420 備蓄礼賛

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経営コラム SOLID AS FAITH 第420号
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 ご愛読ありがとうございます。第420話をお届けします。

 書店に行くと「成功者の哲学」や「成功者の人生習慣」と言った書籍が、山
を成すほどに売られています。何を持って人生の成功を定義するのかよく分か
りませんし、まだ存命の方のものなら、これから急激な没落が待っているかも
しれません。

 仮に成功が一定条件で定義できるものであっても、成功者がなぜ成功者に
なったかには様々な要因が折り重なってあるはずで、朝早く起きただのと言っ
た、ほんの数個の思考や言動の癖で成功がもたらされるとは考えにくいものと
思います。本のタイトルのあおりとしてはアリでしょうが、落ちている千円札
を拾わなかったからとか、夜9時以降はタクシーで帰宅することにしているか
らとか、それだけやったら成功するとする原理は、「喫煙するから肺癌になる」
なみに怪しい理屈に思えます。
 
 それでも、成功のカギとなる要因は一応見つかったとする話が最近聞かれる
ようになりました。グリットです。目的達成のために粘り強く長期間努力する
力を指しているようです。口語よりの表現で、一般には、 persistence が使
われるのではないかと思います。今回の『備蓄礼賛』では、理由は何であれ、
グリットらしき性向を持ち合わせた人のパターンについて考えてみました。本
文に対するご意見・ご感想をお待ちしております。頂戴したご感想などへのお
返事の目標納期は5営業日!!

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その420:備蓄礼賛

 早くやってみろと、少々義理のある人物から執拗に催促されるので、自分の
成功のパターンを見分けるカード診断をしてみた。自分について当てはまる文
章が書かれているカードを集計すると、8つのパターンのいずれに自分が当て
はまるかが分かる。外交的で人々を惹きつける「スター」、五感的で日々の出
来事に機敏に対応する「トレーダー」などの8つのパターン。このうちの一つ
にのみに嵌る人は少ないらしい。

 ほんの数枚の例外を除いて、私の選んだカードは全て「アキュムレーター」。
時間をかけて蓄積することで得意分野を確立し高い価値を生み出すパターンら
しく、該当する有名人には、成功者の中の成功者とさえ言えるウォーレン・バ
フェットがいる。
 
 残った数枚も近接パターンで、勤勉で忍耐強く細部に拘ることで富を生む
「ロード」と、洗練されたシステムを作り上げる完璧主義者の「メカニック」。
前者は代表例にロックフェラー、後者にはヘンリー・フォードが居る。ス
ティーブ・ジョブズとビル・ゲイツの両方を擁する「クリエイター」や、アー
ノルド・シュワルツェネッガーなどのハリウッド・スターを擁する「スター」
などのカテゴリーとは大分趣が異なる。
 
 電車に乗っていると、ドア脇に「グリット」について書かれた書籍の広告が
あった。心理学者のダックワースが示した、才能でも努力でもない成功要因の
「グリット」は、目的達成のために粘り強く長期間努力する力。
 
「『ウサギとカメ』のように現状打破の近道は努力の積み重ねだという本書の
主張は、当り前だが本質的だ」。
 広告に書かれた日経新聞の書評は、随分飾り気がない。成功者の共通点「グ
リット」の有意性は尤もらしいと言う。ならば、長期戦を得意とする「アキュ
ムレーター」・「ロード」・「メカニック」以外の5つのパターンの人々は、
結局、「グリット」を持つこれら3つのパターンの人々が担いだ神輿に乗って
いるだけではないのか。
 
 このテストの会社のサイトに、8つのパターンの説明が詳細に書かれている。
成功者の発言の内容が挙げられているのは、「アキュムレーター」のウォーレ
ン・バフェット一人だけだった。収穫逓増の原理の中で良質なコンテンツを体
系的且つ安定的に積み上げる、ネット時代の長期的王道パターンのように思え
る。ニヤリと笑いが浮かぶ。
 
 相互に性格が酷似していると認める娘にもこの話をし、「長期戦に持ち込ん
だら、アキュムレーターが最強でしょ。人生は長期戦そのものだから」と聞か
せた。
 
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最近、クライアント企業の勉強会のコンテンツとして
書籍を読む課題を出すことが増えてきました。

書店に行くどころか、アマゾンでも書籍を買ったことがない
と言う社員も増えています。
4大卒で雇ったプロパー社員の勉強会で参加者に尋ねたら、
全員がビジネス書を一冊も買ったことがないと判明したこともあります。

なぜ本を読んだ方がよいのか。
この問いの答えは様々に考えられますが、
少なくとも、ゆっくりと確実に変わっていく
社会の仕組みや人々の価値観を意識し続けるには、
流行りのSNS系のたんぶんを日々追いかけるだけでは
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また、社会人常識・会社常識・ビジネス常識・業界常識・大手常識…など。
中小零細組織と言えども、少なくとも誰か一人は
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■『ミルトン・エリクソン入門』 ウィリアム・ハドソン・オハンロン 著
■『資格を取ると貧乏になります』 佐藤留美 著
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
 合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
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次号予告:
 第421話 『やる気のスイッチ』 (8月10日発行) 
 学習塾のCMにも登場する“やる気のスイッチ”。社員にもそれがあればと言
う社長によく会います。しかし、“やる気のスイッチ”の存在は「灯台下暗し」
のようでした。

(完)