439 情報マーケティング

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経営コラム SOLID AS FAITH 第439号
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 ご愛読ありがとうございます。第439話をお届けします。

 春を過ぎて初夏の気配が出てきました。GW前に映画のサイトで上映中の作品
について流し読んでいたら、『私は絶対許さない』、『女は二度決断する』、
『ミスミソウ』、『自由を手にするその日まで』と、女性が復讐をする作品群
が多数見つかりました。映画全体のテーマがそうである作品群だけでもこれほ
ど見つかるのですから、主役ではない登場人物の復讐劇が物語の一部に織り交
ぜられた作品はもっとあることでしょう。

 最近の社会的なルサンチマンが蓄積に蓄積を重ねた結果の復讐なのか、以前
から虐げられた弱い者のルサンチマンは蓄積していたものの、何かの理由で昨
今復讐が実践されやすくなったということなのか、映画のストーリーを見てい
ても簡単には判断できそうにありません。もしかすると、以前は簡単にできた
復讐劇が、最近はすぐに露見してやりにくくなったがために、映画でルサンチ
マンの解消を図り、溜飲を下げなくては収まらなくなっただけなのかもしれま
せん。

 諸外国に比べたら、まだまだ大したことのない格差の広がりでも、日本では
消費が飽和してしまって、幸福感や満足感が得にくいが故に、格差が殊更に話
題となっているのだと弊社代表の市川は考えています。社員の動機づけはどう
あるべきなのか。AIによる離職率抑制策までバンバン展示会で紹介される昨今、
より広い視野で生活上の満足感を理解する必要が出てきているように思えます。
 
 今号は比較的新しい弊社のクライアント企業で図書館司書の方々が用いるレ
ファレンス用事典を出版する会社の仕事の関係で、図書館の運営指針を学ぶこ
とになったので、その内容について考えてみました。30年近く前に私が米国の
大学で叩き込まれたマッカーシーによるマーケティングの原理は、今なお全く
色褪せていませんが、それとほとんど同じ内容が図書館運営方針の中にも息づ
いていることを発見した驚きをまとめたものです。ご意見・ご感想お待ちして
おります。頂戴したご感想などへのお返事の目標納期は5営業日!!

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その439:情報マーケティング

 図書館司書用の事典を出版するクライアントができてから、市場リサーチ作
業も一部代行している。司書の人々の話を聞くと、不思議なことに、彼らは図
書館運営上の多種多様な問題を詳細に認識しているが、ほとんどの場合、その
有効な解決手段を施すことができないでいるらしい。人手不足や知識不足、資
金不足、公共事業故の制約など、彼らは各種の理由を挙げて、天から降ってく
る不幸を嘆くような説明をする。

 或る社長が「経営課題だけは売るほどある」と言っていた。多分、経営とい
う行為そのものが課題解決の連続作業と捉えるべきだろう。ヒト・モノ・カネ
・ギジュツ・ジョウホウの5つの経営要素が足りなくて「5ナイ」と言われる状
況も全然珍しくない。主に業界単位で各種の事業上の縛りがあるのも、全然珍
しくない。それでも、中小零細企業は、獲得した僅かな資源を再配分して、経
営課題を順次解消するなり緩和するなりし続けている。

“Books are for use.”“Every person his or her book.”“Every books
its reader.”“Save the time of the reader.”“A library is a growing
organism.”誰でも分かるようにと、わざと拙い表現を部分的に採用したとい
う図書館学の五法則は、図書館学の祖、インドのランガナタン博士がまとめた
もの。図書館運営の原点と言っていいらしい。

 本、そしてその中の知識の活用にこそ、図書館の存在意義を求めること。す
べての人とすべての本の各々の適切な相手を見出すこと。図書館利用者の利便
を追求すること。そして、図書館の活動を動的に拡大していくこと。「ゴーイ
ング・コンサーン」まで含めたマーケティングの神髄が端的に表現されている
1960年代の博士の言葉。ネットなど影も形もなかった時代の言葉なのに、書籍
販売一本の初期のアマゾンの経営ポリシーと見紛う。

 子供や若者の本離れの抑制。一方では増えるばかりの老人達の生涯学習の実
現。図書館に求められる役割は色々と複雑になって、「以前とは全然違う」と
或る館長も言っていた。大学図書館では、教授達の研究資料の用意から、
「オープンアクセス」と言われる研究成果の開示の活動まで、図書館の機能と
して求められていると言う。中小零細企業でも、経営環境の変化は加速度をつ
けて速まっている。昨日当たり前だったことを、今日は疑わねばならないこと
もある。以前と違うのは図書館の専売特許ではない。

「貴重な書籍を保管しておく書庫」を「無学な集落の人々でさえ活用しうる図
書館」に変えることに、ランガナタン博士は生涯尽力したと聞く。社会の価値
観に抗するのは並大抵ではない。その彼も想像だにし得なかった環境激変。
「成長し続ける有機体」と彼が見立てた図書館では、他の組織同様に、運営の
原理原則への回帰が一部で叫ばれ始めている。

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次号予告:
 第440話 『千年紀の足音』 (5月25日発行) 
 所謂スピ系らしきセミナーに参加してみて考えたことをまとめてみました。
ご期待ください。

(完)