638 隠れた主事業

===================================
経営コラム SOLID AS FAITH 第638号
===================================

 ご愛読ありがとうございます。第638話をお届けします。

 暑い日々が続いています。8月ももうすぐ終わりです。今年も残り4ヶ月少々
となりました。前回の第637号のご挨拶でも書き述べましたが、史上初の消費
税減税が曲りなりにも実現する様子です。最終消費者も含む顧客の行動変化が
いろいろと想定されますので、その実現はまだ先ではありますが、備えが必要
です。

 今月中旬に『残業一律指導を見直し、労基署 「45時間以内」取りやめ、9
月』と題された報道記事がありました。三六協定を結んだ上で、特別な事情が
あれば特別条項付きの協定が締結されて、上限が月100時間未満まで残業時間
を増やせるという状況は以前からありましたが、それに対して、労基はこれま
で残業を45時間以内にするよう一律で指導していました。その一律の指導を来
月9月からは行なわないという内容です。

 元々、老若男女、個々人の労働能力は大きく異なり、労働も職種やその個々
の職場実態によって、その疲労やストレスは大きく異なります。その意味で、
一律で残業時間の上限を決める発想そのものが異常と言える悪法だと考えられ
る残業時間の上限設定です。その運用についても多くの無理や矛盾が指摘され
ていました。ほんの一部分のことではありますが、こうした悪法の運用状況が
職場の実情に合わせた変化を示したことは、特筆に値するように思えます。

 今年も10月末日に発行を予定している周年記念特別号では創刊以来初めての、
現場の人材管理上の実務的なテーマを扱うことになりそうですが、今回の記事
の内容はそれにも関係する情報になっていますので、敢えてこの場で取り上げ
てみました。
 
 今回は『隠れた主事業』と題して、中小零細企業の現場運用の上で、避けて
通れないであろう「習慣形成」の取り組みについて考えてみました。質の高い
人材が大手企業でもなかなか集められないような時代になって、中小零細企業
の現場では人材の根本的な質的向上を意識せざるを得ません。御一考いただけ
れば幸いです。ご意見・ご感想をお待ちしております。頂戴したご感想などへ
のお返事の目標納期は5営業日!!

===================================

その638:隠れた主事業

 高度な専門性のある業務担当者以外に関しては、中小零細企業でも文系の4
大卒者を採用することを勧めることがよくある。高卒者では幼すぎる。専門卒
者は専門に拘ることが多いだろう。短大卒と大卒を合わせると、パイも大きく、
今でも何とか就活という仕組みの中で就職するので採用方法も絞られ、中途採
用に較べたら質がバラつかない採用が一応計画的にできる。欠点や運用上の問
題もあるが無難な人材調達方法であるのは間違いない。若者を雇い続ければ、
総体的な人件費も抑制しやすい。文系4大卒は実質的に専門分野がないような
ものなので、教えれば広い業務に当たらせられて組織運用も楽になる。

 中小零細企業の現場には学歴が大卒未満の正規社員やパート社員がそれなり
に存在し、入社したての大卒新卒に対して「大学まで出ているのに、こんなこ
とも知らない」などと言う評価を簡単に下すことがある。大学に行ったことな
い者が大学で何をどう学ぶかを想像することはあまりないだろうし、入社後必
要になる事柄のうち何を事前に備えて来たかなど皆目わからないのが普通だろ
う。そして、経営者もまた、「大卒を雇ってもこんなものか」と落胆する声を
私に向けることがある。

 藤原和博の『学校がウソくさい』は刺激がある。彼は学校を「自立して学び
続けられるように集団の力で良い学習習慣と生活習慣をつける装置」と定義す
る。

「習慣づけることを甘く見てはいけない。(中略)長くし続けることは偉大な
力をもたらす。私も著書の中で何度も、「1万時間かけて練習してマスターし
たことが、あなた固有のスキルになり、足場になる」と強調している。(中
略)成功している人であればあるほど、学校で習ったことは大人になってから
何の役にも立っていないとうそぶく傾向がある。だが実は、その人の生活態度
や仕事上のマナーの根底に、学校教育で繰り返された習慣づけが影響している」
と説いている。

 彼が2006年に著した中学生向けの書籍にまとめた「信用のある人の条件」も
興味深い。「挨拶ができる。」、「約束を守る。」、「古いものを大事に使
う。」、「人の話が聴ける。」、「筋を通す。」、「他人の身になって考え
る。」、「先を読んで行動する。」、「気持ちや考えを表現できる。」、「潔
さがある。」、「感謝と畏れの感覚がある。」。この10箇条はそのまま大人に
も当てはまると彼は言う。その通りだろう。

「残念ながら無名校の教育はイマイチかもしれません。なら、こっちが腹を括
って学校の代わりをせめて5年でも仕掛けるしかないかもしれませんね」と私
は件の社長に応じた後、藤原和博の学校の定義を教え、「学校」の部分を「会
社組織」に置換するように奨めた。
 
===================================
☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
===================================

【MSIグループの仕入完了報告(抜粋)】

■『仕事に効く教養としての「世界史」 2』 出口治明 著
 https://link.amazon/B00jCDfO9
■『ルポ歌舞伎町の路上売春 …』 春増翔太 著
 https://link.amazon/B0gTiWovJ
■『お金のニュースは嘘ばかり …』 高橋洋一 著
 https://link.amazon/B0gdpV4QA

===================================
発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
 MSIグループ 市川正人
下のアドレスにご意見・ご感想を頂ければ幸いです。
 bizcom@msi-group.org
このメールマガジンは、
インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を利用して発行しています。
(http://www.mag2.com/ ) 

毎月10日・25日発行 盆暮れ年始、一切休まず足掛け27年。
マガジンID:0000019921 (ナント、たった5ケタ)

★弊社代表のコラムが色々満載。
 ソリアズのバックナンバーも各号の全文が読める弊社ブログ『MSI-TALES』。
 http://tales.msi-group.org/?cat=2
★講読の登録・解除はこちらのURLでお願いします。
 http://msi-group.org/msi-profile/saf-index/
===================================
※ ご注意!!
 当メルマガは毎月10日・25日に休まず発行しておりますが、当コラムが届
かないというご連絡をいただくことがあります。
 まぐまぐでは長期に亘る無料メルマガ読者に講読意思の確認を行なってお
り、その確認を終えるまで配信が停止されることがあるようです。また、サ
ーバなどの不具合でメルマガが不達になると、そのまま読者登録が無効化さ
れることもあるようです。
(さらに、不達にはなりませんが、gmailの翻訳機能により、メルマガの内
容が改変されて表示されるケースもあるようです。その場合は、メール本文
上部に表示される「原文を表示」をクリックすると回復するようです。)
 このように各種の不達理由が考えられます。不達の場合は、まず当コラム
の発行状況を上述の弊社ブログ『MSI-TALES』にてご確認ください。発行状
況を確認の上、不達の解消には、まぐまぐ(「magpost@mag2.com」)に、メ
ルマガID(#0000019921)、タイトル(『経営コラム SOLID AS FAITH』)、
購読アドレス、再送希望の旨を記載の上、メールにてご連絡下さい。
===================================
次号予告:
 第639話 『互酬的贈与』 (9月10日発行)
 金銭や身分などと異なり、時間だけは人々に公平に与えられた資本だとよく
言われます。その時間資本を金融資本や信用などに変換していく原理を知った
ので、それについて熟考してみます。

(完)