423 新鮮な内容

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経営コラム SOLID AS FAITH 第423号
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 ご愛読ありがとうございます。第423話をお届けします。

 夏が終わりかけてきました。秋の訪れがあちこちで感じられ、今年も気がつ
いてみると、残すところあと3分の1少々になってしまいました。前号のご挨拶
文でも書いた通り、経営環境の変化が体感できることが、クライアント企業の
案件運営において確実に増えています。

 2013年に『応急処置』と題したシリーズの4話を発行しました。「死すべき
技術としての経営」を考えた内容です。端的にいうと、人々が当たり前に物事
を考え、当り前に実行すると、組織運営は当り前に進むことになり、組織統制
としてのマネジメント技術が徐々に不要になるということを指しています。中
小零細企業の経営の本質が凡事徹底であって、当たり前のことを徹底するだけ
のことでよいのなら、本来、ありとあらゆる経営の学説などは必要ないことに
なります。

 さらに、多国籍企業群は市場を求めて世界中に移ろい出て行き、国内に残る
のはそれらと直接ぶつかり合わないローカルな中小零細企業ばかりになってい
けば、いよいよ、中小零細企業経営に関わる技術は死に絶えてしまいそうです。
おまけにAI技術によって、経営の分野においても人間の関わる部分が減れば、
余計のこと、人間が当たり前のことをきちんと考え実践できるか否かがすべて
のカギになってしまいそうです。

 今年も10月末日に周年記念特別号を発行します。タイトルは未定ながら、日
本全国で溶けて消えていく企業経営の場について考えてみた内容をまとめてお
届けしてみたいと思っています。

 本日の第423話は『新鮮な内容』と題して、ビジネスのプロデュースをする
と言う人物が語った事柄について考えてみました。中小零細企業において、経
営が死すべき技術であるのなら、プロデュースの余地は徐々に狭まっていきそ
うなものです。その現実について、一緒に一時ご一考賜れたら幸です。本文に
対するご意見・ご感想をお待ちしております。頂戴したご感想などへのお返事
の目標納期は5営業日!!

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その423:新鮮な内容

「僕の仕事は優れたコンテンツを見出すことから始まるんです。それを大きく
プロデュースして行くことで、私を含めて関わるみんなが幸せになる素晴らし
い仕事なんですよ」。

 知人から私の仕事の話を聞き感心を抱いたらしい。私なんぞに会いたがる奇
特な人に、取り敢えず会うのが私の常。指定の喫茶店に行くと、ビジネスをプ
ロデュースするエージェントと名乗る彼は、名刺を出していきなり自己紹介を
始めた。聞きなれないカタカナ商売を語る人の話も、自分の仕事を素晴らしい
と喧伝する人の話も、私は真面目に聞かない。

「コンテンツと言うのがよく分かりませんね。請ける仕事の種類も、クライア
ントさんの業種もサイズも、全部バラバラ。それでも、色々お仕事が成立する
のは、絞り込んだターゲットのニーズをそれなりには把握していることと、経
営の普遍の原理原則に則って、その場その場でゼロから、その“コンテンツら
しきもの”をカスタム・メイドしているからだと思いますけど。敢えて言うな
ら、創業以来、形がないのが私の商売の形ですね」。
 私の答えは、彼の期待したものではなかったことが、彼の表情から分かった。

 嘗て或る大手商社はグループ企業ぐるみで、地方で数店を展開する飲食店チ
ェーンのオーナー経営者に、「一気に東京で店舗展開をして全国区のビジネス
にしましょう」と持ちかけていた。店舗物件の斡旋は不動産子会社、食材供給
は食品卸売子会社、スタッフの採用と教育は人材子会社、FC契約内容の設定も
ライセンス管理子会社、そして駄目押しにそれらを購入するための資金を融資
してくれる金融子会社まで登場する。

 唯一提供されないのは、東京と言う激烈な競争環境での勝ち残り方。食品提
供の商売を当に食い物にされた飲食店チェーンは早晩破綻する。人材子会社の
下請会社でスタッフ採用に勤しんでいた私はこのメカニズムを詳しく学ばせて
貰った。ビジネスのコンテンツをプロデュースするとは、こんなビジネス・モ
デルを指すのではないかと私は思う。

 ネットでは、流行りが廃れたコンテンツを「オワコン」と呼ぶらしい。承認
欲求に駆動され、共通の話題を必死に漁り「いいね」を押し合う人々が増えて、
コンテンツの消費速度は格段に上がった。きちんと成立しているコンテンツは
差別化が効いていて長持ちしているが、その差別化故に人に教えて広げるのが
難しい。プロデュースの余地が残っているコンテンツは、分かり易さ故に、わ
っと皆が集まり、あっという間に消費されてしまう。

 1年後、実家の地方都市に彼は戻ったと耳にした。コンテンツをプロデュー
スする彼のビジネス・モデル自体がオワコンに成ったのだろう。ボードリヤー
ルの記号消費を思い出す。
 
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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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【MSIグループからのPR】

最近ビッグサイトに行く機会が増えています。

運営方法が好い加減な企業ブースが増える一方と思っていましたが
社員らしき人々がテキパキと作業を進めている
効率的且つ効果的な運営がなされているブースも
僅かながら目を引くようになってきたように思えます。

派遣スタッフまでたくさん用意した
大手企業の大ブースは勿論ですが、
中小零細企業のブースでも、
オペレーションが練りこまれているケースがたまに見つかります。

展示会はテキトーに運営すると、
単にコストが膨大に無駄になるだけではなく、
来場者に自社企業のていたらく振りを見せ付ける
最悪の行為に堕してしまいます。

展示会来場者管理の「ビジネスモデル特許」取得を
2002年に行なったのをきっかけに、
弊社では展示会の企画・準備・運営・フォロー・データ管理など、
効率的且つ効果的な展示会出展をプロジェクト・ベースで実現する
サービスを以前から提供しています。

弊社サイト上の展示会出展支援サービスのページはこちらです。
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「取り敢えず、自社の展示会運営状態を診断して欲しい」
と言うご要望にも、
展示会状況視察レポート作成で対応しています。

ご関心を賜りましたら、メールにてご一報ください。
 bizcom@msi-group.org

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【MSIグループの仕入完了報告(抜粋)】

■『美しき日本の残像』 アレックス・カー 著
■『万華鏡の女』 ひし美ゆり子 著
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
 合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
下のアドレスにご意見・ご感想を頂ければ幸いです。
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次号予告:
 第424話 『続・徒手空拳』 (9月25日発行) 
 AI時代の到来。自動翻訳や自動通訳がどんどん進む中でスキルとしての語学
学習について考えてみました。

(完)