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経営コラム SOLID AS FAITH 第634号
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ご愛読ありがとうございます。第634話をお届けします。
今年も半分が終わろうとしています。そして梅雨が明けたら夏本番です。
年間を通して為す予定であったことなどの進捗状況・達成状況をチェックす
るタイミングかもしれません。中小零細企業の本質的な(しかし多くの組織
で潜在的にしか存在しない)強みは「機動性」です。機を見て逃さず、良い
ことは拙速を以て好として早々に開始し、ダメなものからはサンクコストに
縛られず早々に足を洗う。そんな体制や風土を実現しましょう。
砂漠の国の小競り合いは漸く一段落し、国内では原油調達の見通しが立っ
たなどと報じられています。草原の国の泥沼の戦闘は、大国の首都までが小
国のドローンで攻撃される事態になって、形が何であれ終わりが見えてきた
という意見が増えてきているように思えます。金利は上向いてきていて、米
国では短期的な未来が占われる中間選挙が近づいてきました。経済環境や社
会環境の潮流の転換点が迫っているかもしれません。備えましょう。
今回は『リテラシー・レイヤー』と題して、「無知の無知」について考え
てみます。端的に言えば、広義の読解力の問題と括ることができるようにも
思えますが、無知の対象が自分自身である場合、その社員は組織にどういっ
た影響を与えるのかについて、その入口ぐらいまで考えてみた内容です。
他人は見え易く、自分は見え難いのは世の常ですが、取り分け怪しい自己
評価をする人物群に思い当たるフシのある方は多いのではないかと思えます。
一緒にご一考いただければ幸いです。ご意見・ご感想をお待ちしております。
頂戴したご感想などへのお返事の目標納期は5営業日!!
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その634:リテラシー・レイヤー
クライアントの会社を訪問したら、社長が自社の社員が勉強不足だと嘆い
ていた。仕事に関心がなく、掘り下げることをしない。営業の失注に当たっ
てはその理由を分析してみようとしない。社長は幾つか事例を挙げて、勉強
が足りないと総括する。勉強が足りないという結論には疑問が湧くと私が告
げると社長は、私の状況解釈に関心を抱いたようだ。
ベストセラー『ケーキの切れない非行少年たち』で有名になった宮口幸治
の後続書のどれかのテーマは、「支援が必要な人ほど、支援を必要と感じて
いない」というパラドクスだった。それは意地をはっている訳ではない。純
粋に自分がそのような状態だと認識していないことによる。だから、支援制
度があるといくら告知しても、それどころか、あなたは支援が必要だと面と
向かって指摘しても、首肯することがない。
橘玲の何れかの著作の中にも、支援や補助が本当に必要な人に限って、そ
のような制度があることを知らず、その存在を教えても申請方法が分からず、
申請方法を教えても自分では申請ができないといった社会福祉制度の大きな
抜け穴についての言及があったように記憶する。「つまり、『分かっていな
い人間は、自分が分かっていない人間だと分かっていない』ってことではな
いですか」と私はそうした書籍の話をしてから社長に告げた。
「ってことは、連中は自分が分かっていない人間だと分かっていないんだな。
自分は分かっている人間だから、それ以上調べたり掘り下げたりしようとし
ないと。そういうことか。じゃあ、対処の方法は、分かっていないと分から
せることか」と社長は目を剥いて言う。
その社員達を私も知っているが、彼らは自分達が業務上で不都合が出るぐ
らいの能力不足状態であるなどと露程も思っていない。けれども彼らの趣味
の分野や資格取得の話などになると、俄然彼らの自己評価が的確になること
を私は知っている。社長の「勉強不足説」よりも多分「『無知の無知』説」
の方が有力だろう。
その話を別の機会に知人に話したら、「それは、ダニング=クルーガー効
果というんですよ」と教わった。しかし、ウィキで調べてみると、「大衆文
化においてダニング=クルーガー効果は、特定の任務に熟練していない人限
定の過大評価ではなく、知性の低い人に一般的な過大評価についての主張で
あると、しばしば誤解されている」とある。
過大評価は特定分野限定ではなく複数の分野に横断的に広がっている。そ
して件の社長も、「事務作業にITを使った効率化なら、まあまあやり尽して
いる」などと自己を過大評価していることをも私は知っている。
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次号予告:
第635話 『安心と幸福』 (7月10日発行)
大分飽きられてきたのか漸く耳にすることが減った「心理的安全性」。中
小零細企業の現場ではどうも当て嵌まらないことが多いようなので採り上げ
てみました。
(完)