441 報恩の形

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経営コラム SOLID AS FAITH 第441号
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 ご愛読ありがとうございます。第441話をお届けします。

 大分時間がかかりましたが、とうとう就活についての電子書籍の第二弾が発
売になりました。タイトルは、『戦略的内定の取り方2:堀場一家 就活を徹
底検討す』です。第一弾よりも内容は長くなりましたが、今回この作品でシ
リーズの存在を初めて知った方にも、二冊セットでお読みいただくために、二
冊同価格としてKindleで販売中です。

 新卒学生の採用状況はバブル期に迫るぐらいの空前の売り手市場との噂を聞
きます。少子化が進んだせいで学生が減ったからと理由を説明するコンサルタ
ントもいるようですが、大学の現場を見ると、比較的早い段階で就活を放棄し
てしまう学生が、少子化の影響を上回る勢いで増えているように見えることも
あります。働くことの魅力を企業側がきちんと提示することも重要ですし、企
業の現場から色々な面で大きく乖離した“夢見がち”な就職イメージを学生側
が持たないようにすることも大事であるものと思います。
 
 就活中の学生、就活予定の学生、就活学生の保護者、新卒採用予定の中小零
細企業経営者、そして、就活学生の指導に当たる学校関係者の方々など、多く
の人に読んでいただきたいと思っています。詳細はPR欄をご覧ください。
 
 今回の号は『報恩の形』と題して、零細事業の継続について考えてみたもの
です。後継者が見つからず、M&A市場に売りに出ている中小零細企業が増えて
いると聞きます。また、AI関係の展示会などに行くと、製造業の現場などの職
人技をAIに引き継がせる仕組みなどもよく紹介されています。事業の差別化の
源泉になることからも、暗黙知の部分が大きい作業がどうしても中小零細企業
の現場には増えやすく、その存続方法はどうしても限られてしまうように思え
てなりません。
 
 弊社事業もそうですが、個人事業や零細事業の存続の可能性を現実感たっぷ
りに考えてみた内容です。ご意見・ご感想お待ちしております。頂戴したご感
想などへのお返事の目標納期は5営業日!!

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その441:報恩の形

 二十代前半にたった数年の横浜での結婚生活を、田舎では後ろ指を指される
こともあった離婚に終わらせてから、母は半世紀以上婦人服仕立をしている。
私もその収入で育てて貰った。その北海道の小さな地方都市は、以前は鰊漁と
石炭採掘と木材貿易で繁栄したが、それらは二歳の私が母に連れられて移り住
んだ頃には凋落していた。街には多少の資産を蓄えた人々も残っていて、そん
な婦人達が既製服では飽き足らずに母のお客になった。
 
 七十を過ぎて量は減ったが常連のお客さんが生地を持ち込み、服のデザイン
を相談しに来る。今は着ることがなくなった和服をたおして洋服を作ることも
多い。人口が2万を切った街には他に母のような融通の利く洋裁師は居ない。
いつか遠くない日に母が仕事を辞めれば、このお客さんたちは服の仕立を頼む
ことがなくなる可能性が高い。

「ずっと一人でやってきたし、やり方を説明できるものじゃない」と以前私が
弟子をとるアイディアを勧めたら、全く考えられないという風に答えた。母の
言葉の中には、私が子供の頃から「大事なお客さん」や「有難いお客さん」と
言う言葉がよく混じっている。母は「仕事に教えられ、仕事に育てられる」と
も言う。自営業者になって20年近く。母のそうした言葉に私は共感できる。
仕事のスキルは新たな仕事への対応によって磨かれる。

「現段階での一般的な定年退職って65ですよね。だとすると、私もあと10年な
んで、長く付き合っているお客さんの会社の形がこんな風になるまではお手伝
いできるだろうと、想像が或る程度できるようにはなってきましたよ」。 
 或る日、私はクライアントの社長に話した。有難いことに社長は「え。それ
って、あと、10回ほど決算してしまったら終わりってことですよね。考えてみ
なかった。ちょっと困りますよ」と頭を掻いて答えた。その顔を見ていて、何
かが心の中で引っかかった。

 対価を貰ってサービスをする。それは商取引として当たり前のこと。では、
自分が教えられ、育てられた「仕事」をお客さんがくれたことにはどのように
報いるのか。お客の商売には「ゴーイング・コンサーン」を勧めた以上、利益
創出の経営継続が前提。一方で零細個人事業主として自分の仕事は、結果的に
暗黙知をたくさん貼り合わせて差別化を重ね、第三者が簡単にまねることも学
ぶこともできなくなってしまっている。

 大好きなテレビ番組も終われば、いつか、それがあった日常さえ忘れ去られ、
快い記憶の断片へと変貌する。楽しんだテレビ番組や通い詰めた書店などを色
々思い出せば、そんな結末が待っていると思えてくる。けれども「だから、大
丈夫ですよ」と、クライアントに言うのはまだ躊躇われ、何をどうすれば良い
か、つい考えてしまう。

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【目次】
●雇用形態ミニ講座 クミ、噂のオッサンに邂逅す
●中小企業就活ミニ講座1 美香、オヤカクに動転す
●中小企業就活ミニ講座2 堀場一家、決戦の水曜日を迎える
●Uターン新卒就職ミニ講座1 佳子、地方の就職事情を知る
●Uターン新卒就職ミニ講座2 美香、日本の将来を垣間見る
●中小企業就活ミニ講座3 堀場親子、就職を考える
●エピローグ

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【MSIグループの仕入完了報告(抜粋)】

■『職場の問題地図』 沢渡あまね 著
■『スマートマシン 機械が考える時代』 林雅之 著
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
 合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
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次号予告:
 第442話 『自尊過多』 (6月25日発行) 
「社員に自信をつけさせてやりたい」という経営者がいます。褒めておだてて
自信をつけさせることの功罪について考えてみました。

(完)