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経営コラム SOLID AS FAITH 第467号
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ご愛読ありがとうございます。第467話をお届けします。
前号の『イェル・ケ・クク』はタイトルが突飛で、「どういう意味か」と
数回尋ねられました。清水ミチコの曲のタイトルで、九九が覚えられなくて
困っている子供とその母の会話をシャンソン風な曲調に似非フランス語の歌
詞を載せて描いた名曲です。簿記さえ、まるで九九のようにコモディティ化
したスキルになる将来のビジネス環境。「九九を言えるか」と問う曲タイト
ルは前号の趣旨にピッタリかと思って借用しました。弊社のブログへの転載
時には、出典の注釈を加えています。
7月に入り、そろそろ今年の周年記念特別号の企画を練ることとしました。
今年はなんと20周年です。当初、1年続けられたら“御の字”とまで思って
いたのに、現状、20年の継続はほぼ確実なところまで辿り着きました。20年
という節目に相応しいような20年間の振り返りの内容にしようかと思いつい
ていたのですが、あまりにも昨今の経営環境の変化が激しく、まとめて書い
てみたいことが明確に存在するので、そちらをテーマとしてみることにしま
した。もしかすると、21周年記念特別号の方が過去21年を振り返るものにな
るかもしれません。
今回の号は久々にマーケティング系の事柄を直球で扱ってみた内容です。
零細事業者が意識しなくてはならない「マーケット・イン」と「プロダクト
・アウト」の使い分け。この二つは、弊社代表の市川もクライアント企業さ
んの勉強会などの場で「相互に背反するものではない」と説明しています。
単に背反しないだけではなく、互いに循環するように結びついているように
感じられることがあったので、そのことを文章にまとめてみました。ご意見
・ご感想お待ちしております。頂戴したご感想などへのお返事の目標納期は
5営業日!!
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その467:メビウス環
個人事業主の集まりで「売れるコツ」について話して欲しいと、バカ売れ
に売れた経験もない私に依頼が来た。下打ち合わせで聞くと、予想通り皆
「自分のスキを仕事にする」ものと思い込み、破綻しかかっている。自分が
好きなことは続けやすいが、お客さんもそれが好きになるとは限らない。誰
も好きにならないのに、これが仕事と意気込んで掘り下げれば、カネのかか
る趣味を持っているのと変わらない。破綻しかかるのは当然だろう。
いつもの通り、マーケティング論の基本に立ち返って、「プロダクト・ア
ウト」と「マーケット・イン」の話をする。マーケティングの基本構造は、
自社の商品・サービスでお客のニーズを満たすこと。これらに要素の最適な
マッチング・パターンを模索すること。マッチングに当たって、自社の商品
・サービスを先に決め込んで、それで満たせるニーズを探すのが「プロダク
ト・アウト」。殆どの市場は飽和し、価値観はやたらに多様化した現在、
マッチするニーズを探し当てるのは容易ではない。結局、有無を言わせず買
わせるような営業力や、盲目的な購買を惹起するほどのブランド力がなけれ
ば、今時成立しない。
「相手のニーズが先にありきで、それに合わせて自社の商品・サービスを決
めたらいいのに。そんな『マーケット・イン』なら、バカ売れするかどうか
分からないけれども、目の前のニーズには必ず当て込めるから、営業力もブ
ランド力もなく確実に売れる」。
私が自信たっぷりに言うと、聞き手は不思議そうな顔をしてこう言った。
「けど。市川さんは今の仕事が好きですよね。メルマガも20年近く出し続け
て、サイトにも経営の話をあんなに書き込んで。クライアントの社長さんと
のお話も、伺っていると、とても楽しそうですよ。好きでなくて、こんなこ
とはできないでしょう。それを受け容れるお客さんが次々と見つかっている
んですよね。それはプロダクト・アウトですよね」。
20種類に及ぶ適性試験を受けてみても、私は「労働」そのものに適性がな
いと出る。今の仕事が全く好きになれないが、他の仕事がもっと好きになれ
るとも思えず、今以上に稼げるとも思えないので、仕方なく続けている。好
きも嫌いも関係なく、仕事なので眼前のお客さんのニーズを探り、言い当て、
処方箋を提示する。面倒なので余計なことは考えない。唯々ニーズを掘り込
む。すると、自分のニーズを自覚して、それが一定量満たされる結果に至る
お客さんがぽつぽつと現れる。この方々はロイヤルティが高くなりがちなの
で、私が提示する商品・サービスを比較的無条件に受け容れることもある。
マーケット・インの果てにプロダクト・アウトが姿を現す。商品・サービ
スはニーズに合わせて再チューニングするから、マーケット・インに立ち返
る。循環の発見は新鮮だ。
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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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【MSIグループからのPR】
前号から中小零細企業の現場に即した
オリジナル社員研修の企画サービスの事例を紹介しています。
研修と言えば…
まずは会社の階層ごとの研修の種類があって、
新入社員にはマナーや会社で働くルール、
管理者に近づいてくるとリーダーシップ…
と定番の研修プログラムが用意されているような気がします。
実際に、一般の研修会社に研修を依頼すると、
定番のメニューの中のコースを選ばされて、
あとは予算見合いで、値段が決まるような
決まりきった研修ばかりが提示されます。
弊社のサイトには、『研修柔軟企画』というページがあります。
http://msi-group.org/msi-4employees/
オリジナルの研修を現場の課題に合わせて企画します。
値段が上がりがちな「講師料」をカットするために、
社員だけで完結する研修の台本と教材だけを提供することもあります。
世の中のメニュー制の研修サービスが余りに定番なので、
柔軟なオリジナル研修企画は想像しにくいと言われます。
そこで、柔軟な研修企画の事例を合計6本も
弊社サイトで紹介することと致しました。
前号に続き第二弾は…
『パチンコ店個別研修企画物語 vol.2
「スタッフに厳しくない副主任対策」』
http://msi-group.org/msi-customized-training-plan-case-b/
部下の指導をきちんとできない社員につける薬…。
こういうことも研修で改善することができます。
是非、ご一読ください。
御社のヒトがらみの課題も、
解消はムリでも緩和ぐらいはできる可能性大です。
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【MSIグループの仕入完了報告(抜粋)】
■『アテンション―「注目」で人を動かす7つの新戦略』 ベン・パー 著
■『2040年全ビジネスモデル消滅』 牧野知弘 著
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
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bizcom@msi-group.org
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インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を利用して発行しています。
(http://www.mag2.com/ )
毎月10日・25日発行 盆暮れ年始、一切休まず足掛け20年。
マガジンID:0000019921 (ナント、たった5ケタ)
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ソリアズのバックナンバーも各号の全文が読める弊社ブログ。
http://tales.msi-group.org/?cat=2
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次号予告:
第468話 『差分情報』 (7月25日発行)
マーケティングの戦略を考える時、ターゲットの人物像をモデル化して設
定するのが鉄則です。その方法論の未来を考えてみました。
(完)