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経営コラム SOLID AS FAITH 第53号
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今年も１年間、ご愛読ありがとうございます。第53号をお届けします。
本当に早いもので、また１年が終わりました。みなさまにも所謂「耳タコ」
であろう国際情勢の話のみならず、ＭＳＩグループにとっても、色々と激動の
年でした。独立・開業と言うほどでもないのですが、一応、国民健康保険のお
世話になるようになり、口を開けて待っていてはお金を戴けない身分になりま
した。
また来年も今年同様に色々と取り組んでみたいと思っております。みなさま
にとっても良い年になりますよう、この場を借りて祈念申し上げます。
さて、今号と次号は、またもや２回シリーズものになっております。今回の
シリーズは「自己責任」です。世の中の各種「自由化」が進展するのと同時に、
「自己責任」なる言葉を頻繁に耳にするようになりました。そこで、「自己責
任」について、２回に分けて考えてみたいと思います。
なお、今回の号にはマイラインの話が出てきますが、（長い読者のみなさま
は既にご存知のように）当コラムの文章は約１年前から書き溜められ、散発的
校正を経ておりますので、時事ネタとしての鮮度を失っております。悪しから
ずご了承下さい。
それではみなさま、良いお年を。当メールマガジンについてのご意見・ご感
想は、どしどしお寄せ下さい。返事は確実。納期は５営業日です。
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その53：選択の放棄 ＝自己責任（１）＝
内外価格差が国内で声高に論議される以前、留学先で私は日本の物価につい
て聞かれることがあった。私は、床屋の体験談を引き合いに出す。滞在間もな
い米国人を日本の床屋に連れて行った時の話である。
まず、値段を聞かせる。10年も前の話である。3500円ぐらいだと告げると、
大抵は物凄い暴利だと憤慨する。そこを「まあまあ…」となだめて店へと連れ
て行く。
タオルを顔に何度も載せる。丁寧に何度も髭を剃る。毛先を僅かずつ切りそ
ろえる。痒い所はないかと尋ねる。肩を揉む。耳掃除をする。眼鏡を拭く。感
想は、「まるで王様のような扱いだ。これは芸術だね。ディズニーランドの乗
物より楽しい」などと言った具合になる。そして質問。「これは本当に皆が受
けているサービスなのか？」
米国の田舎町で、私の髪は、新聞紙のようにザクザクと刻まれ、髪は一度も
洗われることがなく、適当に切りくずの毛を払って６ドルのサービスだった。
これがその地では常識で、どうせ車で家に帰ればシャワーを浴びられる。勿論、
日本並のサービスの理髪店も僅かに存在するが、余程特別な日に臨む人か、金
が余っている人だけしか訪れない。
電話会社の競争が、面倒な状況になってきた。私にとっての電話料金は月数
千円の出費でしかない。仮に５％安い別な契約があっても、微々たる差しか生
じない。どの会社が最適なのか考えるには膨大な労力を必要とする。空気同然
に身近になった電話の料金数十円・数百円に時間をかけるのが馬鹿らしく感じ
る。
値段はそれほどに重要だろうか。私は決して裕福ではない。しかし、デフレ
の真っ只中で安さを追求すれば、自分の手でなさねばならないことが増える。
自分の関心の有無に関わらず、油断なく管理し、その結果は何であれ自分で受
け止めねばならない。クレームを言っても、地震火災の保険よろしく、「その
ようなことはサービスに含まれていません」と理路整然と述べられる。
中島みゆきは、その歌で、「自由は酷い言葉」と言っている。自分にまつわ
ることなら無条件に、全てを自分で決めねばならないのは、むしろ原始社会へ
の退行ではないか。消費者に求められると言う自己責任。少なくとも私は、酷
いこと、馬鹿らしいこと、面倒なことを、自分から選ぶことはない。
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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと一層楽しめます。
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発行：
「企業から人へのコミュニケーションを考える」
合資会社ＭＳＩグループ（代表 市川正人）
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次号予告：プロの技（１月10日発行）
新年第１号は、自己責任シリーズの第二弾です。情報公開によって保証され
ると言う自己責任。本当にそうだろうかと考えてみた号です。御期待ください。
新年も休まず SOLID AS FAITH は発行致します。