454 ダオイズム

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経営コラム SOLID AS FAITH 第454号
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 ご愛読ありがとうございます。第454話をお届けします。

 本年最後の当コラムの発行日になりました。毎年クリスマス当日に発行さ
れる年内最終号を読み終わると、あっという間に年越しです。来年も年明け
から少々経ったタイミングで、お世話になっている方々に恒例の大判寒中見
舞をお届けしようと思っております。当コラムでも伝えてきております“零
細企業が生き残るために今やるべきこと”をガッツリと一目でわかる図にま
とめて、寒中見舞に載せる予定です。御社の来年の経営方針検討の一助とな
れば幸甚です。

 年末に合わせた訳ではありませんが、偶然、今回お届けする号は零細組織
運用におけるちょっとした未来予測のような内容になりました。現場の働き
手が機械によって代替されることや、ICT系の技術を駆使した新たな営業販
売活動は、もう全く驚くところがないほどに有り触れてしまっている感があ
ります。作業管理面における高度なサポート・ツールも今さら珍しくはなく
なりました。しかし、組織の管理・運用を(ここ最近お定まりの人工知能で
もない)新規技術によって自動化してしまう話には、流石に少々驚きを覚え
ました。
 
 いよいよ人間の働き方が大きな音を立てて変化していく時代が到来したよ
うに思います。働き方が変われば、働くことに関する意味付けも働き手の間
で変わっていくでしょう。それは、新たな動機づけによる人材のマネジメン
トが組織に求められていることとほぼ同義であると弊社代表の市川は考えて
います。そんな諸々の考えの端緒となっている自律分散組織についてご一緒
にご一考ください。ご意見・ご感想お待ちしております。頂戴したご感想な
どへのお返事の目標納期は5営業日!!

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その454:ダオイズム

 20代半ばに大学で習って以来、マーケティングの訓えを反芻している。マ
ーケティングは人間の欲望に対峙する姿勢そのものだと私は思う。国内のマ
ーケティングを考えるには記号消費論が必要と知って追加的に学んだが、大
学で学んだ知識だけでほとんど事足りる。

「市川さんは、クライアント企業の勉強会のテーマが何でもマーケティング
を教えるんですね」と弟子が言う。企業の存続の主要要素が顧客のニーズ充
足にあるので、企業のどんな活動もマーケティングに含まれるとマッカーシ
ーが説いている。だから勉強会の参加者にも弟子にも、事業活動を考えねば
ならない時に必ずマーケティングの基礎を教える。

「ニーズってずっと普遍的なぐらいに続いていて、人間自体は商品にもサー
ビスにもすぐに飽きて行くから、結局、商品やサービスの提供側は次々と新
たなことを考えていかねばならない。それがちょっと引いて見たら、経営環
境の変化への適応ってことになるんですね。ああ。会社員だったらこんなこ
と自分で考えなくてよかったのに、独立したら、ずっと自分の人生の一部と
してこういうことを考えねばならないんですね」。
 まるで「こんなことなら独立しなければよかった」とばかりに件の弟子は
愚痴った。

 人工知能に加えて自動運転車にドローン、さらにRPAが人間の仕事を奪う
という議論はいつまで経っても止まない。ホリエモンが言ったと噂される
「自分の仕事がなくなると騒いでいる奴は、自分の仕事の質が低いことを自
ら白状しているようなもの」との言説は、多分本当だろう。自動運転車が普
及しても、執事も兼ねたような上質なお抱え運転手は、多くのタクシー運転
手と異なって淘汰の波が及ばないようにも思える。

 そんな中で、人間の仕事を最も多く奪いそうな技術分野を先日知った。自
律分散組織。会社の組織そのものがブロックチェーンの約束事の運用機能に
よって運営されるらしい。扱われるものがデータの形になっていれば定型的
処理は完全に実行されるという。組織運用という部分が組織の中で自動的に
為される時、そこにいる人は何をするのだろうか。

「会社の組織は経営環境の変化に適応していかなければ淘汰されてしまうか
ら、PDCAでも何でも回しながら、大袈裟に言うと破壊と創造を常に繰り返
さなきゃならないじゃん。けど、そうじゃないと困る人だらけになるかもよ。
決まった手続きの実行を管理する部分は全部ブロックチェーンが代行してく
れる組織が可能だという話だから。それなりに収入を得るという前提で人間
がやることは、その組織のビジネス環境の理解とその中での自社のビジネス
モデルの修正や変更ぐらいしか残ってないかもしれないよね」。
 草葉の陰からその様子を笑ってみていられそうに思えて、私はお気楽に放
言した。

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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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【MSIグループからのPR】

『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』が売れ続けています。
まずは第444話『知的満足』にも紹介した以下の問題をご覧ください。

「次の文を読みなさい。
『Alexは男性にも女性にも使われる名前で、
 女性の名Alexandraの愛称であるが、
 男性の名Alexanderの愛称でもある。』
 この文脈において、以下の文中の空欄にあてはまる
 最も適当なものを選択肢のうちから1つ選びなさい。
『Alexandraの愛称は(  )である。』
 (1)Alex (2)Alexander (3)男性 (4)女性」

『AI vs. 教科書が読めない子供たち』で紹介された問題です。
 全国の中学生235名の正答率は38%で、
 4の誤答の方を選んだ生徒が39%で、正解率よりも高いのです。
 全国の高校生432名でも正答率はたった68%で、
 4誤答を選んだ生徒が26%も存在しています。

読解力の不足や欠落が話題になり、
二匹目、三匹目の泥鰌を狙った書籍がたくさん出版されています。

弊社では2007年出版の内田樹著の『下流志向 …』で、
読解力欠落の問題を構造的に解釈して、
「分からないことをなかったことにする能力」としていますが、
その能力を持つ社員・スタッフに対して、
症状の緩和・解消を図る数々の対策を企画してまいりました。

読解力は…
単に書籍を読まない人や、
単に文字の意味が読み取れない人の話ではなく、
音声で聞いた話の意味も分からない人や
会議の発言や流れの中から背景や含意を組みとれない人も
全部含まれています。

読解力を使う対象は「文字」ではなく
「文脈(=コンテクスト)」なのです。

御社の社員やスタッフの読解力を向上させると
組織運用が非常に効率的になります。
当然、利益も格段に創出しやすくなります。

弊社の「オーダーメイド読解力向上プログラム」に
ご関心を賜りましたら、ご一報ください。
 bizcom@msi-group.org

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【MSIグループの仕入完了報告(抜粋)】

■『他人をバカにしたがる男たち』 河合薫 著
■『9時を過ぎたらタクシーで帰ろう。』 中山マコト 著
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
 合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
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次号予告:
 第455話 『フラクタル的創世』 (1月10日発行) 
 クライアント企業の展示会出展準備をお手伝いする中で、世界観について
ちょっとだけ考えてみました。

(完)