434 凡事への姿勢

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経営コラム SOLID AS FAITH 第434号
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 ご愛読ありがとうございます。第434話をお届けします。

 行きつけの歯医者から、「加齢のせいではありませんよ」と言われています
が、弊社代表の市川が、普通に食べ物を食べていて、バキッと歯を欠けさせま
した。1本の歯の3分の1ぐらいが取れて、遥か昔に治療した際に入れてあった
金属の欠片まで、かなり大きいのが取れました。20代の頃にも、1本ガボッと
(なんとポテトチップを食べていて)折れて取れた時がありましたが、治療を
どのようにしたのか全く記憶に残っていませんでした。毎週通ってじわじわと
治療にあたっています。

 仮に65歳まで働くとすると、市川の職業寿命は残すところ10年になりまし
た。長年お付き合いしていただいているクライアント企業のどの段階までどの
ように貢献できるのかを逆算できるような残り時間となってきたように考えら
れます。前倒しされたというシンギュラリティの到達の頃まで、中小零細企業
がどのように経営体制を固めていくべきか、歯も欠けたりする中で、これから
考えて参りたいと思います。

 前号の『痛む脛』は、名指しこそ避けているものの、珍しくリアルな実企業
の過去を暴いた内容となっていて、お会いする機会のあった何人かの読者の
方々から、「あれ、あの会社のことだよね」と、お尋ねいただきました。世の
中に出回っている企業の風評について、その表層さには呆れさせられることが
よくあります。新卒就活生の大企業信仰は大分薄れたとは聞きますが、このよ
うな事柄も含めた公平な企業研究・企業評価をすべきであろうと思います。

 PR欄では、弊社の大好評営業ノウハウVASSの紹介をしています。図解などを
入れることがなかった以前の弊社ウェブページを大更改し、たくさんの図で
VASSを説明するページが実現しています。「具体的にどんな感じのものなのか」
の問いを多々いただいていましたが、漸くそれらのご質問に応じることができ
る内容になったのではないかと思います。PR欄のリンクから是非VASS紹介ペー
ジをお訪ねになってみてください。

 今回お届けする第434話は、デキる社員が出来上がる構造や背景について考
えてみたものです。「ウチの社員は…」と言う声はよく聞きますし、特に中途
採用などの場面では「“デキる社員”待望論」はよく耳にします。しかし、そ
の割には、デキる社員の定義をきちんと検証した話は聞くことがありません。
一緒にご一考賜れましたら幸いです。本文に対するご意見・ご感想をお待ちし
ております。頂戴したご感想などへのお返事の目標納期は5営業日!!

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その434:凡事への姿勢

「若手の新入社員をデキる社員に育てる話が第二特集。取り敢えず、10ページ
ぐらい埋めて。よろしく」と、中小零細企業経営者が読むビジネス誌の編集部
に勤め始めて半年の頃、辣腕編集長からいきなり振られた。「切り口も任すわ。
来週の企画会議に発表できるように章立て決めておいて」と具体的な指示もな
いので、経費で落ちる限界まで、『デキる社員は●●する』のようなタイトル
の書籍を買い込んで、その主張を調べ上げた。

 デキる社員は数々のことができる。デキる社員はさっさと仕事を切り上げ、
資格の勉強に励む。デキる社員はさっさと仕事を切り上げ、社内外の人と飲み
ニケーションに勤しむ。デキる社員は本屋によく行き広い分野の本を読む。デ
キる社員は今日の仕事をきちんと振り返る。デキる社員は明日以降の仕事に向
けて入念な仕込みをする。

 並べた書籍群のタイトルを見渡して、これらはデキる社員になった後にでき
る色々なことの一端を著者の好みで取り上げていることに気付いた。その根幹
には、仕事が速く余裕時間を作れることがある。できた時間の使い道が、資格
の勉強や飲みニケーションやその日の反省や明日への仕込みなのだろう。仕事
を速められる、ホウレンソウのありかたやスケジュール管理、ルーチン仕事の
改善などのテクニックを幾つか書籍群から抜き出して、その結果としてのデキ
る社員の自分への時間の再投資事例をまとめて企画は成立した。

 最初に与えられた仕事の基本的な工夫で仕事を速める。速めると余裕時間が
僅かに生まれる。それをさらに自分の能力やスキルの向上に投資する。すると、
更に仕事が速まる。この循環を維持できれば、デキる社員は早晩頭角を現す。
このような循環を維持できる人間とできない人間の相違点が、記事では触れら
れていない問題として私の心に残った。

「考えてみれば、これらの行動を、必要な資質として要素分解するならば、
『素直さ、正直さ、謙虚さ、勇気、向上心、探究心、柔軟性、順応性、思いや
り、貢献意欲』などとなり、仕事をしていくうえで普遍的に重要なものばかり
だ。さらに言うならば、これらはすべて根源的欲求を満たす行動であるとも言
える。誰しも、仕事を通して成長したいと思っているし、人の役に立ちたいと
思っている。環境適応能力などは生物として備わっている本能である。これら
の行動が発揮されるのはごく自然なことなのだ」。

『ハイパフォーマー彼らの法則』と言う本の中で、人事コンサルタント相原孝
夫氏が説明するデキる仕事人の条件は、身も蓋もない。私の知り合いの社長に
尋ねれば、世の中は、相原氏の言う「本能」にも従わず自然なこともできない
人間だらけだと、すぐに言い募ることだろう。またしても、凡事徹底の重大さ
を痛感させられる。

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次号予告:
 第435話 『愛憎の設計』 (3月10日発行) 
 新卒向けの求人広告で時々見かける「アットホームな雰囲気の職場」につい
て考えてみました。

(完)