458 生臭い効果

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経営コラム SOLID AS FAITH 第458号
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 ご愛読ありがとうございます。第458話をお届けします。

 東京では花粉の飛散が始まりました。インフルエンザ対策に吸気を湿らせ
るためにマスクを着けていましたが、今度は花粉対策でマスクを着ける日々
が続きます。お陰様でインフルエンザの方は過去30年以上罹患したことがな
く今日に至っています。その30年以上の間にワクチン接種を受けたのも、
「今年は大流行だよ」と年に数人以上に脅かされた時のみのことで、多分、
五年に一度も受けていません。「バカは風邪をひかない」と言いますが、
「バカ以上の何かであるためかインフルエンザにもかからない」で済んでい
るようです。

 PR欄では、ご好評の弊社大判寒中見舞いでお伝えした「生き残りやすい零
細会社の五条件」を紹介してみました。きちんと条件を満たそうとすると、
今までにはなかった組織的な取り組みを始める必要が、多くの企業で発生す
るのではないかと思います。ご高覧・ご一考をお勧めいたします。

 次回から久々のシリーズものをお届けします。2回シリーズなので、一ヶ
月で終わってしまいますが、最近ビジネス誌などでもよく目にする言葉であ
る「岩盤規制」とその緩和の前提として議論されることの多い技術革新につ
いて考えてみるシリーズです。モチーフはタクシー業界にしてみましたので
シリーズ・タイトルは『平成ライダーズ』にしました。

 そして、今回の号は、『生臭い効果』と題して、研究が進む行動経済学の
各種の発見について考えてみました。従来の経済学の「経済人仮説」の見直
しを迫る立場そのものにはとても共感できますが、書籍などでも言及されて
いる数多の「効果」の多くは、元々経験則で知っていたことなども多いよう
には思います。妥当な実験によって検証・立証されたという意義は大いに認
めますが、大仰に「…効果」としてカタカナ名前で紹介されると違和感が禁
じ得ません。そんな感覚を軽くまとめてみました。ご意見・ご感想お待ちし
ております。頂戴したご感想などへのお返事の目標納期は5営業日!!

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その458:生臭い効果

「へえぇ。アメリカの大学は入学時点で専攻が決まってなくても良いんです
か。市川さんは、その電電公社からNTTにかけての時期に行った二年間の研
修で大学の授業のような科目をびっちり受けて、今まで高卒で技術職をして
いたから、経営学や経済学が新しくてすごくも面白く感じたと言っていまし
たよね。じゃあ、経営のほうを勉強しようと思ったのは留学してからという
ことなんですね。経済学は却下ですか」。

 私が外部講師に登録した研修会社の新任プランナーが講師のプロフィール
のチェックついでに行なった面談の時間。今から30年も昔に24を過ぎてか
らいきなり私費で留学する人間はあまりいない。留学の経緯を細かく尋ねら
れた。

 ORをベースとする経営工学の基礎を「大学部」と言うその社内研修で最初
に習った。続いて習う経営学は経営工学の付録の位置づけで面白さを感じな
かった。それに比べて、経済学はミクロもマクロも楽しくて世の中を見る目
が授業ごとに変えられて行くのが分かった。そんな経済学は大学で根本から
習い直したら精彩を失った。経済人仮説がモデルとして現実から乖離し過ぎ
ているように思えて仕方がなくなったのが最大の理由。「あらゆる情報を集
め、最大のコスパの選択を常に合理的に行なう人間」は周囲に全然見当たら
ない。

 最近ビジネス書を読んでいると、ナンチャラ効果が頻出する。バーナム効
果、シャウト効果、オノマトペ効果、ピグマリオン効果、ラベリング効果、
ゴーレム効果、初頭効果、最新効果、重畳効果、レストルフ効果、ツァイガ
ルニック効果などなどキリがない。それで、これらをファイルにまとめてみ
たら60以上も集まった。非合理な実際の人間の行動のをどんどん研究し始め
た行動経済学の成果に、次々と変な命名が為されているようだ。

 何度叱っても塀に落書きするのを止めない小学生に、お金を払って落書き
を奨励することにする。少し経った後、「カネがなくなった」と支払いを止
めると、落書きの動機はカネをもらうことに変質してしまっていた小学生は、
「カネをくれないならやらない」と落書きを止めてしまう。『行動経済学ま
んが ヘンテコノミクス』に紹介された「アンダーマイニング効果」の説明
マンガの物語。

 カネによる動機づけは不満を抑える効果しかなく、その効果も早晩摩耗す
る。摩耗の後に、カネを減らせば、ゼロレベルから不満側に心情は落ち込ん
でしまう。アンダーマイニング効果を知らなくても、もっと汎用性があって
構造的な「ハーズバーグの二要因説」で事足りる。組織心理学とマーケティ
ングという対象者のニーズに合わせて経営を組み立てる二分野の面白さに比
べ、行動経済学はまだまだ私を魅了し得ていない。

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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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大好評の2019年版の大判寒中見舞い。
特に好評の…
「2020年~2025年 迫ってきた経営環境の大激変
 生き残りやすい零細会社の五条件」をご紹介!

その一、組織規模をむやみに拡大しない。
その二、ステイクホルダーのニーズに敏感である。
その三、既存の経営方法を客観的に評価して、修正変更できる。
その四、生産性改善にかなり意欲的である。
その五、組織構成員の動機付けや啓蒙が重視されている。

当たり前と言えば当たり前のことしか書いていないのですが、
やはり、やり切っていない企業の経営者様、
突き抜けてない企業の経営者様から、
「頭に残る…」、「胸に刺さる…」などの声をいただきました。

各々で具体的に何をガッツリ進めるかのご相談に乗ります。
ご関心を賜れましたら、メールでお気軽にご一報ください。
 bizcom@msi-group.org

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【MSIグループの仕入完了報告(抜粋)】

■『世界は四大文明でできている』 橋爪大三郎 著
■『男子の貞操…』 坂爪真吾 著
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
 合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
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次号予告:
 第459話 『凡庸の信頼性』 シリーズ『平成ライダーズ』(3月10日発行) 
 よく言われる岩盤規制と技術革新について、タクシー業界をモチーフに
少々考えてみるシリーズ『平成ライダーズ』を二回連続でお届けします。

(完)