479 やっさもっさの着地点

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経営コラム SOLID AS FAITH 第479号
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 新年あけましておめでとうございます。第479話をお届けします。

 もうすでに今年も10日経ちました。お仕事は平常運転に戻り、新年気分で
はないかもしれませんが、今年最初の発行ですので、謹んでご挨拶申し上げ
ます。本年もよろしくお願い申しあげます。

 年末年始の余暇時間に、間違わないように表にしてみたら、今年は10月25
日に第498話が発行された後に、10月末日の21周年記念特別号を発行し、そ
の後、11月25日の発行で500話に到達します。約4年に一回のダブル記念特別
号の発行です。2016年の400話到達の際には、400話発行記念特別号が3回シ
リーズで続き、シリーズ最終話の402号が10月25日の発行だったので、その
すぐ後の10月末日に17周年記念特別号が発行と言う超過密スケジュールでし
た。今年は両方の記念特別号の発行の間に約1ヵ月弱の時間的余裕がありま
すが、原稿作成は前もって並行して行なうことになります。
 
 何をテーマにしようかと考えていたら、500話から4回分のシリーズ一本の
ネタが思いついたので、一気にその4話のドラフトを書き上げてしまいまし
た。あとは、4回の各々につける特別原稿を用意するだけになって、大分肩
の荷が下りました。そして、残る大物は21周年記念特別号です。昨年の20周
年記念特別号が重いテーマにも関わらず、結構コンパクトにまとまって、す
るっと読める内容に仕上がったので、今回は難解さを厭わず深く掘り下げて
みようかと考えてみたりしております。
 
 今年最初のコラムは海外の社会格差の現実についてちょっと考えてみるこ
とにしてみたものです。日本でも格差が広がったと散々騒がれていますが、
他の先進諸国の格差に比べると、ないも同然なぐらいに僅かなものです。海
外のエリート層・富裕層の人々の経済予測も政治施策も会社経営原理も、御
用学者によって強く支持されていますが、大抵自分達への利益誘導の主張か
単なる幻想かのいずれかであることが発覚するように思えます。
 
 昨年末、日本では公平な裁判が受けられないと法を犯してまで海外逃亡し
た外国人経営者がいました。多分彼のいう「公平」は、彼が人間とは見做さ
ないような人々と同じ待遇と言う意味では決してなかったことでしょう。今
回、彼の行動を支持する多数の富裕層が海外に存在することも同時に明らか
になりました。そのようなあからさまな社会のゆがみとしての格差が生じて
いない日本の中で、会社の現場の在り方の素晴らしさを再評価してみたいと
思います。ご意見・ご感想お待ちしております。頂戴したご感想などへのお
返事の目標納期は5営業日!!

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その479:やっさもっさの着地点

 米国オレゴン州の田舎町。貧乏留学をして1年経った頃、行き慣れたショ
ッピング・モールのメイン通路のど真ん中のベンチに座って、二ヶ月ぶりぐ
らいのアイスクリームを食べていた。湾岸戦争の前年の米国は、街も人も今
よりももっと“普通”だった。ベンチの真正面には、半径50km圏内に一軒
しかない書店。メイン通路をざわざわと人々が通過する。左右どちらを見て
も、私は書店に入ろうとする人がほぼ100%当てられる。

「この人。この人。そして、あの人。ほら入った。あとは全部無理筋か」。
 テレパスでもないのに書店に入る人が分かる。米国の社会が大分分かって
来たなぁと悦に入る。書店に入る人は文字を苦労なく読める人。苦労なく読
んで何かの楽しみを得ることができる人。そういう一握りの人々は服装や目
配り、歩き方などからすぐに分かる。たまに判定困難なケースが現れるが、
同行者との会話の表現を聞くことができれば、確実に分かる。それぐらい知
的レベルは外見にも言動にも表れる。

「お待たせ。何やってんの?」と一緒に来た二人の同級生が私に近づいて来
る。書店来店客判定遊びの説明をすると、「えーっ。そんなの簡単じゃん」
と二人の女子は私の隣に座り、「この人、この人。あとは全部は違う」と戯
れ始めた。明確な格差は誰にでも分かる。
 
「エリートにまかせた結論はかならずまちがう。大衆がやっさもっさの末に
出した、だれひとり論理的に説明できないような結論こそ正しいという真理
…」。
 ジョンズ・ホプキンス大学院で歴史学と経済学の博士課程を修了した増田
悦佐氏が知的大衆社会についての持論を、『危機と金(ゴールド)』でもい
つものごとく展開している。今度は金本位制を巡る英仏の政治史についての
コメント。

「斯くあれかし」と言うエリートの判断は、思想や論理や思惑でガチガチに
固められ、現実を見誤って必ず間違う。日本以外の主要国はエリート達が愚
かな大衆を引っ張った上で迷走を重ねる。日本は海外並みのエリートなどど
こを見ても存在せず、新書や雑誌を読む人ぐらいならゴロゴロそこら中に存
在する。世界標準で見れば、何となく知的な多くの人々が、移ろいゆく現実
に合わせて騒ぎ出すうちに世界的に希な最適解に辿り着く。

「ええ?今時経営計画考えんですか。融資のためとは言え、大変ですね」。
 或る日クライアントの社長に私は言った。結局中小零細企業経営は、「お
客様ニーズの充足」、「社内人員の能力引上げと動機づけ」、「カネの流れ
の制御」、そして「現場改善」を追求し続けるぐらいしかない。計画通りに
など全然ならないVUCAの時代。より一層、毎日の鉄火場を制する知的な現場
力が、経営全体を左右するようになったと思えてならない。

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次号予告:
 第480話 『R63号の発明』 (1月25日発行) 
 被雇用者の労働時間上限規制が今年4月から中小企業にも適用されます。
既に規制が適用された大手企業では、枠が減った勤務時間の中でOJTが犠牲
になっているという調査結果があります。それについて一考してみます。

(完)