470 生涯学習

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経営コラム SOLID AS FAITH 第470号
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 ご愛読ありがとうございます。第470話をお届けします。

 前回お届けした第469話『ひゃっはぁな生活』は、発行前に知人数人に読
んで貰っていました。子供がいる人々は「自分の子供の将来を考えると頭が
痛い」と言った感想でしたし、経営者で「世の中がこんな奴ばっかりになっ
たら、ウチなんか採用なんて夢のまた夢だな」と嘆息していらっしゃる方も
いました。

 発行後も弊社代表の市川との会話の中で、「こんなことしかできないのな
ら、すぐに“ひゃっはぁな人”になってしまう」とか「近い将来、頭はモヒ
カンになって、『ひゃっはぁ!』とか叫んじゃう人になる」と仰る方が何人
もいらっしゃいました。皆様のご愛読に御礼申し上げます。
 
 つい最近、精神科医宮口幸治氏の書いた『ケーキの切れない非行少年た
ち』を読みました。医療少年院で務めた彼は、『ひゃっはぁな生活』で書い
た「刑務所への年間新規入所者約2万人の実に20%以上に相当する4400人が
IQ70未満ないしテスト不能な人たちである」と言う事実に、さらに驚くべき
事実を付け加えています。1950年代の一時期、「知的障害はIQ85未満」とさ
れていたのです。しかし、それでは知的障害者と判定される人々が全体の
16%にもなってしまうので、「IQ70未満を知的障害」とすることになったと
いうのです。IQ70から84の範囲は「境界知能」と呼ばれ、その人々は「知的
障害者と同じくしんどさを感じて…いるかもしれません」と著者は述べてい
ます。
 
 仕事をするのに、現在よりも高い知能が求められやすくなる未来は迫りつ
つあります。その際に、『ひゃっはぁな生活』で描かれた労働不適格者はじ
わじわと、しかし確実に、数を増やしていくことでしょう。書籍では「ケー
キを3等分することもできない」医療少年院収監者の話が登場します。中小零
細企業の経営において、そのような傾向の強い人材とどう向き合うのかを考
えることも、大きな問題になるのかもしれません。

 今回の号は、『生涯学習』と題して、中小零細企業の現場において、新た
なスキルを学び続ける姿勢について考えてみた内容です。弊社ではクライア
ント企業においてスキルの標準化のお手伝いを今でも多く手掛けていますが、
新たなスキルを習得することを殊更に忌避する社員は残念ながら散見されま
す。特にシリーズではありませんが、前号の『ひゃっはぁな生活』と合わせ
て読んでいただくと、より意義深いかもしれません。ご意見・ご感想お待ち
しております。頂戴したご感想などへのお返事の目標納期は5営業日!!

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その470:生涯学習

「げっ。他に作業者はいないはずなのにいい音がすると思って来たら、市川
さんか」。
 渋谷の店の深夜作業三日目。台の脇から覗き込んでいる20代前半の副主任
が言う。パチンコ店の深夜に行なわれる釘調整がまだ利益調整の主要な手段
だった時代。店内のパチンコ台の殆どを開いては釘を調整しなければならな
いが、店舗が大型店化してくると、昔ながらの釘師の流れをくむ“職人肌”
の幹部や外部業者では一晩に収まらない作業量になってくる。そこで、素人
でも或る程度のレベルまで釘調整ができるように育てる計画を提案した。
「バカげている」と評する幹部もいたが、背に腹は代えられない。まずは遊
技さえしたことのないド素人の私が渋谷の店舗で釘調整の練習を始めてみた。

 指導役の主任によると、正しい釘の打ち方は音で分かるらしいので、ハン
マーの持ち方を慎重に真似て、明け方まで釘を叩いて練習を重ねた。作業ペ
ースは全然遅いものの、音だけは二日目から「信じられない。正しい音がす
る」と褒められた。10日後、ド素人のアラフィフのオッサンでも、主要な釘
の調整がほぼできるようになった。そのコツを文章にし、撮影した動画から
抜き出した画像でマニュアルを作り上げた。

 MITのJ・ハートショーン助教授の研究では、様々な知的能力のうち18歳ぐ
らいをピークとするものは限られており、多くは30歳以上になっても成長を
続けるらしい。多くの仕事が、人工知能や各種の先端技術によって奪われて
しまうとの予測が頻繁にネットや週刊誌を賑わす昨今。まるで、仕事を突如
失うであろう人々を慰めるようなタイミングと内容の研究だ。数年かけてま
た新しい仕事を習得すればよい。本当だろうか。

 中小企業どころか、既存社員の数が10人に満たないような零細企業組織が
私の多くのクライアント。そんな小さな組織でも多くは職掌ががっちり分け
られていて、事務担当者が営業に行くこともなければ、営業担当者が生産を
手伝うことも殆どない。「マンパワーの効率運用を図るため、スキル・マッ
プを使って極力皆さんの多能化を進めましょう」と提案すると、経営者が
「そんなことができる訳がない」と言い出すことさえある。ギリギリ納得で
きた企業は、従来の社員を他所に「新卒社員を入れて、何でもできるように
するのなら良い」と不思議な理屈を持ち出して、数年後に多能化されてデキ
る新人を多数実現する。

 社内の仕事を一通り何でもできる新人。対して「人脈や経験は負けない」
と息巻いていた以前からの社員は次々と自ら退職していく。脳の出来がMIT
の研究通りでも、学びの力は活かされない。零細事業者の私は生活のために
釘調整でもセクシー系映像作品の脚本書きでもする。私より若いらしい退職
した社員達は多分余裕があるのだろう。

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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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【MSIグループからのPR】

弊社ウェブに掲載中の
中小零細企業の現場に即した
オリジナル社員研修の企画サービスの事例を紹介しています。

研修と言えば…
まずは会社の階層ごとの研修の種類があって、
新入社員にはマナーや会社で働くルール、
管理者に近づいてくるとリーダーシップ…
と定番の研修プログラムが用意されているような気がします。

弊社のサイトには、『研修柔軟企画』というページがあります。
 http://msi-group.org/msi-4employees/

オリジナルの研修を現場の課題に合わせて企画します。
値段が上がりがちな「講師料」をカットするために、
社員だけで完結する研修の台本と教材だけを提供することもあります。

世の中のメニュー制の研修サービスが余りに定番なので、
柔軟なオリジナル研修企画は想像しにくいと言われます。

そこで、柔軟な研修企画の事例を合計6本も
弊社サイトで紹介することと致しました。
その第五弾は…

『パチンコ店個別研修企画物語 vol.5
「情報収集できない副主任対策」』
 http://msi-group.org/msi-customized-training-plan-case-f/

情報収集と言うと、
「スマホでネットの情報を見ているから…」
と言う話を聞くことがあります。
多くの経営者がそうしているように、
実は仕事に役立つナマの情報はお客様を始めとして、
業界関係者などの人々の言葉や行動から
集められるケースが多いのです。

新任管理者はそのようなことも、教えなくては分かりません。
「現実的な情報収集をできるようになれ」と言うだけでは、
ほとんど意味を為さないことでしょう。

弊社では、そんな身近な経営課題も
オリジナル研修企画で対応いたします。

是非、ご一読ください。
御社のヒトがらみの課題も、
解消はムリでも緩和ぐらいはできる可能性大です。

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【MSIグループの仕入完了報告(抜粋)】

■『格差社会で金持ちこそが滅びる』 ルディー和子 著
■『お祈りメール来た、日本死ね …』 海老原嗣生 著
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
 合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
下のアドレスにご意見・ご感想を頂ければ幸いです。
 bizcom@msi-group.org
このメールマガジンは、
インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を利用して発行しています。
(http://www.mag2.com/ ) 

毎月10日・25日発行 盆暮れ年始、一切休まず足掛け20年。

マガジンID:0000019921 (ナント、たった5ケタ)
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 ソリアズのバックナンバーも各号の全文が読める弊社ブログ。
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次号予告:
 第471話 『昔の夢』 (9月10日発行) 
 企業が経営を続けるとき、売上規模の拡大を目指すことが多くあります。
中小零細企業経営における「事業規模の拡大」の位置づけを考えてみました。

(完)