483 作業者の姿

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経営コラム SOLID AS FAITH 第483号
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 ご愛読ありがとうございます。第483話をお届けします。

 先日、弊社代表の市川が最寄税務署の日曜開署日に申告をしてきました。新
型肺炎の感染拡大で非常事態宣言がなされた中、申告に行くのはかなり酔狂な
行為だったようで、入口からすぐの“申告のみ”のカウンターには税務署員数
人以外、全く人がいず、僅か2分もかからずに申告が終わりました。

 商店街の比較的よく行く店でも、店員がお客もいないのに、作業をきちんと
進めている様子を見ると、応援のためにもそこで消費をしたくなります。一般
の企業もそうですが、特にB2Cで一般の消費者に向き合う店舗は、売上そのも
のが「人気投票結果」の側面を持っていることを、こういう時だからこそ痛感
させられます。
 
 以前に比べHIVでさえ「死病」のようなイメージが大分くつがえってきたよ
うに思いますが、新型肺炎のウィルスも、既に蔓延のレベルに達して、多くの
他の病気のウィルスと同様に、日常生活に影響のない程度の存在として、人体
の中に留まるような状態に収束して行くのだろうと思います。検査薬、ワクチ
ンが出揃えば、基本的に年に数千人単位で今尚死者が出るインフルエンザや結
核などと同じような扱いに落ち着くだけのことでしょう。マスク・消毒液だけ
ではなく、トイレット・ペーパーやミネラル・ウォーターの類まで取り合いに
なる事態に至る必然性があまり感じられません。
 
 今号は『作業者の姿』と題して、経営を学ぶ外国人が評価する日本の作業者
の姿を考えてみました。弊社代表の市川は、普通の作業者にまで高いプロ意識
や高い技術を期待し、実装しようとするのが日本の職場環境であろうと考えて
います。その啓蒙や訓練の時間が労働に含まれていない国々と単純な生産性比
較をする愚についても、合わせて考えてみていただけると面白いかと思います。
ご意見・ご感想お待ちしております。頂戴したご感想などへのお返事の目標納
期は5営業日!!

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その483:作業者の姿

 キャスター付きの鞄を引きずりながら、飛行場の動く歩道の脇の通路を足早
にゲートに向かう。前から横二三列に広がった手荷物検査員達がニコニコと互
いに談笑しながら歩いて来る。これからどこかの手荷物検査場に行って、その
場の人々と交代するのだろう。余程仲が良いのか、「それでさぁ」などと年若
い女性の担当者が前後の仲間に話しかけている。
 
 動く歩道に乗らない人もかなりいる。なぜか同伴者に手を引いてもらうよう
な老人も動く歩道脇の通路を歩いている。通路沿いの店舗の棚を立ち止まって
覗き込む人々もいる。そんな中、手荷物検査員達がゆとり教育真っ盛りの小学
生の如くザワザワと歩いていく。制服もきちんと着ていて見栄えは全く悪くな
い。時刻通りの交代のための移動なのだろう。中には時計をチェックして、
「急がなきゃ」と周囲に促している者もいる。彼らは自分の給料の出元を多分
考えたことがないだろう。空港利用者に道を譲らせている。
 
 ある日新幹線に乗ろうとして東京駅のホームに早く着いた。ピンクの制服を
着た清掃員の中年女性が一人、私の近くに立っている。見渡すとホームの端に
ぽつんぽつんと同じ向きを向いて、列車の入線を待ち受けている。姿勢が悪い。
表情も険しい。持ち物が統一されていない。キャラクター・グッズの筆記具が
胸ポケットに刺さっていたり、手芸作品のようなポシェットを下げていたりす
る者もいる。自由な服装ができるのが最大の社員動機付け策と言うSIerを見た
ことがある。車両清掃員も自由な持ち物が動機付けなのだろうか。

 ハーバードのビジネス・スクールが卒業に必須のケース・スタディにこの会
社の事例を入れていると何かで読んだ。教授や学生がツアーを組んで視察に来
るとも聞く。数分の停車時間に全車両の全座席を整然と清掃するという。しか
し、作業はやたらに機械的で、少なくとも私には、ゴミや汚れを意識して行な
っている風には見えない。東京を出るすべての新幹線に対応する清掃員を配置
する採用と育成、そしてシフト管理には凄いノウハウがありそうだが、現場に
は特に優れた点が見当たらないように私には思える。

 建設現場の周辺の環境管理にも心を配る警備員。配達の際に届け先の家の
人々の健康やら生活状況を雑談で尋ねる運送業担当者。作業の傍ら患者の支援
を行なう配慮を怠らない病院清掃担当者。これらの人々の教育を行なうプログ
ラムの開発を私は手掛けたことがある。プロ意識、ホスピタリティ。高度な経
営概念を盛り込まねばならない研修内容。

“We are ladies and gentlemen serving ladies and gentlemen.”
 米国の有名高級ホテルの社員達が自覚すべき言葉。こんな事例が彼の地には
ほとんどないので、高学歴者たちもアジアの最果てまで鉄道車両清掃を視察に
来るのかもしれない。

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次号予告:
 第484話 『基礎体力自慢』 (3月25日発行) 
 中小零細企業の生産性改善にもICTの活用が叫ばれるようになっています。
ICT活用の条件について少々考えてみました。

(完)