455 フラクタル的創世

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経営コラム SOLID AS FAITH 第455号
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 ご愛読ありがとうございます。第455話をお届けします。

 2019年の第一号ですが、本号があなたのメーラーに届く頃には、新年も10
日目になっていますので、所謂「アケオメ」には遅すぎる気が致します。本
コラムも創刊以来足掛け20年目に入り、盆暮れ正月休みなく発行を続けてお
りますので、今後とも変わらぬご愛読のほどお願い申し上げます。

 昨年後半から、「出る出る詐欺」ないしは「出す出す詐欺」のような状態
になっていた後継経営者の経営術をテーマにした電子書籍が昨年末とうとう
出版に漕ぎ着けました。『これから会社を継ぐ人のための実践ノート』とい
うタイトルです。Kindle にて1冊648円にて販売しています。弊社代表の市
川が、嘗てサラリーマン時代に企画運営していた後継者育成セミナーでファ
シリテーターを務めて下さった経験豊富な経営コンサルタント部奈壮一先生
の監修の下に執筆したものです。PR欄に告知しておりますので、是非ご一読
ください。
 
 ちなみに、「縁(えにし)に感謝」が部奈先生の基本理念ともいえる考え
方ですが、先生のメールの冒頭には紋切型挨拶の極致である「お世話になり
ます」が見当たらず、「合掌」と一言書かれています。弊社代表の市川も常
々「よくもこんな人間(=自分)に皆さんはお仕事を下さるものだ。本当に
奇特な心掛けで有難い。そのおかげでこれまで喰わせてもらってきている」
という自覚を重ねていますので、これを機に「合掌」をよく言えば追従して
使う(悪く言えばパクる)ことと致しました。この場を借りて報告いたしま
す。
 
 新年に合わせた訳でもないのですが、今回お届けするお話は「世界観創り」
についての内容です。『なぜあなたのECサイトは価格で勝負するのか?』な
どいくつかの本を読むとネット上の商売にはコンセプトの提示が重要とあり
ますが、そのネットに単なる販売機能だけなら完全に収奪されてしまいつつ
あるリアル店舗の事業運営においては、より一層突き詰められてブレのなく
なった「コンセプト」や「世界観」が必要であるように思えます。昨年から
展示会の準備プロジェクトを手掛けることが増えていますが、結果を出すブ
ース運営を行なおうとすると、展示会のブースでさえ「コンセプト」や「世
界観」が重要であることが分かります。
 
 文体は久々に弊社の市川と第三者の会話が登場しない濃密なスタイルにな
っています。小さな組織だからこそ「コンセプト」や「世界観」を徹底すべ
き重要性など、年初の今、一緒にじっくりとご一考賜れれば幸いです。ご意
見・ご感想お待ちしております。頂戴したご感想などへのお返事の目標納期
は5営業日!!

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その455:フラクタル的創世

 事前練習した良い姿勢をとる。スマホを出さない。最低限の伝達事項以外
スタッフ間で会話をしない。常に作業をする。私はテキスト・ファイルに書
き込んだ項目をカーソルでつかんでは移動させて時系列に並べ替えた。そし
て「ブース内は芝居の舞台。スタッフは役者。芝居に関係ないことを舞台で
することはない」と、展示会運営マニュアルの項目群の最後に書き加えた。
今度はもう一つのファイルを開いて内容を再確認した。
 
 こちらのファイルには、ブース前を通行する来場者をブース内に誘引する
ための声掛けマニュアル書かれている。通路上の“領海”の外側ギリギリか
ら来場者を個別にロックオンして観るとはなしに観察し続ける。そして、ブ
ース前面の何かに注目した瞬間を逃さず進行方向に対して45度からチラシ
を突き出して声を掛ける。明日は展示会まであと2ヵ月に迫ったクライアン
ト企業の当日の担当者全員を集めて、この声掛け作業のロープレを会社近く
の公園で行なう。展示会出展の目的から、打ち出すコンセプトを決めて、そ
れに合わせてブースの外観も衣装も陳列も考えた上に、それらをきちんと使
いこなすためのトークマニュアル。ロープレで“役者”を育てて、芝居は完
成する。こうした展示会出展準備を経て行なわれるブース運営を見て、或る
社長は「世界観がありますね」と言った。
 
 私が高校生ぐらいの頃のヒット・アニメを語るときに使われるようになっ
た「世界観」という言葉。以前読んだ本によると、作品中の世界の構造に対
して登場人物が行なっている解釈の結果を指している言葉だという。その世
界の価値観が既にあって、その中で登場人物がどのように感じ考えて行動し
ようとしているか。ということだろう。

 CIが流行った頃、企業は顧客に新たな価値を提示することで競合他社に対
して差別化ができると言われていた。スタバの有名な「サード・プレイス」
と言う設定によって、スタバは喫茶店ではないものになったので、スタバに
行くことを「喫茶店でコーヒーを飲みに行く」と呼称する人はほとんどいな
い。ヴィレ・ヴァンを電話帳分類に従って「本屋」と認識する人もほとんど
いない。新宿の私がよく行く映画館だと思われていたものは、ゲキシネと称
する芝居もサッカー中継もスクリーンで見せているので、最早映画館ではな
い。

「そんなことを言ってもコーヒーを出すのだから喫茶店じゃないか」などと
無粋なことを言いだす客はスタバにはいない。有無を言わさぬ鉄壁の世界観
を前に客は圧倒され、抗うことなくその世界観に自分も参加することを選ぶ
のだと思う。ブランディングという言葉が流行っているが、多分、ブランド
は世界観が明確でなくては訴求のしようがないだろう。CIやらブランディン
グだのをぼんやり考えていたら、ふと、展示会のブースも企業全体の世界観
のミニコピーなのだと当たり前のことに気が付いた。

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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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【MSIグループからのPR】

特徴のある関西弁の語り口で、
中小企業の経営の本質を見据えた指導をすることで
ファンが非常に多い経営コンサルタント部奈壮一先生。

弊社代表の市川はサラリーマン時代の終わり近くに、
勤務先の中小企業向けのビジネス誌の出版社の新規事業として、
後継経営者育成連続セミナーを開催することとなり、
今でいうアクティブ・ラーニングやグループ・コーチングの
手法を採り入れて、「教えないセミナー」のスタイルを確立しました。
その際にファシリテーターを引き受けて下さったのが部奈先生です。

後継者未定が多くの中小零細企業で問題になる昨今
弊社クライアント企業の出版社において
この後継経営者育成連続セミナーの数々のご指導内容と、
部奈先生ご自身のクライアント企業でのご指導内容を
後継経営者になる方々や、独立起業を目指す方々にまで
広く気軽に読んでいただく電子書籍での出版を企画しました。

ところが、生憎、部奈先生はご多忙で、
「わし、監修したるから、
 あ~、それ、市川さんが自分で書いたらええやろ」
とのことで、成り行き上、弊社代表の市川が執筆することになりました。

昨年の当コラム最終号が発行されたのちに、
Kindle で発売が無事開始されました。
題して
『これから会社を継ぐ人のための実践ノートKindle版』
(部奈壮一監修・市川正人著)。
 ES BOOKS より発行されています。
 https://amzn.to/2Tai1vo

「本著は実例からプロセスの折々に後継者の方々が感じた疑問や、
 感情の機微に適切な進め方が紹介されています。
後継者の方々のみならず現経営者の方々にも参考となるものです。
ここには後継のヒントが一杯詰まっています」
部奈先生から頂戴した監修のことばの一部を抜粋したものです。

中小零細企業の後継経営者の心得としてのみならず、
中小零細企業組織の運営に当たる多くの方々にも
参考としていただける内容をたくさん詰め込んだ一冊です。

是非、ご一読ください。

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【MSIグループの仕入完了報告(抜粋)】

■『マネーロンダリング入門』 橘玲 著
■『学校図書館はカラフルな学びの場』 松田ユリ子 著
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
 合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
下のアドレスにご意見・ご感想を頂ければ幸いです。
 bizcom@msi-group.org
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インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を利用して発行しています。
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次号予告:
 第456話 『カネの誘惑』 (1月25日発行) 
 最近何冊か連続して読んだルディー和子氏の著作に載っていた、小売業の
金融業や情報処理業への進出について考えてみました。

(完)