050 ヤマアラシの営業

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経営コラム SOLID AS FAITH 第50号
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ご愛読ありがとうございます。第50号をお届けします。

当初報告していた予定より遅くはなりましたが、11月5日付けで当コラムの
2周年記念特別号を発行できて安堵しております。あまりの長さにあきれた読
者の方もいらっしゃるかもしれませんが、お楽しみ戴ける部分があったなら幸
いです。

さて、いよいよ、50号に到達致しました。当初の発行予定100話までの折り
返し地点です。テーマや表現などを手探りで進めてきた前半に対して、後半は
文章にすべきテーマを取りこぼしのないように選びつつ、発行して参りたいと
思います。宜しくお付き合いください。

また、前号や2周年記念特別号で報告致しました「月刊フランチャイズ」誌
には、現在店頭に並んでいる12月号(11月1日発売)に、当コラムの3倍長
バージョンの「こころに効くコラム」が掲載されております。もしよろしけれ
ば、ご覧になってみて下さい。表紙にまでコーナー名と私の名前が載っており
ますので、お間違いになることはないと思います。

当メールマガジンについてのご意見・ご感想は、どしどしお寄せ下さい。返
事は確実。納期は5営業日です。
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その50:ヤマアラシの営業

私がお付き合いしてもらっている提案営業の指導で知られる先生と話す機会
があった。
「それはそうと先生、ずうっと提案営業に関して疑問に思っていたことがある
んですよ。お客さんの潜在ニーズを顕在化させ、具現化するプロセスを、提案
営業は重視するじゃないですか。では、どうしてその後のクロージングの部分
に「応酬話法」とかが載っているんでしょうね」

先生は、顧客に自分の判断を納得させ、最終判断を迫ることが重要だと答え
た。そうでなければ、投下したコストが回収できない。「では、「応酬話法」
が必要になったり、性急に判断を迫ったりして、それが、お客さんのニーズを
顕在化させたことになるなら、お客さんは自分で何が欲しいのか決められなか
ったことになりますね。これは相当抜けている人ですよね。本当にそんな想定
をして良いんでしょうか」。

はやりのMLMの説明会に行く機会を得た。そのMLM事業もアメリカ発で、
ホームページを作れるサーバのスペースと、簡便なホームページ作成ソフトを
売るものだそうだ。その説明者は一日に数回の説明会を繰り返し、どんどん自
分の「子供」を主婦や学生の中に見出したらしい。参加後一年で万単位の人が
自分の下に繋がっていて、毎月200万円弱の金が振り込まれるという。

国内プロバイダより値段も高く、サポートサービスも少ない。彼の下だけで
数万人の人々が、ほとんど使ってもいないホームページに、盲目的に金を支払
っていることになる。今日も彼につながる数万人の人々が、また、各々「考え
もなく」ホームページを購入する。

専門誌「商業界」を読むと、徹底して差別化した店は、例え規模が小さくて
も、ニーズが合致した顧客からの圧倒的支持で繁盛すると言う。顧客が自らの
好みに合うものをどんどん学習して来店し、豊富な知識をベースに商品を選ん
で行くので、店員は勉強が追いつかないと言う。

「顧客は研究家」と想定すると、研究家の顧客が集まる。白痴と想定すると、
白痴が集まる。どちらのケースも一所懸命になれば報われる。それはそれで事
業としては評価できる。お客を「考えのない人」と想定し、「考えのない人」
を集め、そのあるがままに放置する事業。同じ定款に書くのなら、そんな人達
に教え、気づかせ、そして教えられ、気づかせられるような、近寄れば互いに
ただでは済まない事業を私なら選びたい。
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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと一層楽しめます。
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発行:
「企業から人へのコミュニケーションを考える」
合資会社MSIグループ(代表 市川正人)

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次号予告:残留熱(11月25日発行)
後半戦、第一弾として、当コラムの根本テーマ「強い中小企業の本質」に迫
ってみたいと思います。ご期待下さい。