631 基礎成分 =軋む未来=

===================================
経営コラム SOLID AS FAITH 第631号
===================================

 ご愛読ありがとうございます。第631話をお届けします。

 ゴールデンウィークが終わりました。多くの経営環境の変化に翻弄されが
ちな日常が戻ってきます。先日も理容店に行ったら、店主が「自転車の青切
符制度の開始で、この辺は狭いのに歩道がある道路が多いので、明らかに自
転車の利用者が減っています。肌身に商圏の縮小を感じますよ」と語ってい
ました。なるほどと頷かされ、縮小の程度をいろいろ聞き込み、天気も良か
ったので、帰路にその界隈を徘徊して、縮小した商圏の実態を見回ってみま
した。ただでさえ、リアル店舗には「行く理由」が必要な時代になっている
のに、こんな逆風も加わっていることに気づかされました。

 前回の号から流行の生成AIの、中小零細企業の現場における使い勝手につ
いて考えてみるシリーズ『軋む未来』が始まりました。その紹介の文章で全
2回のシリーズとお伝えしましたが、シリーズを読み返してみて、もう1話書
けそうに思い直し、急遽1話を付け足して全3話のシリーズとしました。です
ので、今回は全3回のシリーズ『軋む未来』の第2回目をお届けします。
 
 今回は生成AIによる文章作成やプレゼン用スライド作成の現実を考えてみ
ます。そうした技術やその成果も、驚嘆させられるレベルではあるのは間違
いありません。そして使いこなせるものはどんどん使って生産性改善を図る
のは経営の常道で、全く異を唱える余地がありません。しかし、中小零細企
業の多くの従業員の読解力は低く、自分で作成してもスライド中の文章に誤
字やおかしな改行などが頻出しているような状態で、生成AIの成果を評価し
得るのかという一点が大きな問題として横たわります。
 
 そんな有り触れた現実に言及した生成AI活用本は殆ど存在しません。今回
の『基礎成分』はそんな論点を取り上げてみたいと思います。ご意見・ご感
想をお待ちしております。頂戴したご感想などへのお返事の目標納期は5営
業日!!

===================================

その631:基礎成分 シリーズ 軋む未来(2)

 久々の池袋の南口。或る雨の平日、ジュンク堂の巨大な書籍売場に足を運
んだ。目的の書籍は校正技術に関するもの。『標準校正必携』は定番。それ
以外にももっとレイパーソンにとっつきの良い物はないかと、数冊ある候補
を1冊1冊手に取ってみてペラペラ捲る。
 
 私はビジネス誌出版社の編集部に在籍していたが、校正の技術を身につけ
るには至っていない。何となく原稿に「アカを入れる」のはそれ風にやって
いて、校正記号も基本的なものは学んだがそこで止まっている。そんな私も
一応少しは復習しようかと思い立った。
 
 事の発端は私の知り合いが私のコンテンツを動画にして販売しないかと声
掛けしてくれたこと。マーケティングや差別化のみならず、人材採用や人材
育成、色々と語って聞かせるネタは落語のように結構ある。動画化して売れ
るようになり、漸く収益が発生するのは大分先だろう。それでも有難いお声
がけに乗ってみることにした。音声収録やアバターの制作、配信動画の編集
などを行なってくれる、私には爽快感が眩しい若者が現れた。
 
 彼は会社勤務の経験がなく、スライド制作そのものはできても、プレゼン
目的の資料を作ったことなどはない。スライドの項目立ての文字表現や改行
位置、文章の主述の整合性などなど、私と知人にはかなり違和感が湧くスラ
イドを提示してくる。知人がとうとう苦言を切り出し、「校正の勉強を一回
きちんとして基礎を作ろう」と告げた。

 その翌週、私はメールで売り込んできた中小企業向けのIT技術提案の営業
担当者の話を聞いていた。洗練されたデザインの手が掛かったスライドの内
容。

「やはり生成AIを用いることが中小零細企業でも生産性改善には必要で、例
えばパワポのプレゼン資料を作ることなんかは、もうAIに任せればすぐにで
きてしまうという時代なんです。かくいう私のこの資料も、ほぼAI作という
感じで、簡単にでき上っています。市川さんはレポート作成のような仕事が
多いとか。それもAIが瞬時に作ってくれますよ」。
 整髪料が滴りそうな頭の彼が目を輝かせて私に言う。

 私は書きたい欲求が募った場合なら、一晩で5000字は書ける。10000字に
達することもある。漢字表記の揺れや誤植は確かにAIにチェックしてもらっ
たらかなり楽だろうが、校正校閲は基本自分がやった方が楽で速い。AI作の
文章を私が直す気にはなりそうにない。

 件の彼の敬語はかなりおかしく、本もあまり読まないらしい。AI作の文章
は誰が確認するのか。件の彼に「校正を基礎から学ぼう」と告げる知人がい
るのかかなり怪しい。

===================================
☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
===================================

【MSIグループの仕入完了報告(抜粋)】

■『人生は生い立ちが8割 見えない貧困は連鎖する』 ヒオカ 著
 https://amzn.to/4whHcQ1
■『糸を撚る』 高柳カツヤ 著
■『小さな会社の「生き残る社長」と「潰れる社長」の習慣』 奥村聡 著
 https://amzn.to/4d7FDwR

===================================
発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
 MSIグループ 市川正人
下のアドレスにご意見・ご感想を頂ければ幸いです。
 bizcom@msi-group.org
このメールマガジンは、
インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を利用して発行しています。
(http://www.mag2.com/ ) 

毎月10日・25日発行 盆暮れ年始、一切休まず足掛け27年。
マガジンID:0000019921 (ナント、たった5ケタ)

★弊社代表のコラムが色々満載。
 ソリアズのバックナンバーも各号の全文が読める弊社ブログ『MSI-TALES』。
 http://tales.msi-group.org/?cat=2
★講読の登録・解除はこちらのURLでお願いします。
 http://msi-group.org/msi-profile/saf-index/
===================================
※ ご注意!!
 当メルマガは毎月10日・25日に休まず発行しておりますが、当コラムが届
かないというご連絡をいただくことがあります。
 まぐまぐでは長期に亘る無料メルマガ読者に講読意思の確認を行なってお
り、その確認を終えるまで配信が停止されることがあるようです。また、サ
ーバなどの不具合でメルマガが不達になると、そのまま読者登録が無効化さ
れることもあるようです。
(さらに、不達にはなりませんが、gmailの翻訳機能により、メルマガの内
容が改変されて表示されるケースもあるようです。その場合は、メール本文
上部に表示される「原文を表示」をクリックすると回復するようです。)
 このように各種の不達理由が考えられます。不達の場合は、まず当コラム
の発行状況を上述の弊社ブログ『MSI-TALES』にてご確認ください。発行状
況を確認の上、不達の解消には、まぐまぐ(「magpost@mag2.com」)に、メ
ルマガID(#0000019921)、タイトル(『経営コラム SOLID AS FAITH』)、
購読アドレス、再送希望の旨を記載の上、メールにてご連絡下さい。
===================================
次号予告:
 第632話 『事情通』 シリーズ『軋む未来』 (5月25日発行)
 シリーズ『軋む未来』の第3回目は「情報検索」について考えてみます。
AIによる情報検索には目を見張るものがありますが、その使い手に求められ
る情報リテラシーは高くなる一方のように思えます。そんな現状を少々考え
てみました。

(完)