629 鏡像認知

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経営コラム SOLID AS FAITH 第629号
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 ご愛読ありがとうございます。第629話をお届けします。

 四月に入り10日が過ぎました。新年度もやや形になって軌道に乗ってきたと
感じられる職場も多いかもしれません。世の中全体を見ると、また新たに始ま
った大国絡みの戦争が世界を揺さぶっています。原油の調達が滞ると、多くの
国々で大騒ぎになり始めています。原油の備蓄が少ない国々では早くも消費に
規制がかかる状態になりつつあるようです。

 主に発電用にLNGを大量に使い、カタールからの輸入の依存度が高い韓国で
は、カタールのLNG施設の爆撃被害によってLNG調達が危ぶまれるようになり、
電気料金の急騰は確実と報じられています。政府の諸策のお蔭で今のところそ
こまで大事になっていない日本の日常は、非常に恵まれたものであることが分
かります。次々と地球の遥か彼方で勃発する事件や諍いが、期間も空けず大き
な影響を中小零細企業の経営環境に及ぼす時代になりました。
 
 株も金も乱高下を繰り返し、為替も円安圧力が高まりつつあると報じられて
います。最早VUCAなどと言う必要さえないほどに、VUCAが日常茶飯事になって
しまっているように思える状況です。不安定な経営環境は中小零細企業にとっ
ても本来嬉しいものではありませんが、少なくとも、大手企業に比べて機動性
が高い中小零細企業という相対的立場からみるなら、福音になり得るかもしれ
せまん。強みとしての機動性を意識し、発揮した企業だけが報われる時代でも
あるということでしょう。
 
 ネタはあっても文章化が滞ってしまい、当コラムの発行原稿のストックが先
日5話ほどになってしまいました。慌てて3話を書き足し、さらに、続けて原稿
書きを心掛けて「備蓄」の増加に励んでおります。常時5話から10話ぐらいの
ストックがありますので、コラム本文の内容は時事の話題や季節の話題を反映
することなく発行させる結果になっております。その分、前書きのご挨拶で多
少の時事ネタを盛り込んでおりますが、本文部分は真夏の真只中に冬の話が登
場するなどのことも起き得ますので、ご了承ください。
 
 今号は話題のZ世代論について考えてみました。当たり前と言えば当たり前
すぎる構造をただ書きまとめた内容ですが、何かの職場の施策に活かしていた
だけたら幸いです。ご意見・ご感想をお待ちしております。頂戴したご感想な
どへのお返事の目標納期は5営業日!!

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その629:鏡像認知

 社長がふと気づくと、ウマ娘にハマり有休をとってイベントに出掛ける若手
男性社員が、担当する設備の横にウマ娘のパネルを数枚置いていたらしい。社
長は彼の先輩にあたる社員を呼んで、「あれをどう思うか」と尋ね、対処を促
したと苦々しげに私に語った。そんな話を聞いた後、次のクライアントでは立
ち仕事がやっぱりつらいと唐突に社員が退職を願い出てきたという。この会社
の社員は5人に満たず1人の欠員も大きな戦力ダウン。インターンシップ期間も
長く、納得の入社のはずだったが、半年後に退職願いが出た。
 
 他にも、所謂若い社員の意味不明な言動や理解できない価値観、自信がある
ようでいて打たれ弱い矛盾など、行く先々で不可解な存在としての若者達が安
定した経営の障害になっているとの話を経営者から耳にするようになった。ひ
ねくれて考えてみたくなる。
 
 これらの経営者達が若かった頃、彼らの素行全般はお世辞にも良くなかった
だろう。映画を観ても高度成長期頃の若者達の姿は概ね退廃的だったり刹那的
だったりで、今の若者の方が余程人生に対して計画的で健全で、悪く言えばこ
じんまりまとまって失敗を避ける。
 
 では今の中高年、高齢者は意味不明な言動をしたり、理解できない価値観を
振り回したりすることはないのか。どうもこれも首肯できない。居酒屋でも不
機嫌さをそのまま表現した無礼な客はいるし、路上でも意味不明で予想外な車
の操作をする運転手は日本人でも結構いる。スーパーや色々な所に今でいうカ
スハラを行なうクレーマーは存在するし、コミュニケーションが成立しなさそ
うな人々は全く若者に限らない。
 
 最近読んだ『Z世代化する社会…』はタイトルが持つイメージとは異なり、
世の中全般で全世代横断的に感じ取られている「息苦しさ」や「生きづらさ」
が解消されない謎に挑んだ快作。凶悪犯罪は減り、医療技術は進み、衛生環境
も良くなり、働き過ぎで命を落とすような人もほぼいない。人々は過去にはよ
くあった色々なしがらみから自由になって、推しに貢ぐために売春するのでさ
え個人の自由になった。総じてみれば社会はどんどん人に優しくなっているの
に続く「息苦しさ」や「生きづらさ」。
 
 著者の舟津昌平は軽妙な筆致で、世の中の不満はかなり満たされ解消したが、
不安は寧ろ煽られ続けずっと人々の心に巣食っていると喝破する。そして、Z
世代の特徴はZ世代のものではなく、社会全体の写し鏡であり、Z世代以外の世
代にも同じ特徴や問題が起きている(ないしは起きつつある)という立場を
とっている。
 
 なるほど。若者論が既視感だらけで新鮮味がなくなった理由らしきものを理
解した。

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次号予告:
 第630話 『木塊中の仏』 シリーズ『軋む未来』 (4月25日発行)
 生成AIの活用方法が散々喧伝され、できていない人間は原始人並みといった
言説も目にします。どうもしっくりこない生成AI活用法について考えてみる全
2回シリーズ『軋む未来』の第1回目は「アイディアの壁打ち」についてです。

(完)