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経営コラム SOLID AS FAITH 第464号
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ご愛読ありがとうございます。第464話をお届けします。
「働き方改革」について、クライアント企業のオーナー経営者と話をするこ
とが増えました。基本的に人件費増大以外に企業にとって認識のしようがな
いと思えます。
韓国では、2017年から2018年にかけて16.4%も最低賃金が引き上げられ、
2018年から2019年には10.9%の引き上げが決まったと昨年話題になっていま
した。2年間に約30%も法定の最低賃金の引上げです。その結果、人件費負担
に耐えられない企業が、従業員の大量解雇に動き、大問題となりました。
「働き方改革」の影響は韓国の賃上げほど明確でも急峻でもありません。し
かし、対価が増える以上、人間の労働面における価値も上がらなければなら
ないことに変わりはありません。人間の労働の生産性も、ICTの先端技術の
採用などによる業務全体の生産性も、雇用を守りつつ引き上げをどんどん実
現するためには、働く人間の質の向上が欠かせません。弊社では「先進国の
中で日本は生産性が低いという議論」には必ずしも頷きませんが、生産性を
引き上げなくてはならないことは間違いないものと考えています。
では、誰が働く人間の質の向上の義務を負うのか。その答えの捉え方によ
って、弊社のクライアントの経営方針は大きく異なるものになるのだろうと
考えています。今回のコラムは、そんな生産性改善のアプローチも前提とし
つつ、企業の生き残りの展望について考えてみることにしました。人も企業
も生き残りが意識されなくてはならないように感じます。両者の生き残りを
考える内容なので『サバゲー・マニア』と題してみました。お楽しみ戴けた
ら幸いです。ご意見・ご感想お待ちしております。頂戴したご感想などへの
お返事の目標納期は5営業日!!
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「先進国の中で日本は生産性が低いという議論」についての疑問
http://msi-group.org/msi-productivity-upheavals/
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その464:サバゲー・マニア
「その。“残存者利益”でしたっけ、市川さんがこの前言ってた奴。ウチは、
それなりに設備投資もして生産効率は上がったし、若い社員はそれなりに育
成もしたから、今後の存続性も評価されているようですし。あとは、もっと
不景気になって、他社がどんどん潰れて、こっちにお鉢が早く回って来てく
れたら良いのに。あ。残業も規制が厳しくなるんだっけ。じゃあ、これ以上
仕事が来たら、新たな若手の採用と育成の方が問題ってことですか」。
小さな工場の上の会議室で社長と今後の経営の進め方について意見交換を
した。300万社のうちの100万社の存続が怪しいと、最新版の中小企業白書に
も書かれている。単に統計的に見て、全体のパイが変わらなければ、残った
200万社は受注量が5割増になる。2019年から間違いなく不景気になる。新年
早々から流れた日本電産ショックのニュースは不景気真只中の激しい競争の
ゴングだと私は思っている。生産性を上げて利益を残し、社員を育てて処理
能力を質・量共に維持できれば、残存者利益はほぼ確実だろう。
労働市場にだって残存者利益の構造が一応存在する。不景気になって潰れ
た会社からは人が溢れ出る。生産性改善をして生き残った会社からも人が溢
れ出る。新卒者も就職先の会社が減ればダブつく。自動運転技術も自動音声
認識技術もその他のAI技術もブロックチェーンもRPAさえも、どんどん人を
労働市場に溢れさせる。5年も待たないうちに、働き場所を求める人は大幅
増加して不思議ない。そんな私の話は社長を安堵させた。
「なんだ。そんなに人が余ってる状態になるなら、採用は大きな問題になら
ないな」。
橘玲氏が『もっと言ってはいけない』にも詳解しているOECDが行なった
「国際成人力調査」の結果は全世界的に目も当てられない状態になっている。
その調査の前から、新井紀子氏の書いた『AI vs. 教科書が読めない子ども
たち』では、読解力が日本人も甚だしく低いことが明らかになった。子供だ
けではない。読解力の低さは遥か以前から変わっていないが、読解力の低さ
が生活を脅かすようなことがなかったために、社会生活をする上で問題にな
ることがなかっただけだった。その状況は終わりつつある。
夜間に店舗の清掃作業を請け負う会社の専務から、清掃作業の効率化につ
いて話を聞く機会があった。ここにも作業用装置や薬剤技術の革新などがど
んどん押し寄せている。
「人の頭数が足りないのは色んな新たな技術を採用して以前よりは楽にはな
ったんですが、別の意味で厳しいですよ。機械や薬剤のトリセツをきちんと
理解して、現場に合わせて効率よく使いこなすには、かなり頭がよくないと
ダメなんで」と専務は苦笑していた。
私も愛想笑いをして、なかなか見えてこない雇用のミスマッチの解消を考
えた。
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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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2017年12月に弊社ウェブサイトは大更改を経て
現在のページ構成に原型が完成しました。
その際に、『資料置き場』にアップされたのは、
14個のコンテンツです。
その中には、多くの企業の方々にお読みいただいている
『人材育成のレポート』などが含まれていました。
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ズラッと並べてみました。
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ご活用ください。
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■『アメリカの戦争責任 …』 竹田恒泰 著
■『一切なりゆき 樹木希林のことば』 樹木希林 著
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
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次号予告:
第465話 『リュウグウノツカイ』 (6月10日発行)
最近聞くようになったVUCAと呼ばれる社会環境や経営環境についてちょ
っと考えてみました。
(完)