429 言い訳の紙片

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経営コラム SOLID AS FAITH 第429号
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 ご愛読ありがとうございます。第429話をお届けします。

 今年もあと1ヵ月を切りました。寒い日が続きますが、如何お過ごしでしょ
うか。以前から予告していた弊社サイトの大更改ですが、とうとう作業が完了
し、無事アップされています。以前の形に弊社サイトがなったのは既に10年近
く前のことです。それ以前は、(懐かしい響きですが)ネットスケープ・ナビ
ゲーターのホームページ作成ソフトで作っていました。それをスタイルシート
導入による先日までのサイトに大更改したのが、約10年前です。

 今回のサイトはCMSでメンテナンスが圧倒的に楽になったことが弊社側のメ
リットですが、閲覧戴く方々にも、多種多様で且つ膨大なコンテンツが追加さ
れ、さらに検索機能も装備され、有用且つ使いやすいものになったのではない
かと思います。PR欄に紹介文章を書きましたので、ご一読ください。
 
 今号は『言い訳の紙片』と題して管理職の持つべき考え方について、昔、短
期間、弊社代表の市川の上司だった人物のエピソードをネタに描写してみまし
た。中小零細企業では管理者や幹部さえ事実上存在しない小さな組織が散見さ
れます。そのような組織では、すべての社員に一律に幹部や管理者の資質が求
められてしまいます。本文中にある考え方は必ずしも管理者や幹部だけに求め
られている訳ではないことに着目して戴きたいと思います。本文に対するご意
見・ご感想をお待ちしております。頂戴したご感想などへのお返事の目標納期
は5営業日!!

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その429:言い訳の紙片

 空港に向かう電車が人身事故で遅れた。空港への移動にいつも15分以上の余
裕を持たせているが、それでも吸収できないぐらいに電車はのろのろと他の電
車との間隔を調整しながら進む。空港の地下にあるJRの駅に到着したら、改札
脇で駅員が遅延証明の紙切れを「申し訳ありませんでした」と言う訳でもなく、
無造作に「はい。はい」と配っていた。

 よく考えている時間もない。流れに従って私も1枚受け取って、エスカレー
タをガシガシと駆け昇る。手荷物検査場に辿り着き印刷されたバーコードをか
ざすことができたのは、離陸時間14分前。1分の遅刻はお目こぼし対象となっ
ていたようだった。息を静めながら遅延証明をおずおずと見せると、チェック
インに問題はないので、遅延証明は必要ないと係員は笑顔で応えた。捨てるゴ
ミ箱も付近になく、ゲートに急ぎながら、手の中の紙切れの文字に視線を落と
すと、僅か2ヶ月間私の上司だった人物を久しぶりに思い出した。

 私が中小企業向けのビジネス誌の出版社の編集部に務めていた1年間の間に、
彼は副編集長として入社してすぐに辞めて行った。本社から離れた東京事務所
の編集部のトップの仕事。ビジネス情報を、よく言えば広く、悪く言えば雑多
に集めた或る比較的有名なビジネス誌の副編集長をしていた経歴が評価された
のだと私は聞いていた。

「おい。市川。どう思う。あの“本”の方は「売ります・買います」みたいな
情報から、会社パンフみたいな上っ面の企業情報を面白おかしく紹介するネタ
とかばっかりだろ。ウチは零細企業の社長さんの“孤独・不安・猜疑心”の掘
り下げばっかだから、きついんじゃないか。その色合いが切り替えられなきゃ
校閲どころか校正だって満足にできないぞ」。
 私が入社した数ヶ月前に編集仕事のいろはを教えてくれた先輩が私に囁く。
どうなんでしょうかねと、心中に湧く同意を曖昧にしたままに私は答えた。

 入社後1ヶ月経たない頃、彼は「電車が遅れた」と1時間以上遅れて出社し
た。携帯もあまり見ない時代、連絡がないのは当然だが、「いやあ大変だった」
と席に着いた彼は、「あ。これは誰に出して、どんな処理にすればいいのかな」
と遅延証明を出した。先輩は、「仕事さえきちんと終わればいいんで。そんな
紙、誰も貰わないし持ってこないです。捨てていいと思いますよ」と応じた。
1ヶ月ほどして彼は出社しなくなり、そのまま退職した。

「俺は結構早くピンと来たぞ。遅延証明出すようじゃ、終わってるって。これ
が足りない」。
 彼の退職の報を聞き、先輩はニヤニヤしながら私に言った。その手には中小
企業幹部の重要な資質である「自責」について私が書いて彼に校正を頼んだ記
事原稿が摘まれていた。 
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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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【MSIグループからのPR】

とうとう二年越しで作業が進められていた弊社サイトの大更改が完了!
 http://msi-group.org/

「どこか間違ったところをクリックしてしまったのかと思った。
 突然変わったので驚いた」
「読んでも読んでもきりがない。全体で物凄い文章量だ」
「用語集には笑った」
「ネガティブ・テスティモニアルは、ちょっとヤバイ」
などなど既に大更改にお気づきになった方から
数々のご意見・ご感想を頂戴しています。

今までのコンテンツだけでも膨大な文章量でしたが、
今回の大更改にあたって…

■中小零細企業のよくある悩みの14分類を追加
■弊社でよく用いる用語集(約100語)を追加
■弊社でよく提供するレポート類を「資料置き場」で14編大公開
■今まで図解がなかった弊社主力商品の一つ、VASSを詳細説明
■以前他サイトにあった弊社作の学生向け就活対策ページを14枚を追加

なぜか、偶然14という数字に縁がありますが、さらに…
■弊社サービスを紹介するためネガティブ・テスティモニアルを設置

と大増量されています。
弊社代表の市川も、どこに何を置いたか分からなくなることがあり、
自ら新装備の検索機能を駆使しています。

そして、とうとうスマホやタブレットで読むと発生した行ずれも
一気に全部解消しました。

読みだしたら止まらない。
ページをめくると、新たなページがどんどん見つかる。
中小零細企業の経営ノウハウがどっさり蓄えられた
迷宮のような弊社サイトを是非お楽しみください。

 http://msi-group.org/

注)
 以前の弊社サイトの各ページと共通の内容は極力同じURL表現を用いていま
すが、末尾の拡張子が違うため、実際にはすべてURLが変更されてしまってい
ます。ブックマークに記録されてくださっていた方にはご迷惑をかけ大変恐縮
ですが、何卒ご理解を賜りたくお願い申し上げます。
 また、弊社ブログ中の過去の記事のURLも弊社サイトに向けたものは、すべ
てリンク切れになってしまいますが、膨大な量ですので、修正することはでき
ません。併せてご了承をお願い申し上げます。

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【MSIグループの仕入完了報告(抜粋)】

■『世界のエリートが学んでいる 教養としての日本哲学』 小川仁志 著
■『日本の武器で滅びる中華人民共和国』 兵頭二十八 著
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
 合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
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次号予告:
 第430話 『堕ちる気配』 (12月25日発行) 
 単なる偶然ですが、例年なんとなく一年の最終号は歳末的なテーマが多くな
っていました。今回はそのパターンを破り、「ナイト・サイエンス」について考
えてみた内容です。

(完)