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経営コラム SOLID AS FAITH 第632号
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ご愛読ありがとうございます。第632話をお届けします。
遠い国の戦争で色々な物資の不足が懸念されるようになり、一部では値上が
りが進み始めています。一方で昨年から駆除が多少進んだぐらいでは増加に全
く歯止めのかかっていない熊があちこちに出没するようになり、人の味を覚え
た個体も増えているようです。
最近のエピジェネティクスの研究に拠れば、人間も含めた哺乳類では、後天
的に学習した一部の事柄は子や孫に遺伝することが分かってきています。特に
飢餓に纏わる記憶や経験、食料の選好においては、広く哺乳類の個体で遺伝が
確認されているようです。
だとすると、飢餓に追い詰められた熊の個体が人を襲い食料と認識すると、
特段その食性を教えられていなくても、仔熊や孫熊は生まれつき人間を食料と
認識する可能性があるように考えられます。熊の繁殖の勢いは激しく、このま
までは人を狙う熊の個体数が、返し終わらないリボルビング払いのように増加
の一途となってしまいかねません。大規模な対策が求められています。
世界各地の戦争の影響も、(世界規模で見ても減少傾向に転じていますが)
日本の人口減少も、各地で人を襲う熊対策も、各種の課題や問題が待ったなし
の対応を必要としている状態になってきています。それは、今までの方法論に
改変が求められているということであり、本来機動力に富む中小零細企業に
とって、事業継続上の機会を生み出す可能性が大きいものと思えます。機会は
日常の中に埋もれているかもしれません。目を凝らすべきです。
今回お届けするのは、流行の生成AIの、中小零細企業の現場における使い勝
手について考えてみるシリーズ『軋む未来』の第3回(最終回)です。今回は
情報探索・情報収集について考えてみます。従前の検索エンジンが玉石混交の
検索結果を羅列して見せてくれて、使用者がその結果の各々を吟味する必要が
あったのに対して、生成AI時代の情報探索は要約や要旨がまず示されるように
なりました。一見、情報探索が楽になったように見えますが、自力で情報を精
査するプロセスが丸ごと抜けた結果、意識的に情報を精査することがより困難
になったとも言えます。
生成AIに浮かれる世の中の裏側で、本質的な情報リテラシーがより必要とさ
れるようになっていることは見過ごされがちです。そんなことについて考えて
みました。ご意見・ご感想をお待ちしております。頂戴したご感想などへのお
返事の目標納期は5営業日!!
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その632:事情通 シリーズ 軋む未来(3)
「よく言われるのは、「知識はすべてネット上にある」という考えだ。忘れて
しまっても、ググればいい。だからもう、知識を覚える必要はないし、Siriや
ChatGPTのようなAIに音声で頼めば何でも教えてくれる未来は近いから、記憶
力を鍛えても意味がないという意見さえある。(中略)
ググればいいと言っても、ググるときのキーワードや、キーワードの結びつ
きのイメージは、基礎学力がなければ思いつかない。あるいは、ChatGPTのよ
うなAIに聞いて答えを教えてくれたとき、その史実の解釈が正しいのかどうか、
もっと違う見方があるんじゃないかと「複眼思考」をしてみる必要ありそうだ。
ということは、あくまでその答えでいいかどうかの判断は、聞いた当人の教
養に委ねられることになる」。
藤原和博による『学校がウソくさい』の一節。生成AIによる情報探索の際の
陥穽を端的に述べている。高度な情報社会になればなるほど「情報処理力」が
必要だと著者は言う。
数多く買い込む書籍の中で所謂「鈍器本」は限られている。覚悟を決めて読
み始めてもなかなか終わらないので、積み上げておいて時折読み進める。入山
章栄の『世界標準の経営理論』はそんな中の一冊。買ってから4年経ってもま
だ読み終わらない。久々に手に取って読んでいると、「シェアード・メンタル
・モデル」という聞きなれない概念が登場した。
「仕事などに関する様々な情報・知見が頭の中にどう整理されていて、どう描
かれているかの認知の体系」のこと。略してSMM。それがメンバー全員で高く
揃っているほど、組織のパフォーマンスが高いと述べられている。しかし定義
が分かりにくい。
読み進めると、SMMは2種類が包含された概念という。一つ目の要素は「タス
クSMM」。組織の行なう仕事や組織が持つ技術・設備などに関する、メンバー
間の共有認識のこと。これはよく分かる。自社の能力とミッションを皆が知っ
ている方が望ましいのは当然だ。二つ目の要素は「チームSMM」。組織のメン
バー同士の行動の役割分担、メンバーそれぞれの好み、強み、弱みなどに関す
る共有認識のことという。遥か以前、技術系の職場で夜勤の際に先輩達の机の
中の資料の一覧を作るように鬼係長から指示された私は、「チームSMM」の重
要性を身を以て知っていて、第10話『雑用に勤しむ社員』にまとめた。
SMMの概念は面白い。SMMを組織内から世の中全体に拡大してはどうか。
世の中の仕組みと人々のありかたに対する認識がその人物やその大集団の強さ
を決める。先日訪れた会社で、社員が座学の内容を舐めていると社長が嘆いて
いた。「今時、調べればすぐわかることを習う時間が勿体ないと思います」と
宣うらしい。SMMは良い土産話になりそうだ。
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■第10話『雑用に勤しむ社員』 http://tales.msi-group.org/?p=47
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
MSIグループ 市川正人
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次号予告:
第633話 『平穏舗装』 (6月10日発行)
優しい若者が増えていると聞くことがありますが、優しい経営者も非常に増
えています。その実態について考えてみました。
(完)