463 八畳間の仕事

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経営コラム SOLID AS FAITH 第463号
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 ご愛読ありがとうございます。第463話をお届けします。

 既に10日経って熱狂は去ってしまいつつありますが、新元号下最初の『経営
コラム SOLID AS FAITH』をお届けします。弊社代表の市川は改元の場を間近
で見るのが初めてです。昭和天皇の崩御の際には、米国の片田舎に留学してい
たため、ケーブルテレビのローカル・ニュースのほんの一部で、昭和天皇のご
葬儀の様子が報道されているのを見ただけでした。

 米国のローカル局のアナウンサーは日本人の氏名の発音に全く不慣れなので、
時の総理大臣竹下登の苗字を自分の知っている単語に分解して発音し、
“Take-Shit-A”(「クソ取りA」的なイメージの発音)と呼んでいるのがクラ
スメイトの間でも話題になり、「あれは本当に苗字なのか」と何度も尋ねられ
ました。インターネットのない時代でしたので、その発音を検証する術も普通
の米国人には皆無でしたので、スペルを普通に読めば必然の結果だったと思わ
れます。(大リーガーとなった松井秀喜の下の名前が一般人の間では当初
headache(「頭痛」の意)のように発音されたなどの事例に比べても、「クソ
取り」はかなり酷い事例ですが。)

 マーケティング計画は、ナマの情報をベースに具体論・現実論を詰めるとハ
ズレが減ります。その詰めが十分ではない時、弊社代表の市川は「どうもまだ
グリップ感が足りない」などとよく表現します。マクロ的な数字や構造はもち
ろん無視できませんが、中小零細企業において、事業の方針決めに重要なのは
目先の(市場とも呼べないぐらいの限られた)市場の構造です。今回の『八畳
間の仕事』は、そのグリップ感の高い考え方を好とできる中小零細企業経営者
の感性について書きまとめてみました。ご意見・ご感想お待ちしております。
頂戴したご感想などへのお返事の目標納期は5営業日!!

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その463:八畳間の仕事

 広い貸会議室をスカスカに使った面接会場のテーブルの社長の隣の席に座っ
て、履歴書に目を落としていたら、社長の質問はどんどん進んで行った。「や
りたい仕事」を尋ねられた学生が、尋ねられてもいない自分の体験談を少々織
り交ぜて、「社会に貢献する仕事」だと答えたのを聞いて、社長は手に持って
いたボールペンを胸ポケットにしまった。
 
 また「社会に貢献したい学生」が増えてきたように思える。尋ねてみても
「社会に貢献する仕事」の定義は明確ではない。「社会に貢献している人」の
ロールモデルが実在した訳でもないらしいのに、学生達の言葉にはその未知の
定義が存在するとの確信が窺われる。
 
 どんな仕事をしても納税すれば、社会には一定量貢献している。結果的に報
酬も支払われ、リピートも発生しているなら、お客は満足していることが多い。
お客が広大な社会の一構成部分であるのなら、その仕事は社会に貢献している
と見做せるだろう。
 
 今時の「意識高い系」の若手と軽い打ち合わせをしたら、SNSには「今後を
占う重要なミーティングに参加した」とアップされたとの話が、最近読んだ何
かの本に書かれていた。最早、承認に対する「欲求」どころか「渇望」にさえ
感じられる。組織のみならず社会全体からの承認を只管に求め止まない就活学
生。その滑稽さや未熟さを厭う中小零細企業経営者はたくさんいる。しかし、
大きな夢を語りたいのは、就活学生だけではない。

「介護される高齢者が増えて、介護する若手が減る。だから介護ビジネスが儲
かるというような一般論をいくら叫んだところで、東京と地方では感覚が全く
違うし、ほとんど意味がない。(中略)
 ビジネスというのは、もっとミクロの問題だ。その地域の、高齢者と介護士
の数のギャップが極端に大きいといった状況なら分からなくもないが、そうい
うわけでもなく、マクロの話を持ち出した途端にすべてがまやかしになる。優
秀な経営者やビジネスパーソンほど、決してマクロの話をビジネスに持ち込ま
ない。(中略)
 何かビジネスをするに当たって、マクロ現象から考えるような浅薄な事業計
画では、すでに誰かに先んじられているから手遅れだ。ビジネスを考えるなら、
身の回り2メートルくらいのミクロで考えるべきだろう」。

 面白くて二度読みした『未来年表 人口減少危機論のウソ』(高橋洋一著)
の一説。大きな仕事で社会全体に貢献するという学生。統計データをただ組み
合わせるだけの未来予測を披露するコンサルタント。テキストにある効果や現
象の説明に時間を割くカウンセラー。最近遭遇する一部の人々の話には、信憑
性以前にグリップ感が欠けている。

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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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【MSIグループからのPR】

リアル店舗の経営の苦境の話がよく聞こえてきます。

一部の商品カテゴリーを除いて
多くの商品がネット通販の扱い品目となっています。

ネット通販は…
陳列において物理的なスペースがありませんし、
営業時間も所謂24-7状態です。

提供する商品情報や関連情報も…
ウェブページにテキスト情報に加えて、
音声や画像・動画など何でもほぼ無制限に載せることができます。
リアル店舗に比べて伝えられない五感情報は、
匂いと味と肌触りだけです。

おまけに…
集客にも地理的な制限が一応ありません。

この地理的制限の結果、集客できる範囲が「商圏」です。

既存店の場合、吸引率分析などをするとすぐ分かりますが、
目と鼻の先のような場所でも、呼べないエリアのお客は呼べません。

単にネット通販を敵視するような商売のスタンスではなく、
自店もネットを活用し…
●地理的制限を緩和する
●来店頻度が少なくても成立するビジネスを構築する
●お客との関係性を深化させる
などの取り組みがなされるべきでしょう。

その大前提として、リアル店舗単体の実力で、
物理的にお客様を誘引できる範囲を知っておくことは非常に重要です。

弊社の基幹事業となっている社内勉強会企画運営支援サービス以外に、
最近増えている「展示会運営企画支援サービス」には
サービス内容の紹介ページがありましたが、
「商圏分析実践支援サービス」には
サービス内容の紹介ページが存在していないことに気づき、
慌てて新設いたしました。

商圏分析に関する基礎的ノウハウも詰め込んだ
充実の内容になっています。
是非、ご高覧下さい。
 http://msi-group.org/msi-retail-trade-area-analyses/

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【MSIグループの仕入完了報告(抜粋)】

■『枯れない男は「ひと言」で口説く』 田辺まりこ 著
■『「産業革命以前」の未来へ―…』 野口悠紀雄 著
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
 合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
下のアドレスにご意見・ご感想を頂ければ幸いです。
 bizcom@msi-group.org
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インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を利用して発行しています。
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次号予告:
 第464話 『サバゲー・マニア』 (5月25日発行) 
 以前以上に中小零細組織もそこで雇われる人も“生き残り”を意識する必要
が出てきたように思います。そんな構図を描写してみました。

(完)