425 人柄重視の関係

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経営コラム SOLID AS FAITH 第425号
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 ご愛読ありがとうございます。第425話をお届けします。

 4大新卒を採用しているクライアント企業の様子を見ていると、ここ1、2年
でまた就活のトレンドが変わってきたように思います。映画『何者』を見たの
は今から約一年前ですが、劇中で描かれる複雑な事務手続きと化した大手企業
の就活に疲弊していく就活生達が非常に印象的でした。

 少子化の影響以上に働くことに対する関心の逓減から就活生の数は減少の一
途を辿っているように思えます。就活市場に残ったやる気ある就活生は、以前
以上に早い時期から就活を決着させるべく動き出し、以前以上に大手企業以外
の進路の選択肢に関心をもつようになっているように感じられます。そんな就
活生達が中小零細企業への進路に目を向けても、中小零細企業の就職先として
の評価軸を知らないことが殆どで、良い結果に結びつきにくいのは非常に残念
なことです。

 今回の第425話『人柄重視の関係』は、就活生の中小零細企業を評価する方
法論について簡単にまとめてみたものです。採用する側の中小零細企業経営者
の方々も、ご一読の上、参考にしていただけたら幸です。本文に対するご意見
・ご感想をお待ちしております。頂戴したご感想などへのお返事の目標納期は
5営業日!!
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■映画感想ブログ『脱兎見 東京キネマ!』/『何者』
 http://tales.msi-group.org/?p=856
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その425:人柄重視の関係

「自分にあった会社の見極め方を知っていますか。一般に言う大手企業は、誰
もが知っているような上場企業です。上場企業は誰でもが株を買えて持ち主に
なれるので、日常で接触する人の誰が株主か分かったもんじゃない。だから、
世の中全部に向けて、IRと言いますが、自社の経営状況について情報発信して
います。その情報が簡単に手に入るから、一応、自分にあっている会社かどう
かの判断はつきやすい」。

 4月上旬の或る日の貸会議室。クライアント企業の会社説明会で久々に喋る
係になった。お題は「大手企業と中小企業の見極め方」。典型的な中小零細企
業は、経営者がオーナーなので、情報を公開する必要がないどころか、極力、
情報を公開しないようにしている。ウェブに書いてある事柄も結構好い加減。
信用調査情報もかなり好い加減。無いよりマシ程度の目安でしかない。
 
 株価なんか相続のタイミングでもなければ当の社長でさえ分からない。売上
は規模や業種によってまちまちで、学生にはどれぐらい儲かっているのかよく
分からない。利益は税金対策で潰しまくっているし、元々、外から分かるよう
な数字ではない。中小零細企業の会社説明会に来た学生達に、改めて中小零細
企業の見極め方について揺さぶってみると、大抵、準備と想像力の欠如が露呈
する。
 
「昨日は会社説明会の前説の仕事、してきたんですか。やっぱり、外部の人間
の言うことって、就活中の学生達にも、説得力があるってことなんですね。け
ど、結局、中小零細企業の見極めポイントって何なんですか」と弟子が翌日尋
ねる。

「え。中小零細企業を仮に20人の職場としたら、1学級よりも少ないような人
数で、拠点だって良いとこ二ヶ所ぐらいしかなくて、ずっと同じ面子と働き続
けることになるんだよ。
 おまけにその中の一人は、生殺与奪の全権を持つオーナー社長さんだよ。社
長と人間関係が悪くなったら、逃げ場がなくて、もう毎日“針の筵”でしょ。
だから、『この社長を“大好き”にはならないまでも、せめて、この社長の下
でやって行けそうかどうか』が、事実上、唯一の見極めポイントだよ。で、そ
ういう前説をすると、学生達の関心は全部社長の人柄に向かうよね。それが、
前説の仕事の依頼が来る最大の理由って感じだと思うけどさ。
 ま。見合いとかと同じで、人柄が良く見えたら、他の条件はあまり気になら
なくなるし」。

 ああ、なるほど、と頷く弟子の顔を見つつ、私もウンウンと頷いた。
 
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中小零細企業とICが、事業者全体における大きな割合を占める…
そんな時代が訪れつつあるように思えます。

その時、大手企業はどうなっているのか。
中堅企業はどうなっているのか。
なぜ中小零細企業とICがどんどん増えるのか。
そんなことを考えてまとめてみます。

もちろん、中小零細企業とICが増えると言っても
テキトーに好い加減な商売をしていては淘汰がほぼ確実です。
生き残りに成功する中小零細企業とICの事業のカギは
経営技術の徹底ではないようです。
なぜなら、経営技術の衰えと死は、じわじわと迫りつつあるからです。
小さな組織においては、確実に経営技術のニーズが減衰しています。

零細事業者の時代の幕開け。
零細事業者は急激に増殖した後に、
激烈な淘汰に曝されることでしょう。

競合も明確に分からないのが零細事業者ですから、
競合分析も競争戦略も全く役に立ちません。
他社との差別化も他社が見えなければ八方塞、
マーケット・セグメンテーションも人口減少で市場が縮小すれば、
分けるほどに売上も利益も落ちてしまいます。

近い将来の零細事業者の増殖の背景と
そこでの生き残りのカギについて考えてみることにします。
日本の規模別事業者分布についてのソリアズ流大胆未来予測。

ご期待ください。

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■『財務省と大新聞が隠す本当は世界一の日本経済』 上念司 著
■『マーケティングの嘘』 辻中俊樹・櫻井光行 著
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次号予告:
 第426話 『最果ての蠢動』 (10月25日発行) 
 時が止まったように感じる関東圏の古い商店街で、高齢者相手に店を構える
やり手の店長と会話をしました。

(完)