471 昔の夢

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経営コラム SOLID AS FAITH 第471号
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 ご愛読ありがとうございます。第471話をお届けします。

 9月に入りました。10月末日には周年記念特別号を発行しておりますが、
今年はなんと20周年です。切りの良い数字なので、創刊からの何かの振り返
りをしようかと考えてもみたのですが、もっと扱いたいテーマが見つかりま
した。まだ仮題ですが『小さくなっていく会社/消えて行く社員』です。

 章立てはできたので、あとは章ごとの文章を作成する段階となりました。
9月末までには全体のドラフトが完成するようにしたいと思っています。
「働き方改革」が世の中に広まり、残業規制や有休強制取得などが中小零細
企業でも重荷として感じられています。しかし、「働き方改革」がもたらす
大きな変化はそこではありません。
 
 労働時間を減らせば職場のスキルの習熟は遅れていきます。その環境の中
で、働き手は自分自身の価値を自己管理することが求められるようになるで
しょう。組織内の個々人のキャリア的価値を会社が面倒見てくれない時代に
なりつつあると見ることができます。
 
 その上、「働き方改革」の延長線上には最低賃金の引き上げが考えられて
います。人件費が高まれば、組織は雇用枠を狭めるのが普通です。その結果、
“コスパ”の悪い人材は、どこの組織にもいられなくなっていくでしょう。
それでも、組織の中に労働力が必要であるときには、効率化や機械化と並行
して、どうしても必要な人手を育てるか雇うかの判断を経営者はすることに
なります。そんな中小零細企業でも目先に迫った変化の潮流をざっと俯瞰す
るような内容ができたらと考えています。ご期待ください。
 
 今回の号は、『昔の夢』と題して、ビジネス誌の特集記事の中の大見出し
『ある程度成長を諦める』について、中小零細企業の現実を検証してみたも
のです。中小零細企業の経営においては、規模拡大よりも質の向上と経営の
継続が優先されているケースが多いように思われます。

 IPOを端っから目指すようなベンチャー企業は「中小零細企業」の範疇に
含めないのは当然とすると、遥か以前から規模拡大を目指す企業はほんの一
握りであったように思えます。経営においても「持続可能性」が話題になっ
ていますが、中小零細企業経営においては、事業規模拡大よりも事業の「持
続可能性」の方が重視されているのが多数派でしょう。その大見出しの違和
感について考えてみました。ご意見・ご感想お待ちしております。頂戴した
ご感想などへのお返事の目標納期は5営業日!!

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その471:昔の夢

 新宿のビルの地下のコンビニの前を通りかかったら、ラックに載せられた
数々の表紙の中から『凄い人材確保』という文字が目に飛び込んできた。凄
い人材が確保できるという意味ではなく、人材確保の凄い方法をまとめて紹
介する『日経ビジネス』の特集。

「現在、正社員が13人、アルバイトは17人。シングルマザーや障害者、要介
護の親を支える人、70代のシニアなど様々な人が顔をそろえる。介護や子育
てなどで労働時間が制限される人でも柔軟に働ける仕組みだからだ。これこ
そが佰食屋が人手不足知らずでいられる最大の理由と言える」。
 すき焼きや肉ずしなど「3つの基本メニュー」を100食限定で提供する佰食
屋の記事。午前11時にオープンしても100食を提供するのは概ね午後3時前に
終わる。翌日の仕込みなどをしても勤務時間は限られているが故に、働き手
がハローワークだけで集まり、採用広告を出さずに済んでいるという。

 客単価を変えずに毎日100食売るのだから、売上を伸ばそうとすれば、店
舗を増やすしかない。しかし、会社の中で起きていることを正確に把握する」
ために規模を大きくしない方針で、4店目で出店を止めるという。この記事
のタイトルは『ある程度成長を諦める』。「どんなに夢のような成長戦略を
描いたとしても、人がいなければ絵に描いた餅。ならば、成長よりも永続を
選ぶ-。これが佰食屋の考え方だ」と記事は結ぶ。

 或る日、自分のウェブサイトを捲って見ていて、『資料置き場』のコー
ナーにもっと置ける資料があることに気づいた。PCのフォルダをあちこち見
まわして、アップすべきファイルを選んでみたら、もともと1桁だった『資料
置き場』のファイル数は30を超えることになった。その一つが『「死すべき
技術としての経営」まとめ資料』。中には「10年後の2024年にすべての会社
は消滅する」との神田昌典氏の予言も書かれている。

 消滅するかどうかは別として、所謂大手企業は縮小する国内市場を見限っ
て海外に進出して実体が消え失せる。国内有名中堅企業はコスト高のコンプ
ライアンス対応などで疲弊して、おまけに時代についていくだけの戦略眼も
なくて倒れていく。残った中小零細企業も2、3割が後継者難で消えていく。
そんな中で残るのは、外部から存在意義を十分に認められて、ゴーイング・
コンサーンが結果的に実現した小規模事業者だけだろう。

 組織形態さえどうであっても構わない。NPOでも社団法人でも協同組合で
も構わない。畢竟、コスト高で法律の縛りが面倒な正社員は減っていく。そ
もそも「夢のような成長戦略」は、多くの組織において、「大人げない誇大
妄想」に遥か以前からなっている。

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■弊社サイト『資料置き場』 http://msi-group.org/msi-stockpile/
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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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【MSIグループからのPR】

弊社ウェブに掲載中の
中小零細企業の現場に即した
オリジナル社員研修の企画サービスの事例を紹介しています。

研修と言えば…
まずは会社の階層ごとの研修の種類があって、
新入社員にはマナーや会社で働くルール、
管理者に近づいてくるとリーダーシップ…
と定番の研修プログラムが用意されているような気がします。

弊社のサイトには、『研修柔軟企画』というページがあります。
 http://msi-group.org/msi-4employees/
オリジナルの研修を現場の課題に合わせて企画します。
値段が上がりがちな「講師料」をカットするために、
社員だけで完結する研修の台本と教材だけを提供することもあります。

世の中のメニュー制の研修サービスが余りに定番なので、
柔軟なオリジナル研修企画は想像しにくいと言われます。

そこで、柔軟な研修企画の事例を合計6本も
弊社サイトで紹介することと致しました。
その最終回第六弾は…

『パチンコ店個別研修企画物語 vol.6
「女性スタッフから人望がない副主任対策」』
 http://msi-group.org/msi-customized-training-plan-case-g/

モラハラ、セクハラなどが
本人も気づかないうちに問題となるなど、
男性新任管理者にとって女性スタッフの扱いが難しい…
と言うお話はよく伺います。

「女性スタッフから人望のある管理者に育てる」。
言うだけなら簡単ですが、実行は困難です。

しかし、世の中を見渡してみると、
多くの女性スタッフを束ねなくてはならない職場は
多数存在していることに気づきます。
そこでは、その管理者の育成が行なわれているはずです。
そのノウハウを自社でも研修化すれば、
問題は早々に解決するはずです。

弊社では、そんな身近な問題も
オリジナル研修企画で対応いたします。

是非、ご一読ください。
御社のヒトがらみの課題も、
解消はムリでも緩和ぐらいはできる可能性大です。

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【MSIグループの仕入完了報告(抜粋)】

■『定年まで待つな! …』 成毛眞 著
■『経済の不都合な話』 ルディー和子 著
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
 合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
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インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を利用して発行しています。
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次号予告:
 第472話 『若人の濾過』 (9月25日発行) 
 読解力が話題になっています。高偏差値大学を卒業したとされているのに、
幼いままの新入社員に対する企業の扱いの一例を見ることがあったので、コ
ラムにまとめてみました。

(完)