456 カネの誘惑

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経営コラム SOLID AS FAITH 第456号
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 ご愛読ありがとうございます。第456話をお届けします。

 2020年にかけて起こるであろう経営環境の激変(端的に「(多くの企業に
とっての)悪化」と表現すべきかもしれませんが)をテーマにした新春の弊
社恒例大判寒中見舞は、どんどんお届け作業が進められており、総数250通
余のうち9割以上が宛先に到達いたしました。今月末までに全部のお届けが
完了の見込みです。松下幸之助が言ったという「ダム式経営」宛らですが、
2020年に向けて自社の経営の改善・革新を進めて余力を持つぐらいになって
いるべきなのだろうと、弊社では考えています。

 ネットのニュースを見ていると、「日本電産ショック」という言葉が目に
り入ました。調べてみると、1月17日、日本電産の永守重信会長兼CEOが2019
年3月期の業績予想の下方修正を発表し、特に中国での売上の急落を指して
「これまでの長い経営経験でも見たことがないほどの落ち込みだ」と述べた
とのことでした。寒中見舞には経営環境の激変要因を列記している部分があ
りますが、「中国経済の急激な失速」は含めてなかったなと反省致しました。
(既に数年前から十分影響が出てしまっていることと認識していたのが最大
の理由ですが、どうも、これからが本番という認識の方が多いと知りまし
た。)いずれにせよ、大きな波がかなり近くまで寄せてきているのは間違い
ないことと思っています。

 昨年末に販売が開始された弊社代表市川正人著・部奈壮一先生監修の電子
書籍『これから会社を継ぐ人のための実践ノート』は、お陰様で特段の広告
販促をしている訳でもないのに、ぽつぽつと売れ続けています。ご関心に心
より御礼申し上げます。PR欄では現在Kindle で発売中の市川の三冊の電子
書籍をまとめて紹介することと致しました。是非ご高覧ください。

 今回お届けする『カネの誘惑』は、利幅の良い事業分野の追求について考
えてみたものです。規模の大小を問わず、企業がリスクに相対しようとする
と、経営情報の高度活用が主たる手法の一つに浮上します。その情報活用を
極めていくと、その情報自体が商材となり、それで商売をした方が望ましく
思えてくる場面が発生します。儲かる商売と儲かりにくい商売のどちらを組
織は選ぶべきなのか。そんなことに考え至る経営論を書籍で読んだので、採
り上げてみました。ご意見・ご感想お待ちしております。頂戴したご感想な
どへのお返事の目標納期は5営業日!!

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その456:カネの誘惑

 学校の体育館が二つ分ぐらい入りそうなぐらいに広い工場の三階の奥の部
屋に工場見学を終えて移動すると、どう見ても二桁万円しそうな背広を着た
新社長はどっかりとソファに腰掛け、「まあ、設備はすごいんだけど、製造
業って言うのは本当に儲かりにくくて、地味で、面白みがないよね。いくら
作っても、利益がほんのちょっとしか出ない」と不満げに言った。事務機系
の有名企業の二代目社長は偏差値の高い有名大学を出て、外資系の大手証券
会社の海外の支店で働いていた。彼の回顧によれば「スリルがあってたくさ
ん儲かる商売」をしていたが、実家を継ぐことになって帰国した。
 
 見学してきた工場では汚れの少ない作業服をきちんと来た社員たちが黙々
と働いていた。新社長から見た彼らは「エキサイティングっぽくない」らし
い。業界ではよく知られた歴史ある製品群も新社長から見ると「一般の人が
知らないパッとしないビジネスの産物」に見えるようだ。
 
「顧客ベースをもった小売業が始める金融サービスは固定費が低く成功する
ようにできている、だが、問題がある。利益率が低く、場合によって、粗利
の1円、2円の違いで目の色を変えるスーパーなどの小売業をやっていると、
利益率も利益額も高い金融サービスを始めることで、小売業という商売がバ
カらしくなってくるのだ。「バカらしくなる」という言葉には語弊があるか
もしれない。もう少し実際に近い説明をすれば、本業が大事だと思っていて
も、無意識のうちに、利益性の高い金融サービスへの投資を優先してしま
う」。

 小売業の経営者が金融に手を染めると本業がバカらしくなるとルディー和
子氏の『経済の不都合な話』に書かれている。「古くは、千趣会やニッセン
といった通販企業、百貨店の丸井、そして最近では、ネット通販の楽天」と
事例には事欠かない。小売業より日々の変化が乏しい製造業など、金融業出
身者には退屈で眠くなるような商売なのかもしれない。

 新宿通りを歩いていると、全体に幌が掛かった改装中の大きなビルがある。
さらに、私が目指した映画館が9階に入っているビルもエスカレーターで登
っていくと、改装中と書かれた仕切りがそこかしこにあった。両方とも新宿
を拠点とする丸井のビル。『経済の不都合な話』で著者は、いつの決算情報
か分からないが丸井の金融サービス事業の営業利益は小売事業のそれの3倍
を超えていると指摘している。

 巨艦丸井のお客はどんな人々で何を望んでいるのだろう。3倍も儲かる商
売を差し置いても本業に大投資を行なって、原点回帰しようとしているよう
に見えるこの会社は、お客がリアル店舗での買い物の楽しみを求めていたこ
とが分かったのかもしれない。

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経営コンサルタントではないので、
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
 合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
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次号予告:
 第457話 『タイムアタック』 (2月10日発行) 
 ネット通販がいよいよ隆盛を極めてきました。リアル店舗の商売を考える
とき、従前の地域住民の財布の中身対するシェア計算が困難になって来てい
ます。リアル店舗が何を目指して商売するべきなのか考えてみました。

(完)