみ
ました。
(完)